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米11月小売売上高、ホリデー商戦を追い風に息を吹き返す

by • December 11, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2291

Holiday Spirit Cheers Retail Sales, PPI Rise More Than Expected.

米11月小売売上高は前月比0.2%増となり、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.1%増は超えている。米11月新車販売台数が快進撃をたどったものの、中古車や部品などの値下げ効果からか自動車を除いた場合は0.4%増と市場予想の0.3%増から加速。前月の0.1%増(0.2%増から下方修正)も上回った。国内総生産(GDP)に反映されるコア小売売上高(食品、自動車、燃料、建築材を除く)は0.6%増。ホリデー商戦開幕に伴い、力強い伸びを達成した。

内訳をみると、主要13カテゴリー中9項目増加。前月分の速報値である6項目から増加した。ホリデー商戦が火蓋を切ったせいか服飾、一般小売、雑貨などが上位に入っている。

(プラス項目)
・服飾→0.8%増、前月は0.5%減
・スポーツ衣料→0.8%増、前月は0.1%増
・一般小売→0.7%増、前月は0.1%減(*百貨店は±0%、前月は0.1%増)

・雑貨類→0.7%増、前月は0.3%減
・食品・飲料→0.7%増、前月は0.2%減
・健康→0.7%増、前月の0.2%減

・外食→0.7%増、前月は0.3%増
・オンラインを含む非店舗→0.6%増、前月は1.4%増
・電気製品→0.6%増、前月は0.1%減

(マイナス項目)
・ガソリンスタンド→0.8%減、前月は1.0%減
・自動車→0.4%減、前月は0.3%減
・家具→0.3%減、前月は0.9%増
・建築材→0.3%減、前月は0.9%増

全体的に好調ながら、前年比の小売売上高は1.4%増と2009年11月以来の小幅な伸びに。
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(出所:Census Bureau)

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「9月分のコア小売売上高が0.1%増から±0%へ下方修正されたため、米7−9月期GDP確報値の予想を従来の1.8%増から1.7%増へ引き下げる」とした。11月分に対しても、慎重な見方を維持し「10−12月期の消費見通しは前期比年率2.3%増、GDPも2.0%増とする当方の予想を下回るリスクがあると見込む」と結んだ。

▽米11月生産者物価指数、予想外に加速

米11月生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想の±0%より強い結果を示した。前月の0.4%の低下から反転。4ヵ月ぶりにプラス圏を回復している。コアPPIも0.3%上昇し市場予想の0.1%を上回っただけでなく、前月の0.3%の低下から反発した。PPIは前年同月比では1.1%低下し、過去最低を迎えた前月の1.6%の低下から下げ幅を縮めている。ただ、11ヵ月連続でマイナスをたどった。コアPPIは0.5%上昇し、前月の0.1%から加速した。

内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.5%上昇し、3ヵ月ぶりにプラス圏を回復した。サービスのうち3割を占める貿易も1.2%上昇し、前月の0.7%の低下をはじめ3ヵ月ぶりに反発。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.1%上昇し、こちらも3ヵ月ぶりにプラス圏へ切り返した。1割弱を占める輸送・倉庫も0.3%上昇し、2ヵ月連続で堅調。食品は前月まで2ヵ月連続で0.8%低下した後、0.3%上昇した。モノは0.1%低下し、前月の0.4%から下げ幅を縮小しつつ5ヵ月連続でマイナス圏へ沈んだ。エネルギーは前月こそ横ばいだったが、今回は0.6%低下した。

BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果を受け「過去2ヵ月に下振れした後であるほかPPIの変動は直近激しく、今回の上振れを基調の変化とは捉えていない」と指摘した。

——米11月小売売上高は安堵する数字が飛び出した半面、前年比でみると実は2009年11月以来の低水準なんですよね。トレンドとして伸びが縮小している点も気掛かりで、12月はホリデー商戦を背景とした個人消費の底力が試されます。

米11月PPIは米11月輸入物価に反し予想外の強さを見せつけたものの、発表元の米労働統計局はサービスの60%が服飾、靴類、アクセサリーで6.2%上昇した分を反映していると説明していました。値下げ合戦を続ける分野で、今後も上昇を続けるかは疑問が残ります。

(カバー写真:Gene Han/Flickr)

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