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米4月住宅着工件数、うららかにリセッション直前の水準を回復

by • May 19, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1954

Housing Starts Spring In April, Reaching 7-Year High.

米4月住宅着工件数は年率113.5万件となり、市場予想の102.9万件を大幅に超えていった。前月の94.4万件(92.6万件から上方修正)を20.2%も上回っただけでなく、2014年12月の108.0万件も突破。リセッション入り直前に当たる2007年11月の高水準を達成した。前月での増加率は、1991年2月以来で最大を記録している。

内訳をみると、一戸建てが前月比16.7%増の73.3万件。2ヵ月連続で春爛漫の伸びを示している。賃貸需要の高まりを反映し、複合住宅も27.2%増の40.2万件と大幅に3ヵ月ぶりの増加を遂げた。前年比での住宅着工件数は9.2%増と、前月の2.0%減を超え3ヵ月ぶりに増加に反転。一戸建てが14.7%増と3ヵ月ぶりに大幅増加したほか、複合住宅も0.5%増と2ヵ月連続でプラスを示している。

4大地域別では、3地域で増加。3月の2地域を上回る。特に冬将軍の撤退を背景に北東部が85.9%増の18.4万件と、前月の115.2%増に続き急増を遂げた。中西部も27.8%増の17.0件と、長い冬を乗り越え2ヵ月連続で2桁増を達成。西部も39.0%増の27.8万件と、2ヵ月連続で増加している。最も住宅市場の規模が大きい南部のみ1.8%減の50.3万件と、減少に転じた。テキサス州をはじめ原油安でエネルギー産業が打撃を受けるなか、大寒波の影響が比較的小さいにも関わらず過去6ヵ月間で3回減少。全米では、過去6ヵ月での減少は2回にとどまる。

住宅着工件数、2006年までの過去20年平均150万件は遠い。

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(出所:Morgan Stanley)

米4月建設許可件数は114.3万件となり、市場予想の107.0万件を大きく上抜けた。前月の103.8万件(103.9万件から下方修正)を10.1%も上回り、前月の減少分(5.5%減)を打ち消した。件数ベースでは、2008年6月以来の高水準を記録している。

内訳をみると、複合住宅が前月比20.5%増の47.7万件と前月の急減(16.1%減)を相殺した。一戸建ては3.7%増の66.6万件で、2ヵ月連続で増加している。建設許可件数の前年比は6.4%増と、前月と合わせ5ヵ月続けてプラス。一戸建てが7.1%増だったほか、複合住宅も5.5%増だった。

米4月建設中件数は前月比1.5%増の85.3万件となった。増加トレンドを維持するなか、件数ベースでは少なくとも2009年以来の高水準を達成。一戸建てが0.8%増の36.3万件と2ヵ月連続で増加したほか、賃貸需要を背景に複合住宅も2.1%増の49.0万件と8ヵ月連続で増えた。

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受けて「年初来の住宅着工件数平均は約101万件」と指摘。世帯形成数が金融危機後に年間50万までの減速を経て、「足元は年間142.6万世帯への回復が見込まれる」だけに、世帯形成数の改善を踏まえれば住宅着工の100万件乗せは理に適う。将来的には、「130万件台に拡大する余地もある」見通しとも付け加えた。ただし厳格な住宅ローン貸出基準が住宅購入の障害となっており、賃貸向け物件の空室率は1−3月期に7.1%と約20年ぶり低水準を迎え、住宅保有率も63.7%と1990年以来の落ち込みを示したとも説明した。

ウィーズマン氏は、力強い住宅着工件数を鑑み「4−6月期の住宅投資を従来予想の18.1%増から20.3%増」に引き上げた。住宅建設の予想額を10.5%増から15.8%増へ上方修正させたほか、住宅販売・リフォームでの貢献も期待できるという。住宅投資が0.6%ポイント寄与するとみられるものの、輸出や企業の設備投資などの弱含みもあり、米4−6月期国内総生産(GDP)の予想自体は「1.7%」で据え置いた。

米4月住宅着工件数が予想以上の飛躍を遂げたため、その他のエコノミストは米4−6月期国内総生産(GDP)予想を上方修正した。

>ゴールドマン・サックス 従来は2.5%増→2.7%増
>バークレイズ 従来は2.6%増→2.7%増
>マクロエコノミック・アドバイザーズ 従来は1.9%増→2.0%増

——弱含みの経済指標が続くなか、米4月住宅着工件数はマーケットに朗報を届けました。大寒波の反動ではなく、中古住宅などの在庫不足を見据えた力強い数字なのかが気になります。仮にこのペースが続くのであれば、米5月NAHB住宅市場指数の下振れは金利上昇に過剰反応した建設業者の杞憂で片付いてしまいそうですね。

(カバー写真:Oregon Husky/Flickr)

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