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21日の決算レビュー:VZ、トラベラーズ、ハーレー、UTX

by • July 21, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2197

Earnings Roundup : VZ, Travelers, Harley Davidson, UTX.

21日寄り前に発表された決算を振り返りましょう。

▽ベライゾン・コミュニケーションズ、収入と見通しが予想以下

通信最大手が発表した4−6月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比0.4%増の42億3100万ドルだった。1株当たり利益は1.04ドルと、市場予想の1.01ドルより強い。収入は2.4%増の322億2400万ドルで、市場予想の325億ドルを下回った。

ワイヤレス部門の収入は前年同期比5.3%増の226億1300万ドル。サービス収入が2.2%減の176億8900万ドルだったものの、機器収入が61.8%増の38億6100万ドルと増加していた。個人向けの料金後納プラン契約件数は21.3%減の113.4万件となる。スマートフォンでの料金後納プランは、32.1万件増。スマートフォン全体58.8万件増だったものの、基本料金制で26.6万件減少していた。タブレットは82.5万件増となる。料金後納プランの解約率は0.90%と、前年同期の0.94%から低下し過去3年間で最も低い。月額平均は3.8%減の153.73ドルだった。

インターネット接続での消費者向けサービス収入は、前年同期比3.2%増の46億3000万ドルで、4%以上の伸びを11期連続で止めた。ファイオスの収入が 10.2%増の34億3800万ドルで、インターネット接続サービス全体の74.3%を占め前年同期の69.7%を上回る。インターネットの加入者数が7.2万件増と、1−3月期の13.3万件増および前年同期の13.9万件から大幅に縮小。ファイオス・ビデオは2.6万件増と、1−3月期の9万件増および前年同期の10万件増を大幅に下回った。月額55ドルで利用者がチャンネルを選択できるパッケージ・サービスを発表したが、呼び水とはならなかった。

2015年は収入につき3%増を見込み、アナリスト予想平均の3.3%増に届かなかった。株価は予想以下の収入と見通しを嫌気し、一時2.9%下落した。

▽トラベラーズ、投資収益の落ち込みを本業でカバー

保険大手が 発表した4−6月 (第2四半期) 決算では、 純利益が前年同期比18.9%増の8億1200万ドルだった。投資部門の利益が9.1%減の6億3200万ドルで、プライベート・エクィティ部門のリターンや原油安に伴うエネルギー関連の評価額下押しが影響した格好だ。もっとも、投資収益を除く保険事業の営業利益は19.8%増の8億600万ドル。投資収益など一部項目を除く1株当たり利益は2.52ドルで、市場予想の2.12ドルより強い。自社株買いの実施で押し上げられた。

収入は前年同期比1.2%減の67億600万ドルながら、市場予想の62億6000万ドルを上回った。保険料掛け金は0.1%増の61億6900万ドル。ロッキー山脈の雹やテキサス州での洪水などを含む災害補償額は、49.3%減の2億2100万ドルにとどまった。保険料マージンは1ドル当たり9.2セントと、 前年同期の4.9セントから上昇。保険料に対する災害費用・ その他費用の割合を示す合算比率は90.8%と、前年同期の95.1%を下回り保険料掛け金に占める災害費用の負担が縮小していた。1株当たりの簿価価値は、3%上昇の77.51ドル、調整済みベースも3%上昇も73.09ドルとなる。株主資本利益率(ROE)は13.3%と、前年同期の10.7%を上回った。予想を上回る決算を好感し買いが先行しつつ、ダウ平均の大幅安に引きずられ前日終値近くへ戻す場面がみられた。

▽ユナイテッド・テクノロジーズ、中国と欧州の需要低下で売上に打撃

産業関連の複合企業が発表した4−6月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比8.2%減の15億4200万ドルだった。再編費用や為替差損を除く1株当たり利益は1.81ドルで、市場予想の1.71ドルより強い。為替差損により、0.06ドル押し下げられた。費用は8.2%減の139億7400万ドル。売上高は5.0%減の163億3300万ドルで、市場予想の165億2000万ドルを下回った。ドル高の余波で4%押し下げられたという。

5部門別の売上動向は、以下の通り。

>空調管理部門 0.6%増の44億5400万ドル
→米国での拡大を中国が15%減と押し下げ
>プラット・アンド・ホイットニー(航空機エンジン部門) 2.4%増の36億7700万ドル
>航空宇宙システム部門 0.1%減の36億3200万ドル
>オーティス(エレベーター) 7.9%減の30億9800万ドル
→中国が10%減となり、米国と欧州・中東・アフリカでの拡大を打ち消し
>シコルスキー(戦闘用ヘリコプター) 29.1%減の16億9100万ドル

中国、景気減速に株安が加わり逆風が吹き付ける。
APTOPIX China Financial Markets
(出所:AP via Business Inquirer

2015年の見通しは1株当たり利益につき6.15〜6.30ドルを見込み、従来の6.85〜7.05ドルから引き下げた。ヘリコプター製造会社シコルスキー・エアクラフトを国防最大手ロッキード・マーティンへ90億ドルで売却することで合意したため。なおシコルスキー売却に際し、政府向けの情報処理とテクニカル・サービスの事業をめぐり「戦略的見直し」を実施する方針も発表していた。両事業合わせた2015年の売上高見通しは約60億ドルとされる。

グレゴリー・ヘイズ最高経営責任者(CEO)兼会長は、決算資料にて「上半期を経て航空宇宙システム部門は商業機の需要低下を背景に大きく当社予想を下回る公算」との認識を示した。さらに「欧州のオーティス部門、中国の景気鈍化を背景に業績を圧迫する」と指摘。その上で「航空宇宙部門と(欧州に依存する)オーティス部門の通期営業利益はそれぞれ為替変動を除くベースで2500万〜7500万ドル減少し、オーティス部門は為替変動を含むベースで3億〜3億5000万ドル押し下げられる」との見通しを描いた。決算と見通しを仇となり、株価は一時7.7%も沈んだ。

▽ハーレー・ダビッドソン、減収続くも利益は市場予想超え

高級バイク製造大手が発表した4−6月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比15.4%減の2億9980万ドルとなった。 希薄後の1株当たり利益は1.44ドルで、市場予想の1.39ドルより強い。金融部門を含む売上高は9%減の182億ドル。金融部門を除く売上高は10.1%減の16億5080万ドルで、市場予想の16億7000万ドルを下回った。1−3月に続き、ドル高と出荷数の減少が響き前年比割れを迎えた。

出荷台数は8万8931台で、前年同期の9万218台から減少した。米国が5万7790台と、前年同期の5万8225台以下にとどまる。海外向けも3万1141台と、前年同期の3万1993台に届かなかった。アジア太平洋で16.6%増だったものの、欧州・中東・アフリカで2.6%減、南米とカナダで9.9%落ち込んだ。

2015年見通しは、出荷台数につき27万6000〜28万1000台(前年比2〜4%増)を維持。4月には、28万2000〜28万7000台(4〜6%増)から下方修正していた。7−9月期は5万4000〜5万9000台を見込み、前年同期の5万670台から減少を見込む。決算が予想を上回ったため、株価は一時3.6%上昇した。

(カバー写真:Mike Mozart/Flickr)

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