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【追記】21日の決算レビュー:アップル、マイクロソフト

by • July 21, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2301

Earnings Roundup : Apple, Microsoft.

21日は注目の決算が怒濤のように発表されており、アップルとマイクロソフトが引け後に被っていました。従いまして今回、アップルを個別でなくまとめておさらいさせて頂きます。

▽アップル、決算は予想上回るもアップル・ウォッチ販売台数公表せず

テクノロジー大手が発表した4−6月(第3四半期)決算では、テクノロジー大手が発表した4−6月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比37.8%増の106億7700万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は1.85ドルと、市場予想の1.81ドルより強い。売上高は496億500万ドルと、市場予想の494億3000万ドルを上回った。粗利益率は39.7%。前年同期の39.4%だけでなく同社の事前予想38.5〜39.5%のレンジを超えた。

製品別の販売台数および売上()内は、以下の通りで%は前年比。注目のアップル・ウォッチの販売台数につき、発表を控えた。その他製品に組み込んでおり、同部門の売上高は1−3月期から56.4%増を果たしている。

・iPhone  35%増の4753万台(59%増の313億6800万ドル)>市場予想 4730万台
・iPad  18%減の1093万台(23%減の45億3800万ドル)<市場予想 1110万台
・Mac 9%増の480万台(9%増の60億3000万ドル)<市場予想 510万台
・サービス(iTuneストア、アプストア、アップルケア、その他サービス) 12%増の50億2800万ドル、過去最高を更新
・その他製品(アップル・ウォッチ、ソフトウェア、iPod、アップルTV、ビーツなど) 49%増の26億4100万ドル>アップル・ウォッチを含まない1−3月期は10%減の16億8900万ドル

国・地域別動向、海外に占める売上の割合は69%

・米国大陸→前年同期比15%増、前期比の5%減の202億900万ドル
・欧州→前年同期比19%増、前期比15%減の103億4200万ドル
・中華圏→前年同期比112%増、前期比21%減の132億3000万ドル
・日本→前年同期比9%増、前期比17%減の28億 7200万ドル
・その他アジア→前年同期比26%増、前期比30%減の29億5200万ドル

3期連続で中華圏の成長が目覚ましく、売上ベースでは過去最高を遂げるなか2期連続で欧州を抜き去りました。ゴールド・カラーを加えたiPhoneで人気を集め、アップルにとって中国は米国に次ぐ2番目に大きな市場たる存在感を放ちます。

iPhoneに押し上げられ、中国での快進撃は継続。
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(出所:Cult of Mac

以下は、1−3月期の見通し。

・売上高 →490億〜510億ドル<市場予想は510億5000万ドル
・粗利益率 →38.5〜39.5%<4−6月期は39.7%
・営業費用 →58億5000万〜59億5000万ドル>4−6月期は25.7%増の55億9800万ドル

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、カンファレンス・コールにて1−3月に続き「アンドロイドからiPhoneへの乗り換え率は過去最高を更新した」と説明した。アップル・ウォッチをめぐっては「第3者メーカーによるアプリを8600件そろえている」と明かす程度に。サービス収入は「50億ドルを突破し、過去最高を更新した」と自。アップル・ミュージックの無料利用者数は軽く100万人を超え、毎日増加しているとコメントした。

アップル・ウォッチの詳細を発表しない理由を質問されたクックCEOは「以前から出荷動向を発表しないことに決めている」と回答。競争上の理由と説明しアップル・ウォッチは新しいカテゴリーを生みホリデー商戦でのギフトとして人気を集める予想した。

中国の景気減速と株安についての質問で、クックCEOは「株式市場に参加する中国人個人投資家は依然として非常に少なく、懸念は行き過ぎだろう」と発言。短期的に失速する場面が想定されるものの「中国に強気であり投資を継続する方針で、いずれ売上シェアでトップに躍り出るだろう」と予想した。

ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は、アップル・ウォッチこそ「その他サービスの増収率のうち100%以上を占める」とし、iPodやアクセサリーの減少分を相殺したと説明した。ドル高をめぐっては「2014年7−9月期に利益率が低下した」と指摘。その上で、今年の7−9月期も減速を予想。もっとも「商品価格の下落は好材料であり、為替の悪材料を打ち消す可能性がある」とも付け加えた。新学期セールがポジティブに作用するとの考えも示した。

——時間外取引で、株価は一時8%超も急落しました。アップル・ウォッチの詳細発表を見送ったため、売上懸念の台頭を招いたかたちです。7−9月期の売上高も予想に届かなかったところをみると、アップル・ウォッチはやはり期待外れだった?

