Brexit Could Trigger Another Financial Crisis From Europe.
7月に入り、相場に暗雲が垂れ込めてきました。
BREXIT後の下落を相殺したものの、週末・月末・期末のドレッシング買いだったかのような展開を迎えています。期初入り、今まで静かだった相場にはBREXIT後のドミノ効果が直撃中。悪材料も、飛び込んできました。
▽英不動産ファンド3本、91億ポンド相当が取引停止
→英不動産ファンドの3本が、5日までに取引停止に見舞われました。
>4日、英保険大手スタンダード・ライフの不動産ファンド 29億ポンド
>4日、英保険最大手アビバの不動産ファンド、18億ポンド、
>5日、M&Gの不動産ファンド、44億ドル
▽伊3位の銀行に、資本注入かイタリア銀行
→3位への資本注入をめぐり、伊政府が欧州連合(EU)の承認を求め交渉中との報道。2013年にイタリア政府から39億ユーロの救済資金と130億ユーロ相当の保証を受けていた。
こうした一連の動きを経て、BREXIT初期反応のポンド安、株安、ユーロ安を再燃させています。
金融商品の取引停止というと、まわりまわってドイツ最大の銀行へ飛び火する懸念が燻ります。同行のデリバティブ総額は41.9兆ユーロとドイツ国内総生産(GDP)の14倍、ユーロ圏GDPの3倍に相当するんですね。VWの排ガス不正問題で株式デリバティブの損失が響いたことを踏まえれば、見過ごせる問題ではありません。同行の米国子会社の自己資本率は比較的高い水準にありながら、米連邦準備制度理事会(FRB)のストレステストで2年連続で不合格だったというのも、影を投げかけます。国際通貨基金(IMF)に至っては6月30日公表のレポートで、「システミック・リスクを与える最重要な銀行」と名指ししていました。当該銀行は2015年6月9日にS&Pにより格下げされましたが、8年前の同じ日にリーマン・ブラザーズがフィッチから格付けを引き下げられていたというのは、不気味ですらあります。
イタリアの銀行が抱える不良債権は、大いに懸念材料。イタリアの場合、同国銀行による融資のうち2015年末で18%が不良債権だというから驚きです。リーマン・ショックがウォール街を直撃した2008年での米国で3.0%、2009年で5.0%ですから、イタリアの際立った水準には目を見張ります。
イタリアの銀行融資に占める不良債権のシェアは、突出して高い。
こうしてみると、欧州発の金融危機というブラック・スワンが世界を揺るがすリスクに注意したくなります。
もちろん、世界経済や金融市場を激震させるような事態を防ぐため、各国政府並びに中央銀行は奔走するのでしょう。問題は、金融システムがそれまで待てるかどうかです。
(カバー写真:Roberto Trombetta/Flickr)
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