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米Q2家計資産は過去最高を更新、債務の伸びは鈍化

by • September 26, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1603

Household Net Worth Hits Record Again While Debt Growth Slows.

米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、米4~6月期家計資産報告(旧・資金循環報告)を発表した。資料によると、家計・非営利団体の純資産は前期比1.2%増の89兆627億ドルだった。英国民投票を挟みながら金融市場への影響が限定的だったため、3期連続で過去最高を更新している。

家計・非営利機関の資産のうち、特に金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比7150億ドル増の72兆3304億ドルだった。株式は市場価値ベースで4521億ドル増の23兆9437億ドル(直接、間接保有含む)となっている。金融資産における株式の割合は33.1%と、1年ぶりの水準を回復した。投資信託も45億ドル増の4兆3551億ドルと、株式と合わせ増加。S&P500は期間中、安定的に推移しBREXIT直後に急落したものの月末には下げ幅を取り戻した。

家計・非営利機関の預金残高は前期比67億ドル増の10兆8602億ドルと、過去最高を更新した。民間での年金資産は3兆3515億ドルと、3期連続で増加。2015年7~9月期に減少してから順調に増加し、最高を更新している。

家計部門の不動産資産は、住宅の値上がりや需要拡大を背景に前期比4080億ドル増の22兆2900億ドルとなり、全体を支えた。住宅ローンは9兆5532億ドルで、ホーム・エクィティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は少なくとも13兆ドル付近と弾き出せる。住宅価格の値上がりを支えに不動産価値の58.3%を占め、前期の57.8%を超え景気回復サイクルで最高を更新した。

国内債務は、前期比年率4.4%増の46兆3008億ドルだった。前期比年率では1~3月期の5.4%増から縮小、少なくとも2010年以来で最大を記録した2015年10~12月期の7.7%増から伸び鈍化をたどる。詳細は、以下の通りで伸びは全て前期比年率。

>家計の債務は4.4%増の14兆4521億ドルとなり、増加トレンドを維持
>消費者信用は6.4%増の3兆6431億ドルと2010年10~12月期以来、23期連続で増加。4月5月に新車販売台数が1700万台を回復し米4~6月期家計調査でも自動車ローン残高が過去最高だったように自動車ローンが引き続き支えたほか、学生ローンも寄与。
>住宅ローンは2.5%増の9兆5698億ドルと、好調な住宅指標が示すように2012年7~9月期以来12期連続で増加した。
>非金融セクターの企業は2011年1~3月期以来、22期連続で増加し4.1%増の13兆2234億ドルとなる。
>連邦政府は5.0%増の15兆5712億ドルと、2010年1~3月期以来の高水準だった2015年10~12月期の18.5%増から減速を継続。
>州・地方政府は2期連続で増加し、2.2%増の3兆541億ドルだった。

家計・非営利団体の債務は可処分所得に対し105.3%と、前期の105.2%から小幅上昇した。家計の信用残高でみた場合は4期連続で103.6%と、2002年7~9月期以来で最低を維持。2007年のピーク時にあたる135%から大幅に低下した水準を保つ。

足元のGDPと個人消費は後者が伸びを牽引、家計のバランスシート改善が一因か。

fof
(作成:My Big Apple NY)

――家計債務に占める割合は低水準であるため、消費ののりしろが大きいと判断できます。その割に、米8月小売売上高で明らかになった通り小売売上高は好調とは言えず。一連の経済指標を受け、NY連銀は米7~9月期GDP見通しを従来の2.8%から2.3%へ下方修正しており、やはり3%成長は遠い夢に終わりそうです。

(カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)

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