追記:決算内容を受け、アナリストは強気姿勢を崩さず。ロイターによると、アップルをカバーする19社のうち、カウエンの1社しか投資判断を引き下げなかった。カウエンは「アウトパフォーム」から「マーケットパフォーム」へ引き下げ、中国を懸念材料に挙げた。その他、14社は「買い」を維持。経済金融局CNBCで看板番組を持つジム・クレイマー氏は「投資判断引き下げの用意が整った」と述べつつ、「株価が低過ぎ売る水準ではない」とも付け加えている。JPモルガンは、iPhone平均販売価格を理由に株価下落が行き過ぎと主張していた。

▽マイクロソフト、業績は予想上回るも過去最悪の赤字計上

ソフトウェア大手が発表した4−6月(第4四半期)決算では、純損益は31億9500万ドルの赤字だった。ノキアの減損76億ドルをはじめ再編や統合などの費用全体で84億ドル計上したためで、前年同期の46億1200万ドルの黒字から転換。過去最悪の赤字を示現した。調整済みの1株当たり利益は0.62ドルと、市場予想の0.56ドルより強い。売上高は5.1%減の221億8000万ドルながら、市場予想の220億300万ドルを上回った。為替差損を除く場合は、2%減にとどまる。

収入の部門別は、以下の通り。()内は為替変動を除くベースを示す。

>デバイス・消費者向けライセンシング:34%減(33%減)の32億3300万ドル
>コンピューティング・ゲーム用ハードウェア:44%増(50%増)の19億3300万ドル
>携帯電話・ハードウェア:38%減(34%減)の12億3400万ドル、ルミアの販売台数は840万台で1−3月期の860万台から鈍化
>消費者向けデバイス・その他:31%増(35%増)の23億ドル
>商業ライセンシング:7%減(4%減)の104億5100万ドル
>商業・その他:36%増(41%増)の30億7600万ドル

製品別動向は、以下の通り。()内の%は為替変動をの除く場合を示す。

>クラウドサービス(オフィス 365、Azure、ダイナミクス CRMなど)収入:88%増(96%増)の8億3200万ドル、年間収入80億ドル超となる公算
>個人向けクラウドサービス”オフィス 365”の利用者数:前期比22.6%増の1520万人
>サーバー製品・サービス収入:4%増(9%増)
>検索広告収入:21%増、検索エンジン”Bing”のシェアは21%と1−3月期の20.1%および前年同期の20.3%から上昇
>サーフェスの売上高:前年同期比117%増の8億8800万ドル、”サーフェス Pro 3”のほか新たに発表した”サーフェス 3”がけん引
>ウィドウズ OEM Proの収入:前年同期比22%減の6億8300万ドル
>ウィンドウズ OEC non-Proの収入:前年同期比27%減

——屋台骨となる商業部門の収入は、前年同期比0.2%増の135億2700万ドルと1−3月期の5%増から鈍化していました。パソコン需要の低下を背景に、ウィンドウズのライセンス収入もことごとく弱い。クラウドサービスが大幅増を達成しつつ、課題を残す結果となっています。過去最悪の赤字計上も重なり、時間外取引では一時3.8%落ち込みました。

追記:決算を受け、アナリストは投資判断据え置きが優勢。クレディ・スイスは「アウトパフォーム」、目標株価を55ドルで維持した。オッペンハイマーも「アウトパフォーム」、目標株価を50ドルで保つ。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは「アンダーパフォーム」、目標株価を39ドルで据え置いた。

(カバー写真:Andreas Kambanis/Flickr)

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