Housing Starts Rebound While Building Permits Fall.
米2月住宅着工件数とMBA住宅ローン申請件数指数を振り返ります。
米2月住宅着工件数は年率117.8万件となり、市場予想の115.0万件より強い結果となった。前月の112.0万件(109.9万件から上方修正)を5.2%上回り、2015年9月以来の高水準。3ヵ月ぶりに増加に転じた。
内訳をみると、一戸建てが前月比7.2%増の82.2万件と、3ヵ月ぶりに増加した。複合住宅も0.8%増の35.6万件となり、ヘッドラインに寄与している。前年比での住宅着工件数は30.9%増となり、4ヵ月連続で増加したなかで最大に達した。一戸建てが7.2%増と過去3ヵ月分の減少分を補って余りある伸びを遂げたほか、複合住宅も0.8%増と前月の9.5%減からプラスに転じた。
4大地域別では、3地域で増加し前月のゼロから改善した。今回は、西部が26.1%増の30.9万件(3ヵ月ぶりに増加)と直近で最高に達したほか、中西部も19.9%増(4ヵ月ぶりに増加)の18.1万件と2桁の伸びを示す。石油関連企業が集まる南部も7.1%増の61.5万件と、3ヵ月ぶりに増加した。北東部のみ減少し、51.3%減の7.3万件となる。
米2月建設許可件数は116.7万件となり、市場予想の120.0万件とに届かなかった。前月の120.4万件(120.2万件から上方修正)を3.1%下回り、前月の横ばいから減少に転じている。内訳をみると、複合住宅が8.4%減の43.6万件と沈み全体を押し下げており、一戸建てが0.4%増の73.1万件と前月の減少分を打ち消した。建設許可件数の前年比は6.3%増と、速報値の13.5%増から減速しつつ15ヵ月続けてプラスを示す。一戸建てが16.8%増(前月の速報値は9.6%増)、複合住宅が7.6%減(前月の速報値は8.4%減)だった。
米2月建設中件数は前月比0.9%増の98.7万件となった。増加トレンドを維持するなか、件数ベースでは少なくとも2008年4月以来の100万件乗せが迫る。一戸建てが1.4%増の42.7万件と12ヵ月連続で増加したほか、複合住宅も0.5%増の56.0万件と前月の横ばいから増加に転じた。
住宅着工件数は増加も、建設許可件数は複合住宅が弱く減少。
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受けて「一戸建てが強い伸びを示した上、過去2ヵ月分が上方修正され2.9%増に相当する」と指摘した。建設許可件数が振るわなかったとはいえ、「複合住宅が押し下げたものの、水準としては底堅さを示しあくまでレンジ内での上下動に過ぎない」と結んだ。
▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下で借換需要を刺激
全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、3月11日週に前週比3.3%低下し481.0だった。前週から低下に転じている。特に借換が5.6%低下の1940.3と、4週連続でマイナスに。新規は0.3%上昇の226.3と、前週の4.2%から鈍化しつつ続伸している。金利上昇を背景に、借換が押し下げた格好だ。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は20.9%上昇し、前週の20.0%から小幅に拡大した、新規が32.6%上昇(前週は30.1%の上昇)、借換も12.8%上昇(前週は9.8%の上昇)から伸びを拡大した。
30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は3.94%と、前週の3.89%を超え1年前の水準近くまで上昇した。世界同時株安から一転、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和も重なってリスク・オン相場に転じるなか、住宅ローン金利もつれて上昇した。15年固定金利型(平均)は前週も3.14%から3.22%へ上向き、直近で最高。FHAのローン金利も3.86%と、前週の3.81%を下回った。
申請全体に占める借換の割合は55.0%と、前週の56.7%から低下した。2009年6月以来の低水準となった2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。
——米2月住宅着工件数・一戸建てのうち75%が販売目的とされるため、61.7万件が住宅市場に流れ込む見通しです。米1月新築住宅販売件数に程遠い水準で、在庫ひっ迫解消に向けた期待が高まります。米3月NAHB住宅市場指数が伸び悩んでいましたが、NAHB側は在庫増加に言及していないので、中古住宅市場に流れる可能性も捨てきれません。
(カバー写真:Geoff/Flickr)
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