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米12月中古住宅販売件数、07年以来で3番目の高水準も見通しさえず

by • January 25, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1661

Will Existing Home Sales Rebound Continue?

全米リアルター協会(NAR)が発表した米12月中古住宅販売件数は年率546万件と、市場予想の520万件を上回った。2014年4月以来の水準へ沈んだ前月の476万件から14.7%も増加。2007年以来で2番目の高水準だった9月の555万件に接近している。前年比では7.7%増と、14ヵ月ぶりにマイナスへ転落した前月の3.8%の低下(速報値ベース)からプラスを回復した。

内訳をみると、一戸建てが前月比16.1%増の482万件と前月分の減少(10.5%減)を打ち消した。複合住宅は4.9%増の64万件と、前月に続き増加している。

4大地域別では、11月とは正反対にも前月比で全て増加。今回は西部が23.2%増の122万件、南部は14.6%増の227万件、中西部は10.9%増の122万件とそれぞれ3ヵ月ぶりに反発している。北東部も8.7%増の75万件と、前月から増加に転じた。

在庫件数は、前月比12.3%減の179万件と5ヵ月連続で減少した。在庫件数が減少した一方で販売件数が増加したため、在庫相当は前月の5.1ヵ月から3.9ヵ月へ短縮している。中央価格は前年比で7.6%上昇の22.41万ドル。前月比では1.9%上昇し2ヵ月連続で上向いた。売り出し平均期間は58日で直近最長を塗り替えつつ、前年同月の66ヵ月以下にとどまる。

買い手の内訳は、以下の通り。

・差し押さえ物件 6%<前月は7%、前年同月は8%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 2%=前月は2%、前年同月は3%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 8%<前月は9%、前年同月は11%
・新規購入者 32%、4ヵ月ぶり高水準>前月は30%、前年同月は29%
・現金での購入者 24%<前月は27%と直近で最高、前年同月は26%
・住居用ではなく投資向け 15%<前月は16%、前年同月は17%

米12月中古住宅販売件数、足元の流れは複合住宅がしっかり。
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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「2015年の中古住宅販売件数は前年比7%増の526万件と、2006年以来で最高だった」と振り返る。そのうち、新規購入者は30%と、2013~14年の29%から上昇した。12月に中古住宅販売が回復した背景については、11月に急減した反動のほか12月の大幅反発に寄与したと言及。また「平年を上回る気温や金利上昇懸念も現時点での購入を促した」とも説明した。ただ2016年は「供給不足、住宅金利の上昇、原油生産地での住宅需要低下を背景に販売ペースが抑えられるだろう」と見込む。

――NARのユン米エコノミストは基本ブルでしたが、ここにきて原油一段安や世界同時株安、中国をはじめとする世界景気減速への不安を一因に2016年中古住宅販売件数の減速を予想してきました。リスク・オフ相場で金利こそ低下していますが、MBA住宅ローン申請件数指数は年初からさえません。ひとまず年明け1月は北東部を中心とした豪雪もあって、中古住宅販売件数は失速の気配。住宅建設大手からも、市場予想を上回ったとはいえ住宅建設の売上が2011年10-12月期以来で最低だったとの決算が上がっており、住宅市場も鈍化の波が押し寄せつつあるようです。

(カバー写真:Jeremy Levine/Flickr)

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