Philly Fed Manufacturing Index And Markit PMI Disappoint In May.
米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は6.7となり、市場予想の8.0を下回った。年初来で最高だった前月の7.5にも届いていない。西海岸の港湾労働者ストライキ、悪天候という一時的要因が払拭され、原油安やドル高が一服しながら製造業センチメントは引き続き伸び悩みを示す。
主要な項目の内訳は、以下の通り。雇用や在庫、仕入れ価格が下振れした半面、新規受注と出荷が改善した。
・雇用 6.7<前月は11.5、5ヵ月ぶりの高水準
・週当たり平均労働時間 マイナス5.6、分岐点割れ回帰<前月は3.4、4ヵ月ぶりに分岐点へ戻す
・在庫 マイナス1.8、分岐点割れへ回帰<前月は1.5
・入荷時間 マイナス3.6、分岐点割れへ回帰<前月は0.5、5ヵ月ぶりに分岐点回復
・受注残 マイナス1.1、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス7.1
・仕入れ価格 マイナス14.2、3ヵ月連続で分岐点割れとなり2009年5月以来の低水準<前月はマイナス7.5
・販売価格 マイナス5.4、5ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.1
・新規受注 4.0、3ヵ月ぶり高水準>前月は0.7、2013年5月以来の分岐点割れに接近
・出荷 1.0>前月はマイナス1.8、2ヵ月連続で分岐点割れ
6ヵ月先見通し指数は、33.9。前月の35.5および6ヵ月平均の38.7を下回った。項目別では出荷、受注残が低下。一方で新規受注、雇用、平均労働時間、在庫、設備投資、入荷時間、仕入れ価格などが上向き、ヘッドラインより明るい兆候を示す。
現況(オレンジ)、見通し(グレー)そろって、大寒波などの反動は限定的。
今回の特別質問項目は、雇用動向について。雇用を「増加させる」との回答が51.3%とトップに立ち、「減少させる」は10.3%にとどまった。
求人中の職に対する候補者の能力について、34.2%が「十分ではない」との認識。ベージュブックと整合的な結果をを示した。
(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)
賃上げする場合の対象者は、「一部の職」との回答と「賃上げしない」との回答がそれぞれ32.9%だった。「求人していない」との回答は17.7%、「全般的に賃上げする」との回答が16.5%と最も低い。
(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、新規受注や出荷といった項目で回復の芽を見出しつつ「米5月NY連銀製造業景況指数と同じく、4−6月期における北東部の製造業活動はドル高が響き鈍い回復をたどる可能性を示す」とまとめた。
米5月マークイット製造業PMI・速報値は53.8となり、市場予想の54.6に届かず。前月の54.2も下回っている。内訳をみると、生産が55.0と前月の53.3から低下したほか、新規受注も54.2と前月の55.3以下にとどまった。一方で、新規輸出受注は49.6となり、前月の48.8から改善。雇用は54.3と、前月の53.7から上昇している。仕入れ価格は51.3と前月の47.5から分岐点を回復し、販売価格も51.9と前月の50.5を上回った。
——米5月フィリーでは雇用改善を示唆し、米新規失業保険申請件数と合わせ米5月雇用統計に明るいニュースを届けています。もっとも、米4月鉱工業生産は5ヵ月連続で低下をたどる状況。ドル高や原油安の影響が製造業センチメントを引き続き冷やしており、製造業活動は緩やかな回復するのみで夏を控えなかなか熱気を取り戻しそうにありません。
(文中写真:Federal Reserve Bank Of Philadelphia、カバー写真:Europe’s World)
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