May Flowers, Personal Spending Springs The Most Since August 2009.
米5月個人消費支出は前月比0.9％増となり、市場予想の0.7％増を上回った。前月の0.1％増（±0％から上方修正）を軽々と超え、2009年8月以来の高水準を達成。3ヵ月連続で増加している。消費の内訳は、以下の通り。
・耐久財 2.169％増、3ヵ月連続で増加＞前月は0.097％増
・非耐久財 1.913％増、前月から増加に反転＞前月は0.689％減
・サービス 0.327％増、増加基調を維持＞前月は0.308％増
耐久財は、米5月新車販売台数が約10年ぶりの水準へ加速し寄与した。非耐久財も、ガソリン価格の上昇に煽られ増加に反転。サービスは、真夏日のような気温上昇が服飾や冷房費用などを押し上げたとみられる。
米5月新車販売台数、SUVやトラックが支え目覚ましいスピードを達成。
（出所：Ford）
米5月個人所得は前月比0.5％増となり、市場予想の0.4％増を上回った。前月に並ぶ水準。可処分所得も0.5％増となり前月の0.4％増を超え、少なくとも年初来で最高。貯蓄率は支出が所得を超えて増加したため5.1％となり、前月の5.4％から低下した。
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金・所得 0.5％増、11ヵ月連続で増加＞前月は0.3％増
（民間が0.5％増と前月の0.3％増から加速、サービスが0.7％増と前月の0.4％増を上回りけん引。一方で、財生産業は0.1％増と前月の±0％から小幅改善にとどまる。製造業は前月に続き0.1％増、前月の±0％から改善している。政府は前月と変わらず、0.2％増だった。）
・不動産収入 0.8％増、2ヵ月連続で増加＞前月は0.3％増
（農場が8.6％増と2ヵ月連続で増加、非農場は0.5％増と前月の±0％増から改善）
・家賃収入 0.8％増、27ヵ月連続で増加＞前月は0.7％増
・資産収入 1.0％増＜前月は1.4％増
（配当が0.5％増と2ヵ月連続で増加、金利収入は金利上昇を背景に1.5％増、2ヵ月連続で増加）
・社会福祉 0.5％増、3ヵ月連続で増加＜前月は0.7％増
（メディケイド＝低所得者層向け医療保険は0.7％減と2ヵ月連続で減少も、メディケア＝高所得者向け医療保険は0.4％増と2ヵ月連続で増加）
・社会補助 0.1％増、6ヵ月連続で増加＜前月は0.2％増
米5月個人消費支出（PCE）デフレーターは前月比0.3％上昇し、市場予想と一致した。前月の±0％から、あらためて上昇に転じている。前年比は0.2％の上昇となり、前月と一致（0.1％から上方修正）。コアPCEデフレーターは4ヵ月連続で前月比0.1％上昇し、市場予想にも並んだ。前年比は2ヵ月連続で1.2％となる。PCEデフレーターとコアPCEともに、米連邦公開市場委員会（FOMC）の目標値「2％」からかい離した水準を維持した。目標値割れは、そろって2012年5月以来となる。
モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受け「個人消費の増加は新車販売台数を背景とした自動車の4.1％増、価格上昇を受けたガソリンの14.5％増のほか、小売売上高が示したように自動車・ガソリンを除いた分野、サービスの0.3％増を反映した」と説明。4−6月期の個人消費の見通しを「従来の3.1％増から3.2％増」へ引き上げている。ただし、米4−6月期国内総生産（GDP）予想は「2.7％増」で据え置いた。インフレをめぐっては、「コアPCEのうち19％を占める医療関連が下押しした」と分析。消費者物価指数（CPI）では40％を占める帰属家賃が堅調だったものの、コアPCEではシェアが17％まで低下するため、今回の鈍化につながったと説く。
一方で、バークレイズは米5月個人消費支出・所得を受けて米4−6月期GDPを従来の3.0％増から3.1％増へ引き上げた。アトランタ連銀も米4−6月期GDP予想を従来から0.1％ポイント上方修正し2.1％増を掲げ、試算開始以来で最高に引き上げている。
アトランタ連銀とエコノミストの4−6月期GDP予想、あらためてかい離が縮小。
（出所：Federal Reserve Bank Of Atlanta）
——5月の個人消費支出は北風と太陽よろしく、ニューヨーク市で気温が摂氏30度近くまで上昇したおかげで大幅増加を遂げました。米4−6月期の成長回復に楽観ムードが強まるなか、Fedが9月利上げに踏み切る可能性を残します。
（カバー写真：My Big Apple NY）
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