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米7月NY連銀製造業景況指数、米6月鉱工業生産は改善に課題残す

by • July 15, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2157

NY Fed Manufacturing Index And Industrial Production Remain Soft.

米7月NY連銀製造業景況指数は3.86となり、市場予想の3.5を上回った。5月のマイナス1.98を超え、分岐点を回復。4ヵ月ぶりの高水準となる。もっとも、項目別ではさほど明るい兆候は見られない。

項目別動向は、以下の通り。

・販売価格 5.32>前月は0.96
・平均労働時間 4.26、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は3.85
・入荷時間 0>前月はマイナス1.92、年初来で最低

・在庫 マイナス8.51、4ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は1.92
・受注残 マイナス7.45<前月はマイナス4.81
・新規受注 マイナス3.50<前月はマイナス2.12、4月は2013年1月以来の低水準でマイナス6.00
・雇用 3.19、2013年12月以来の上昇トレンドで最低<前月は8.65
・仕入れ価格 7.45<前月は9.62
・出荷 7.88、4ヵ月ぶり低水準<前月は12.01

現況指数、見通し指数そろって前月から上昇(ブルーが現況、グレーが見通し)。

ny fed
(出所:Federal Reserve Bank Of New York)

6ヵ月先見通し指数は27.04となり、4ヵ月ぶり低水準だった前月の25.8から改善。新規受注(32.22<26.10)、出荷(25.44<前月は22.11)、在庫(マイナス11.70<前月はマイナス17.31)、設備投資(21.28<前月は11.54)、仕入れ価格(27.66<前月は24.04)、販売価格(6.38<前月は5.77)とそろって上昇した。受注残は2ヵ月連続で分岐点乗せとなり、入荷時間もマイナス幅を縮めている。一方で雇用(9.57<前月は13.46)、平均労働時間(マイナス3.19<0.0)など、雇用関連は弱含んだ。

▽米6月鉱工業生産、鋼業と公益が支え予想上回る

米6月鉱工業生産指数は前月比0.3%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。前月の0.2%の低下を超え、横ばいにとどまった月を合わせ少なくとも7ヵ月ぶりに上昇に転じている。稼働率は78.4%と、市場予想の78.2%を上回った。前月の78.2%(78.1%から上方修正)も抜け、リセッション前の80%回復へ一歩近づいた。

内訳をみると、製造業が2ヵ月連続で±0%。自動車が3.7%低下し、4ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。米6月新車販売台数の鈍化と整合的。自動車以外は0.5%上昇しており、3ヵ月ぶりにプラスに反転している。機械が0.8%と上昇に転じたほか、コンピューター・電子機器も1.4%と2ヵ月連続で上向いた。原油先物の買い戻しを背景に、鋼業は1.0%と3ヵ月ぶりに上昇に反転。夏を迎え、公益は1.5%と2ヵ月連続で上昇した。

・製造業 ±0%=前月は±0%
・自動車 3.7%の低下、4ヵ月ぶりにマイナス<前月は2.3%の上昇
・機械 0.8%の上昇>前月は0.2%の低下
・コンピューター/電子機器 1.4%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.2%の上昇

・公益 1.5%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は1.2%の上昇
・電力 1.6%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.8%の上昇
・天然ガス 0.6%の上昇、2ヵ月連続でプラス<前月は4.3%の上昇
・鋼業 1.0%の上昇、3ヵ月ぶりにプラス>前月は1.3%の低下

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受け「鋼業の回復がけん引しており、石油・ガス採掘は9ヵ月連続で低下したものの下げ幅は6月に3.7%と5月の8.7%から大幅に縮小した」と分析。また油田サービス大手ベーカー・ヒューズが集計する「石油リグ稼働数も過去2週間に増加に転じており、原油安への調整は進んだとみられる」とし、鋼業部門の下押しが終焉に近づいたとの考えを示した。もっとも、製造業活動は「2014年12月以降の鈍いパフォーマンスを維持した」と付け加えた。

▽米6月生産者物価指数、モノ・サービスそろって改善

米6月生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。約2年半ぶりの高水準だった前月の0.5%に続き。プラス圏を維持。過去6ヵ月間で、3回目の上昇を示す。コアPPIは0.3%上昇し、市場予想および前月の0.1%から加速した。PPIは前年同月比では0.7%低下し、前月の1.1%および2010年秋以来で最大の落ち込みを示した4月の1.3%から下げ幅を縮小。ただし、5ヵ月連続でマイナスをたどる。コアPPIは0.8%上昇し前月の0.6%を抜け、4月の水準へ切り返した。

内訳をみると、モノが0.7%上昇。エネルギーと食品が全体を押し上げた。エネルギーは2.4%上昇し、前月の5.9%に続きプラス圏を維持している。食品も0.6%と、2ヵ月連続で上昇した。サービスも0.3%上昇し、前月の±0%から改善。サービスのうち3割を占める貿易・サービスが0.2%と2ヵ月連続で上昇したほか、1割弱を占める輸送・倉庫も0.6%上昇しマイナス基調を5ヵ月で止めている。サービスのうち6割を占めるその他サービスは0.2%上昇し、前月分の低下を帳消しとした。

BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果を受け「全体の3分の2が上向きを示した」と評価。サービスも「全般的に回復し、主に融資サービスの価格上昇を反映した」とし、金利上昇を受け借入負担が拡大しつつある可能性を示した。米6月PPIを踏まえ「米6月消費者物価指数は0.34%、コアは0.19%」を見込む。5月はCPIが0.4%、コアは0.1%だったため、コアのみ上向く見通しだ。

——米7月NY連銀製造業景況指数と米6月鉱工業生産は、ようやく改善したかと思ったら内容は芳しくありません。世界景気の鈍化に加え、ドル高圧力が製造業活動を抑制している様子が浮き彫りとなっています。米6月PPIは、低インフレを懸念するFedを安堵させる内容に。米6月輸入物価指数の下振れによる不安を一掃させました。

(カバー写真:sirforex

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