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米2月貿易収支、予想以上に赤字膨らみQ1GDP押し下げへ

by • April 6, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off3105

Trade Deficit Implicates Lower Than Expected Q1 Growth.

米2月貿易収支は470.60億ドルの赤字となり、市場予想の462億ドルから拡大した。前月の458.82億ドル(456.77億ドルから修正)を2.6%上回り、6ヵ月ぶりの高水準。赤字拡大は、3ヵ月連続となる。輸出と輸入がそろって増加したものの、輸入の伸び率が加速し赤字拡大につながった。

内訳をみると、輸出が1780.70億ドルとなり2011年6月以来の水準へ縮小した前月を1.0%上回った。5ヵ月ぶりに増加している。輸入は1.3%増の2251.30億ドルと増加に転じ、過去5ヵ月間で2回目の増加を示す。国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、605.18億ドル。前月の584.26億ドルを上回り、2015年3月以来で最大を記録した。なお2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。2014年の5050億ドルに続き、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加した。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受けて「1-2月期は輸入が小幅増加し輸出が減少したため、赤字拡大が見込まれる」と指摘した。仮に、3月が1ー2月期の結果に沿うようであれば「1-3月期の国内総生産(GDP)を0.25%ポイント押し下げる」と見込む。

貿易収支、輸出も輸入も世界景気減速の影響か減速。

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(作成:My Big Apple NY)

輸出の内訳をみると、モノは前月比1.6%増と5ヵ月ぶりに増加した。自動車をはじめ食品・飲料、消費財が増加した一方で、産業財や資本財などが減少トレンドをたどった。

(増加項目)
・消費財 6.7%増、前月の5.0%減から反転
・食品/飲料 3.3%増、前月の4.8%減を含め3ヵ月ぶりに増加
・自動車 2.8%増、前月の0.2%増から増加に反転

(減少項目)
・産業財 0.6%減、前月の2.9%減を含め5ヵ月連続で減少
・資本財 0.6%減、前月の2.8%減を含め3ヵ月連続で減少
・サービス 0.1%減、前月の0.2%増から転じ直近で久々に減少

輸入の内訳をみると、モノが1.5%増となり前月の1.6%減の減少分を打消した。過去5か月間で2回目の増加を示す。前月に続き原油安が響いたほか、量ベースでの原油関連輸入も6.0%減と2ヵ月連続で減少した。石油製品を除いた場合は2.4%増と、前月の0.6%減から増加に転じモノの輸入を支えている。

(増加項目)
・消費財 7.5%増、前月の0.2%減から転じ4ヵ月ぶりに増加
・食品/飲料 4.6%増、前月の1.3%増を含め4ヵ月連続で増加
・資本財 2.1%増、前月の2.4%減から転じ4ヵ月ぶりに増加

(減少項目)
・自動車 5.0%減、前月の1.6%増から転じ3ヵ月ぶりに減少
・産業財 2.7%減、前月の5.7%減に続き2ヵ月連続で減少

国別でのモノの貿易収支動向をみると、最大の赤字を抱える中国への赤字は前月比2.8%減の281.12億ドルと減少に転じた。中国が2015年8月に3日連続で人民元を切り下げた後に対中赤字は減少トレンドをたどり、1月6日にも人民元を切り下げた増加していない。日本への赤字は9.4%増の53.42億ドルと、増加に反転。欧州への赤字額は7.6%増の108.70億ドルで、こちらも増加に転じた。主な原油輸出国への貿易収支は赤字縮小が優勢。石油輸出国機構(OPEC)との貿易収支は17.74億ドルの黒字と、前月の3.64億ドルの赤字から黒字に反転した。カナダへの貿易赤字は12.9%減の10.17億ドル、メキシコへの赤字額に至っては12.9%減の59.83億ドルへそれぞれ縮小した。以下は、今回の貿易収支における輸と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。

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(作成:My Big Apple NY)

アトランタ連銀は、米2月貿易収支を受けて1-3月期のGDP予想を従来の0.7%増から0.4%増へ引き下げた。そのほか、エコノミストの軒並み下方修正している。

・JPモルガン 従来の1.2%→0.7%
・モルガン・スタンレー 従来の0.8%→0.5%
・バークレイズ 従来の0.7%→0.4%

今年は暖冬ながら、4月28日に予定する米1-3月期GDP速報値では大寒波に見舞われた2014-15年にならい低成長にとどまる可能性が濃厚となってきました。

(カバー写真:Louis Vest/Flickr)

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