Personal Spending And Income Continue To Grow.
米7月個人消費支出は前月比0.3%増と市場予想に並びつつ、前月の0.5%増(0.4%増から上方修正)には届かなかった。2009年8月以来の高水準を果たした4月の1.0%増を下回り続けているものの、4ヵ月連続で増加。米4~6月期国内総生産(GDP)改定値に続き、順調な伸びを見せた。前年比では3.3%増と、前月の3.1%増から加速。2015年の平均値4.4%増には距離を置く。実質の個人消費は前月比で0.3%増と、市場予想の±0%から鈍化した。前月の0.4%増(0.3%増から上方修正)に続き、堅調な伸びを示す。個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。
・モノは0.23%増、前月の0.45%増を含め増加トレンド維持
>耐久財 1.65%増、前月の0.28%増と合わせ2ヵ月連続で増加
>非耐久財 0.50%減、前月の0.54%増から転じ5ヵ月ぶりに減少
・サービス 0.38%増、前月の0.59%増と合わせ4ヵ月連続で増加
耐久財は、新車販売台数が4ヵ月ぶりの年率1700万台割れを示した6月から回復したため伸びを加速させた。非耐久財は原油先物の上昇が一服した影響でガソリン価格が値下がりし、減少に反転。サービスは気温上昇に合わせ冷房需要が高まり、回復基調をたどる。
米7月個人所得は前月比0.4%増と市場予想と一致し、前月の0.3%増(0.2%増から上方修正)を上回った。5ヵ月連続で増加し、3ヵ月ぶりに高い伸びを示す。前年比は3.3%増と6月の3.1%増を超え、4ヵ月ぶりの高水準。可処分所得は前月比で0.4%増と5ヵ月連続で増加。支出が所得の伸びを下回ったため、貯蓄率は5.7%と2015年3月以来の水準へ鈍化した前月の5.5%から上昇した。
個人消費の低迷に反し、個人所得は順調で貯蓄率が上昇。
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金/所得 0.5%増、前月の0.5%増と合わせ5ヵ月連続で増加(民間が0.6%増と前月通り。製造業、鉱業、建設など財生産業が0.7%増と前月の0.2%減から大幅改善した。特に製造業が0.8%増と力強い。サービスは0.5%増と前月の0.7%増から鈍化。)。
・不動産収入 0.2%増、前月の0.6%増と合わせ2ヵ月連続で増加(農場が1.9%増と4ヵ月連続で増加し、非農場は0.1%増と前月の0.6%増と合わせ2ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.7%増、前月の0.4%増に続き29ヵ月連続で増加
・資産収入 0.3%増と4ヵ月ぶりに減少にて前月の0.2%減から好転(配当が0.4%増と前月の0.7%減から反転、金利収入は0.3%増と7ヵ月連続で増加)
・社会補助 0.4%増、前月の0.1%増を合わせ少なくとも20ヵ月連続で増加
・社会福祉 0.4%増、前月の0.1%増と合わせ増加基調を維持(メディケイド=低所得者層向け医療保険が1.1%増と3ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と増加トレンドを維持、失業保険は0.7%減と過去5ヵ月間で4回目の減少)
米7月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比±0%となり、市場予想と一致した。前月値の0.1%に及ばず。前年比は0.8%上昇し、市場予想に並ぶものの前月の0.9%以下に終わった。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想及び前月値と一致。コアPCEデフレーターの前年比は5ヵ月連続で1.6%の上昇となり、市場予想の1.5%は上回った。PCEとコアは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、2012年5月以来の「2%」割れを続けている。
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受けて「個人所得の伸びは好調だったものの、家賃の伸びがこれを上回り他は鈍い」と指摘した。個人消費をめぐっては「インフレ圧力を確認しないなかで実質の伸びも堅調で、7~9月期の個人消費へのパフォーマンスに期待が掛かる」とコメント。個人消費は2012~16年の平均値2.0%増を軽く上回るなか「4~6月期は前期比年率4.4%増を超える可能性すら出てきた」と評価する。ただし所得に対しては「賃金・所得が前月比0.5%、家賃が0.7%と力強さを示した一方で、他は鈍い」と付け加え、個人消費が勢いを維持する疑問を挟み込んだ。
――アトランタ連銀の米7~9月期GDP試算値は8月29日時点で3.5%と従来の3.4%から上方修正されました。予測開始まもない8月5日時点の3.8%を下回るとはいえ、仮に達成できれば2014年4~6月期(4.0%増)以来の高い伸びとなる見通しです。
(カバー写真:Saskia Bosch van Rosenthal/Flickr)
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