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米8月耐久財受注で、Q3も設備投資は減少するリスク浮上

by • September 29, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2046

Durable Goods Orders Suggest Weak Business Investment.

米8月耐久財受注、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。

米8月耐久財受注は前月比±0%となり、市場予想の1.5%減のようなマイナスを回避した。3ヵ月ぶりに増加した前月の3.6%増(4.4%増から下方修正)からは、鈍化を示す。防衛財が23.6%増と前月の38.5%増を含め2ヵ月連続で大幅に増加した。

輸送用機器は0.6%増となり、前月の8.9%増(修正値)を含め2ヵ月連続で増加した。民間航空機が減少したものの、自動車が増加し下支えした。

・民間航空機 21.9%減<前月は73.7%増、6ヵ月平均は9.0%増
・自動車 0.7%増>前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.4%減

輸送用機器を除く場合は0.4%減となり、市場予想の0.5%減より下げ幅をせばめた。3ヵ月ぶりに増加した前月の1.1%増(1.3%増より下方修正)から反転。過去6ヵ月間で3回目の増加を示す。

コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は0.6%増と、市場予想の0.1%減を超えた。前月の0.8%増(1.5%増から下方修正)を含め、3ヵ月連続で増加。過去6ヵ月間で4回目の増加となる。ただ内訳をみると、米8月鉱工業生産が芳しくなかったように、製造業や鉱業が弱い。

(増加項目)
・一次金属 0.2%増<前月は1.2%増、6ヵ月平均は±0%

(減少項目)
・コンピューター/電子機器 0.2%減<前月は2.5%増、6ヵ月平均は0.6%増
・組み立て金属 0.5%減<前月は1.5%減、6ヵ月平均は0.3%増
・機械 0.5%減<前月は1.0%増、6ヵ月平均は0.2%減
・電気機器 2.5%減<前月は3.7%減、6ヵ月平均は0.1%増

耐久財出荷は前月比0.4%減となり、前月の±0%(修正値)から転じ減少した。過去6ヵ月間で3回目の減少となる。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.4%減となり、市場予想の0.1%増に届かず、前月の0.7%減(0.5%減から下方修正)を含め4ヵ月連続で減少し、過去6ヵ月で4回目の減少を迎えた。

コア資本財、漸く悪化に歯止めか。

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(作成:My Big Apple NY)

耐久財在庫は0.1%増となり、前月の0.4%増を含め2ヵ月連続で増加した。在庫が増加した一方で出荷が減少したため、在庫相当は前月の1.65ヵ月から1.66ヵ月へ延びた。

――米8月耐久財受注ではGDPに反映されるコア資本財が4ヵ月連続で減少したため、GDPのうち企業の設備投資にあたる機器投資は4期連続で減少する公算です。ただし、コア資本財の受注は3ヵ月連続で増加したため、10~12月期にはプラスに転換する期待が大きい。BNPパリバのアンドリュー・シュナイダー米エコノミストが「コア資本財は7~9月期に前期比年率1.9%増と、2015年11月以来のプラスに転換した」との指摘もあり、7~9月期GDPはやはり3%割れとなり得ます。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下でも借換が弱くマイナス

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、9月23日週に前週比0.7%低下し527.1だった。前週の7.3%の低下を含め、2週連続でマイナス。借換が1.6%低下し2273.2だった一方、逆に新規は0.8%上昇の222.8と反発した。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送り金利が低下したため、新規の需要を支えたとみられる。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は24.0%上昇し、前週の16.5%上昇から伸びた。新規が10.2%の上昇(前週は3.3%の上昇)、借換も34.0%の上昇(前週は26.0%の上昇)とそれぞれ伸びを広げた。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は、前週の3.70%から3.66%へ低下した。1年前の4.08%以下にとどまる。15年固定金利型(平均)は前週の2.99%から2.95%へ低下。FHAのローン金利は、前週の3.56%から3.52%へ下振れした。

MBA住宅ローン申請件数指数、金利が落ち着き上昇に反転。

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(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は62.7%と、前週の63.1%から低下した。ただ、2009年6月以来の低水準を示した2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

――米金利が低下したため新規こそ需要が刺激されましたが、借換は低調な水準を維持しました。翌週に金利低下効果が借換の揺り戻しを呼び込めるのか。ひとまず を迎えるため、資産効果が高まり住宅需要を押し上げる期待が高まります。

(カバー写真:tripleigrek/Flickr)

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