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米10月小売売上高は予想以下も、米9月企業在庫は堅調

by • November 15, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1401

Stronger Business Inventories Trade Off Weak Retail Sales.

米10月小売売上高は前月比0.1%増となり、市場予想の0.3%増を下回った。前月の±0%(0.1%増から下方修正)から小幅な改善にとどまる。米10月新車販売台数が2005年7月以来の加速を遂げたものの、中古車や部品などの値下げ効果からか全体を押し下げた。自動車を除いた場合は0.2%増ながら市場予想の0.1%増に届かず。前月の0.4%減(0.3%減から下方修正)からは、反発した。国内総生産(GDP)に反映されるコア小売売上高(食品、自動車、燃料、建築材を除く)は0.2%増。過去2ヵ月分は(9月:0.1%減→0.1%増、8月:0.4%増→0.2%増)まちまちで、勢いに乏しい。GDPの7割近くを担う消費は、ハロウィーンの波に乗って拡大できなかった。

内訳をみると、主要13カテゴリー中6項目増加。前月分の速報値である5項目から増加した。

(プラス項目)
・雑貨類→1.8%増、前月の2.7%減から反転し6ヵ月間で5回目の増加
・建築材→0.9%増、前月の0.3%減から反転し6ヵ月間で3回目の増加
・健康→0.7%増、前月の0.2%増と合わせ6ヵ月間で5回目の増加

・外食→0.5%増、前月の0.2%増から反転し6ヵ月間で5回目の増加
・スポーツ衣料/書籍→0.4%増、前月の1.3%増を含め6ヵ月間で4回目の増加
・家具→0.4%増、前月の0.6%増と合わせ6ヵ月間で4回目の増加

・服飾→±0%、前月は0.1%減で6ヵ月間にて3回減少

(マイナス項目)
・オンラインを含む非店舗→1.4%減、前月の0.3%増から反転し6ヵ月間で5回目の増加
・ガソリンスタンド→0.9%減、前月の4.0%減と合わせ6ヵ月間で4回目の減少
・自動車→0.5%減、前月の1.4%増を含め6ヵ月間で2回目の減少

・食品・飲料→0.3%減、前月の0.1%増減と合わせ6ヵ月間で2回目の減少
・電気製品→0.4%減、前月の0.4%増から反転し6ヵ月間で3回目の減少
・一般小売→0.4%減、前月の0.5%増から反転し6ヵ月間で1回目の減少(*百貨店は0.3%増で、2ヵ月連続で増加)

今回は、過去2ヵ月と異なり自動車関連が不振。
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(出所:Census Bureau)

▽米9月企業在庫、増加トレンドを5ヵ月で止める

米9月企業在庫は前月比0.3%増となり、市場予想の±0%を上回った。前月の0.1%増(±0%から上方修正)を超え、2ヵ月連続で増加。ドル高や世界景気の減速を背景に製造業が引き続き0.4%減と足を引っ張ったものの、小売と卸売はホリデー商戦前にそれぞれ0.8%増と0.5%増と力強い伸びを示した。

企業売上高は±0%となり、6ヵ月ぶりに減少した前月の0.6%減から改善できず。在庫と同じく製造業が0.4%減と前月の0.9%減を含め3ヵ月連続で落ち込んでいる。卸売は0.5%増と3ヵ月ぶりに増加。小売は2ヵ月連続で±0%減だった。在庫が増加し売上が横ばいだったため、在庫相当は前月の1.37ヵ月から1.38ヵ月へ延びた。少なくとも、2009年7月以来で最大となる。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受けて「米7−9月期の個人消費は3.2%増から3.3%増へ拡大する」と指摘した。米9月企業在庫の上振れと合わせ、同GDP改定値は「速報値の1.5%増から2.0%へ拡大する」と予想。米10−12月期GDPは「コア小売売上高が振るわず、当方の見通し2.5%増からやや下振れする余地がある」とした。もっとも、2%台を維持する公算で堅調なペースとなりうる。

ゴールドマン・サックスは、米10−12月期GDP予想を従来の2.0%増から2.3%増へ引き上げた。

――10月小売売上高は自動車が予想外に足を引っ張ったほか、ガソリン価格の下落が響いています。企業在庫が上向いたため米7−9月期GDPは上方修正される見通し。では、アトランタ地区連銀の試算をみると・・。

従来と変わらず、2.3%。3%近くへ上振れした後に再び伸びが縮小してきたとはいえ、米国が巡航速度で成長している姿が浮き彫りとなっています。芳しくない米10月小売売上高は、12月利上げへの障害となりそうにありません。

(カバー写真:elysiumcore/Flickr)

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