Bank Of America Profit More Than Doubles As Legal Costs Drop.
バンク・オブ・アメリカ(BOA)が発表した4−6月(第2四半期)決算では、純利益が132.2%増の53億2000万ドルだった。訴訟関連費用が1億7500万ドルと前年同期の40億ドルから大幅に縮小したため、約4年ぶりの高水準を達成している。コスト削減も奏功した。希薄後の1株当たり利益は0.45ドルと、市場予想の0.36ドルより強い。収入は1.8%増の223億4500万ドルとなり、市場予想の213億2000万ドルを上回った。
純金利収入は、前年同期比4.7%増の107億1600万ドル。市場動向、長期債務の減少、貯蓄の増加、商業ローンの増加が背景にある。1−3月期の96億7000万ドルからも増加した。非金利収入も0.9%減の116億2900万ドル。住宅ローン事業、投資・仲介サービスが寄与したものの、株式投資が押し下げ1−3月期の117億5100万ドルからも減少した。
コスト削減を掲げるなか金利を除く営業費用は25.5%減の138億1800万ドルで、1−3月期の156億9500万ドルからも減少。金融危機以来で最低となる。総従業員数が7.1%減の21万6679人、1−3月期の21万9658人も下回り費用負担を縮小させた。
純金利マージン(貸出金利と預金金利および預金経費率を引いた収益性を示す指標)は、2.37%。1−3月期の2.17%を超えただけでなく、前年同期の2.22%も上回った。ウェルズ・ファーゴと異なり、前年比で上向きを示す。ただし融資残高は4−6月期末時点で3%減の8864億4900万ドルとなり、JPモルガンおよびウェルズ・ファーゴの増加に反し前年比でマイナスに落ち込んだ。
融資残高、1−3月期から改善も低調トレンドを維持。
(出所:Bank Of America)
▽グローバル・マーケッツ部門
純利益は前年同期比9.4%減の9億9300万ドルで前期に続き減益を計上、1−3月期の9億4500万ドルからは改善した。収入が7.4%減の42億5900万ドルと前期と合わせ減収を迎えており、1−3月期の46億1400万ドルにも届かず。トレーディング収入が会計基準調整済みで2.4%減の33億2500万ドルとなり前期に続き減収、1−3月期の38億9500万ドルも下回った。債券・為替・商品(FICC)部門が9.3%減の21億4600万ドルと弱い。引き続き、クレジット商品が押し下げている。株式は13.1%増の11億7900万ドルで、1−3月期の11億5000万ドルからも増加。特に、アジア太平洋でのデリバティブがけん引した。
▽グローバル・バンキング部門
純利益は前年同期比13.4%減の12億5100万ドルと減益に転じ、1−3月期の13億6600万ドルも下回った。収入が7.3%減の41億1500万ドルと前期に続き減収となっただけでなく、1−3月期の42億7800万ドルにも届かず。投資銀行の手数料が6.4%減の15億2600万ドルと、前期に続き減収の一因を担った。合併・買収(M&A)手数料は4.5%増の2億7600万ドルだった一方、メリルリンチを買収した2009年以来で最高を記録した1−3月期の4億2800万ドルから減少。債券引き受けは0.4%減の8億8700万ドル、株式引き受けも18.9%減の4億1700万ドルそろって押し下げた。平均の融資・リースの残高は4.4%増の3006億3100万ドルと、1−3月期の2895億2400万ドルから増加した。
▽個人・商業銀行部門
純利益が前年同期比4.3%増の17億400万ドルとなり、1−3月期の14億7500万ドルからも増加した。収入は1.4%減の75億4400万ドルと2期連続で減収ながら、1−3月期の74億5000万ドルを上回る。平均ローン残高は3.2%増の2017億300万ドルと、1−3月期の1995億8100万ドルを超えた。平均預金残高は6.1%増の5454億5400万ドルと、1−3月期の5313億6500万ドルからも拡大。新規クレジットカード発行枚数は18%増の130万枚と2桁増を維持した結果、2008年以来の高水準に達した。1−3月期は66%が既存顧客向けだったが、今回は明らかにしていない。
住宅ローン組成額は56.4%増の192億ドルで、1−3月期の169億ドルから拡大した。そのうち160億ドルが第一抵当者向けの住宅ローンで、32億ドルがホーム・エクィティ・ローンとなる。
▽資産運用部門
純利益が前年同期比5.0%減の6億9000万ドルで、2期連続で減益となった。1−3月期の6億5100万ドルからは増加している。収入は0.3%減の45億7300万ドルと減収に転じつつ、1−3月期の45億1700万ドルは上回った。顧客資産(運用資産、信託資産、証券資産、預金・融資など)は2.2%増の2兆5220億ドルとなり、1−3月期の2兆5100億ドルから増加。長期資産の運用資産は86億ドルの資金流入を示し、24期連続で増加。運用資産は1.6%増の9300億ドルと、1−3月期の9170億ドルから増加した。
引当金は前年同期比52.7%減の3億6900万ドルとなり、1−3月期の7億6500万ドルから減少した。総資産利益率(ROA)は0.99%となり、1−3月期の0.64%および前年同期の0.42%から改善をたどった。1株当たりの有形資産は、前年同期比5.5%増の15.02ドルだった。中核的自己資本(コアTier1)比率は2期連続で10.3%となり、前年同期の9.5%を上回った。
2009年以来初めて会長職を兼任するブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は、決算資料で「中核融資の伸びが堅調だったほか住宅ローン組成額も強く、経費も2008年以来で最低を示し過去数年間で最高の利益を計上した」と振り返った。また「米経済の改善の恩恵も受けた」と指摘。1株当たり有形資産の価値を高め、自社株買いや増配を通じ13億ドル還元できたとのメッセージを送った。
——4大部門がそろって減収となり、その他サービスや不良債権サービス部門が支え何とか全体では増収を達成しました。法務費用が大きく減少し利益が急増したものの、融資残高は減少。コスト削減にも限りがあり、今後に収益体制には課題が残ります。住宅ローン組成額の増加はポジティブ要因で、大幅増益もあって株価は一時2.9%の上昇を遂げました。
(カバー写真:AP vis Washington Times)
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