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米2月ミシガン大消費者信頼感・速報値、予想以下もレンジ内を維持

by • February 15, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2451

Michigan Consumer Confidence Declines, But Stays Rangebound.

米2月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は90.7と、市場予想の92.3以下にとどまった。前月の92.0も下回り、4ヵ月ぶり低水準。内訳をみると、見通し指数が81.0と前月の82.7に届かず、5ヵ月ぶりの水準へ下振れした。2015年12月の水準に並び、速報値の85.7から引き下げられた。現況指数は105.8と、3ヵ月ぶりの水準に低下した。米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)がホリデー商戦明けに4ヵ月ぶりの下振れを示したほか、株安もあってセンチメントを押し下げた可能性を示す。

原油先物が30ドル割れを中心に推移するなか、インフレ見通しは1年先につき2.5%で前月と変わらず。ただし、5−10年先は前月の2.7%から2.4%へ減速し過去最低を更新した。

ミシガン大学のエコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「ヘッドラインは2015年下半期の平均値91.0から0.3ポイント下回る程度」と振り返る。今回の低下は「見通し指数で雇用と賃金の伸び増加ペース鈍化が原因」と説明。カーティン氏は「家計見通しはインフレ低下に伴い良好」だったと指摘しつつ2016年の個人消費見通しは「2.7%増」とし従来の2.8%増から下方修正した。なお速報値ベースで2015年GDPは前期比年率2.4%増と前年と変わらず、2010年以来で最高を保つ。個人消費は3.1%増で、2005年以来と金融危機以前の水準へ上振れしていた。

信頼感指数、見通し指数は低下も2001~07年平均の80.8超えは維持。

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(作成:My Big Apple NY)

・1年先の家計見通し指数 126>前月は124
向上する 35<前月は36、3ヵ月ぶり高水準
変わらず 52>前月は49
悪化する 9<前月は12

・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数 79<前月は82
所得の伸びが物価を上回る 22、3ヵ月ぶり低水準<前月は23
所得の伸び率と物価が同じ 34、4ヵ月ぶり低水準<前月は35
所得の伸びが物価を下回る 43、4ヵ月ぶり高水準>前月は41

・1年先のビジネス見通し指数 102、3ヵ月ぶり低水準<前月は104
向上する 20、3ヵ月ぶり低水準<前月は24、6ヵ月ぶり高水準
変わらず 58>前月は51、直近で最低
悪化する 18<前月は20、3ヵ月ぶり高水準

・1年先の失業率見通し指数 93>前月は89、直近で最低
低下する 19>前月は18、直近で最低
変わらず 53>前月は52、3ヵ月ぶり低水準
上昇する 26<前月は29、直近で最高

・1年先の金利見通し指数 52>前月は39(低下を見込む場合に指数は上昇)
低下する 9、少なくとも8ヵ月ぶり高水準>前月は7
変わらず 33、3ヵ月ぶり高水準<前月は24、直近で最低
上昇する 57、直近で最低<前月は68

・1年先のガソリン価格指数 18.8>前月は15.6(上昇を見込む場合に指数は上昇)
下落する 11<前月は14、4ヵ月ぶり高水準
変わらず 41=前月は41
上昇する 48>前月は45

・自動車購入指数 149<前月は152
買い時 72<前月は73、直近で最高
分からない 5<前月は6
買い時ではない 23>前月は20、直近で最低

・住宅購入指数 158=前月は158
買い時 79>前月は78
分からない 0<前月は2
買い時ではない 21>前月は20

——米2月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。

1)家計見通しは楽観度上昇、物価の伸びが賃金以下との回答増加が背景
2)失業率見通しは改善トレンドを維持
3)ビジネス見通しは、世界景気の減速や株安が痛手となったためか楽観度低下
4)金利見通しは低下も自動車購入意欲は低下、住宅購入意欲は横ばい、

米2月ミシガン大消費者信頼感・速報値は前月から低下したものの、詳細をみると家計に楽観度の後退は見られません。米成長率の7割を担う個人消費が落ち込みさえしなければ、米国はリセッションに陥るリスクは低いと考えられます。シェール関連企業の破綻が景気後退を引き起こすとの不安が台頭していますが、ひとまず企業の資金繰り、銀行、投資家の問題ですよね。ババ抜き状態でサブプライム問題を彷彿するとはいえ、後者はGDPの心臓部にあたる家計を直撃し、「未曾有の危機」を引き起こしたという点が違います。しかも、米国のGDPにおいてエネルギー関連に占める割合は約6%です。9%に手が届きそうなメキシコですら景気後退への懸念が浮上していません。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙はエコノミストへの世論調査を基に、向こう12ヵ月間の景気後退入りのリスクを21%とし、1年前から倍増し2012年以来の水準へ上昇したと伝えていました。もちろんシェール関連の損失拡大に伴う銀行の資金繰り懸念や投資のドミノ倒しによる実体経済に及ぼす影響は計り知れませんが、現時点で米国のリセッション不安は行き過ぎではないでしょうか。

(カバー写真:frankieleon/Flickr)

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