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米3月チャレンジャー人員削減予定数、前月比は減少も四半期で増加

by • April 1, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1974

Monthly Job Cuts Fall, Quarterly Total Up 31%.

米3月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比31.7%増の4万8207人だった。3ヵ月連続で増加している。削減予定数自体は、3ヵ月ぶりの低水準。前月比では21.7%減となり、2ヵ月連続で減少した。産業別ではエネルギー産業の人員削減が押し上げており、全体の16.6%と2月の26.5%や1月の26.8%から低下したものの、2桁シェアを維持。2015年12月の7.1%が遠い状況だ。

人員削減予定数、エネルギーが押し上げつつ他セクターは改善。
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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、前月比ベースにて3地域で減少。2月の2地域から増加した。今回は積雪などに見舞われたが、IT産業が集まる西部が44.6%減の2万541人、中西部も7.9%減の1万2804人とそれぞれ減少に反転。南部は17.7%減の6080人と、2ヵ月連続で減少した。北東部のみ、163.8%増の8782人と増加に転じている。

1-3月期では、前年同期比31.8%増の18万4920人だった。原油安の影響で、エネルギー関連が39.9%増の5万2901人と全体の28.6%を占める。原油先物の下落が直接、人員削減に響いたケースでは全体の27.1%にあたる5万53人を計上した。そのほか、小売が41.5%増の3万1832人、コンピューターも147.8%増の1万7002人に及んだ。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「年初の2ヵ月間と比較して人員削減予定数は鈍化したが、それでも2015年のペースを上回る」と指摘した。セクター別では「エネルギー関連ではなく、小売やコンピューターで大きく増加しエネルギー以外のセクターに波及しつつある」と分析。まだ警戒レベルに達していないものの、「要注意」と言及した。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1-2月に続きトップに立った。1-2月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も2位に。3位は2月と変わらずカリフォルニア州で、1月の圏外から上位を維持した。4位は1-2月に圏外だったニューヨーク州がランクインし、代わりに2月に4位だったオハイオ州が5位に転落。前月に5位だったアイオワ州は圏外に押し出された。

1位 テキサス州 6万350人
2位 アーカンソー州 1万6200人
3位 カリフォルニア州 1万4198人
4位 ニューヨーク州 7187人
5位 オハイオ州 7173人

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通りで、%は前年同期比を示す。1位は前月に続きエネルギーで、2位も前月と変わらず小売が入っている。なお小売は1月にホリデー商戦明けとあって1位だった。3位は1-2月に続きコンピューターがランクイン。4位も原油安とドル高の打撃から、産業財で変わらない。5位のみ前月の化学から、ヘルスケアに交代している。3月の主な人員削減発表は、石油メジャーのBPが500人以上、航空機メーカーのボーイングが4000人、スイス大手銀クレディ・スイスが2000ン、医薬品関連のマッケソンが1600人、化粧品のエイボンが2500人、オフィス小売のステープルスが1000人など。

1位 エネルギー 39.9%増の5万2901人
2位 小売 41.5%増の3万1832人
3位 コンピューター 147.8%増の1万7002人
4位 産業財 39.1%減の1万839人
5位 ヘルスケア 46.5%増の7935人

3月の人員削減数ワースト5は、こちら。今回は2月に1位だったエネルギーが2位に下がり、2位だった小売が1位に浮上した。3位以下も変動し、3位はヘルスケア(前月は産業財)、4位は娯楽(前月はコンピューター)、5位は産業財(前月は政府)となる。

1位 小売 8490人(全体の17.6%)
2位 エネルギー 7747人(全体の14.8%)
3位 ヘルスケア 6236人(全体の12.9%)
4位 娯楽 6212人(全体の12.9%)
5位 産業財 3770人(全体の7.8%)

リストラ実施の理由、3月のランキングは以下の通り。

1位 閉鎖 1万4056人(全体の29.2%、前月は原油安)
2位 再編 9058人(全体の18.8%、前月も再編)
3位 原油安 8019人(全体の16.6%、前月はM&A)
4位 破産 6300人(全体の13.1%、前月はコスト削減)
5位 需要低下 3182人(全体の6.6%、前月は閉鎖)

セクター別の採用動向は、以下の通り。全体では1万997人となり、前月の7359人を超え3ヵ月ぶりの高水準を示す。

1位 小売 5200人(全体の47.2%)
2位 製薬 1025人(全体の9.3%)
3位 コンピューター 820人(全体の7.5%)
4位 航空 670人(全体の6.1%)
5位 輸送 500人(全体の4.5%)

――エネルギー関連の人員削減が引き続き全体を押し上げる半面、小売やコンピューターは採用も積極的で人材のミスマッチなどが発生している可能性を示唆します。例えば小売では単なる店舗店員ではなく電子商取引の知識がある人材を、コンピューターでもビッグデータやクラウドなどの人材需要のシフトが発生している場合も。ベージュブックでは、相変わらず特殊技能職が引く手あまたの状況が垣間見れますし、世界景気の鈍化が直接影響を与えているようには見えません。

(カバー写真:Juozas Kaziukenas/Flickr)

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