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米10月マークイット・サービス業PMI・速報値、景気減速懸念に抗えず

by • October 28, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1861

Markit Service PMI Falls 9-Month Low, Housing Price Index Stays Steady.

米10月マークイット・サービス業PMIと米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数を振り返ります。

▽米10月マークイット・サービス業PMI、9ヵ月ぶり低水準

米10月マークイット・サービス業PMI速報値は54.4となり、前月の55.6を下回った。9ヵ月ぶりの低水準を示す。内訳をみると、新規受注と生産が9ヵ月ぶりの落ち込みをみせ、新規受注も年初来で最低となり統計開始からの過去平均値にも届かず。雇用も芳しくない。世界的な需要鈍化を背景とした低インフレ環境を反映し、仕入れ価格は2010年11月以来の弱さをみせた前月とほぼ変わらなかった。総合PMIは54.5で、前月の55.0から低下。少なくとも1月以来の水準ヘ沈んでいる。

サービス業PMIも、世界景気減速の波に無傷でいられず。
markit
(出所:Markit)

発表元であるマークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「10-12月期の成長率が予想以上に鈍化する可能性を点灯させた」と指摘した。項目別の動向でも「見通しが弱含んだほか楽観的な見方が金融危機の最中にあった時期以来の低水準であり、雇用も著しく落ち込んだ」と振り返る。その上で米7-9月期国内総生産(GDP)予想を「従来の2.2%増から1.8%増」へ引き下げ、経済が成長拡大へ向け足場を固めなければ「Fedは利上げ開始を年明けへ後ろ倒しさせかねない」と予想した。

▽米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数、前月から伸び加速

米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.09%上昇の182.47となり、市場予想の5.10%とほぼ変わらなかった。前月の4.91%(4.96%から下方修正)を上回り、7月を除き四捨五入後で5%乗せ。2年15ヵ月連続でプラス圏を維持しながら、2013年2月以来の10%割れを保つ。前月比では0.44%上昇し、前月の0.31%超えた。季節調整済み・20都市別の前月比は0.11%低下し、市場予想の0.10%を若干上回る。前月の0.20%からは鈍化した。

20都市別の前年比では、2月から7月にかけて続くトレンドを維持しすべて上昇。1月の14都市を上回った水準を維持している。トップはコロラド州デンバーとカリフォルニア州サンフランシスコが並び10.7%と、2桁上昇を堅持した。2位はオレゴン州ポートランドで9.4%。3位はテキサス州ダラスで8.9%となる。最も伸びが低い都市は、ニューヨーク州NYで1.8%、次いでイリノイ州シカゴとワシントンD.C.が並び1.7%だった。

発表元のS&P ダウ・ジョーンズ指数委員会のデビッド・ビルザー委員長は、結果を受け「全米で4−5%のレンジを続けた」と振り返りつつ、米9月住宅着工件数のほか米10月NAHB住宅市場指数などの強含みを評価した。また、足元の住宅価格がインフレ水準を上回っているとも指摘。米9月消費者物価指数のコアが前年同月比1.9%である一方、住宅価格は5%であり「住宅市場がピークを迎え、かつインフレが住宅価格の伸びを上回っていた2005~06年当時より大きい」。直近の底打ちから回復が1995~05年より早かった理由として、物価が抑制されているだけに住宅市場に資金を振り向けやすかったと考えられる。

——住宅価格が物価より伸びが著しい半面、時間当たり賃金の伸び2%付近を倍近く上回る水準に違いはありません。労働市場のたるみが改善されない限り、住宅市場が鈍化する可能性をはらみます。雇用の7割を占めるサービス業のセンチメントも減速しており、慎重にみておきたいところです。

(カバー写真:My Big Apple NY)

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