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米12月CPI、コアと全体が共に2014年5月以来の2%超え

by • January 19, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1950

Consumer Price Index Stays In The Range While Producer Price Data Accelerate.

米12月消費者物価指数、米12月鉱工業生産をおさらいしていきます。

米12月消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想と並んだ。前月の0.2%を超えつつ、2013年2月以来の強い伸びを達成した10月の0.4%に接近している。原油先物が53ドル台をつけ2014年後半に開始した下落の半分を取り戻したため、エネルギーが1.5%上昇し全体を牽引。ガソリン価格も3.0%と力強い。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時1.724ドルへ下落し2009年3月以来の2ドル割れを示した後、12月は2.3ドル台と半年ぶりの水準まで切り返していた。食品・飲料は前月に続き±0%となる。

CPIコアは9月に続き前月比0.2%上昇し、市場予想と前月値に一致した。2011年8月以来の高水準に並んだ8月の0.3%を伺っている。項目別動向は、以下の通り。

・帰属家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇

・サービス 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・医療サービス 0.1%の上昇<前月は0.2%、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・服飾 0.7%の低下<前月は0.5%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下
・教育 0.2%の上昇=前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は±0%

・中古車 0.5%の上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・新車 0.1%の上昇>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・航空運賃 1.9%の上昇>前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の低下

CPIの前年比では市場予想通り2.1%上昇し、前月の1.7%を超え2014年10月の水準を回復した。CPIコアの前年比は2.2%の上昇となり市場予想と一致し、2012年5月以来の高水準だった2月並びに8月の2.3%ににじり寄った。

コアCPIは2%超えを維持も、レンジ内をキープ。

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(作成:My Big Apple NY)

――12月の輸入物価指数はドル高を背景に抑制的で生産者物価指数はまちまちだったにも関わらず、CPIは上昇傾向を示しました。コアと全体がそろって前年比で2%乗せを達成したのは、原油価格がピークをつけた2014年6月の直前にあたる同年5月以来初めてです。航空運賃や新車が前月の低下から上昇に転じ、中古車も上げ幅を拡大。その他ではタバコやアルコールも上昇し、服飾や教育の鈍化を抑えています。シェアの大きな帰属家賃や家賃も堅調な伸びを維持しており、物価には上昇圧力が高まりつつあると言えるでしょう。

▽米12月鉱工業生産、前月から大幅改善も暖房需要の回復が拝啓

米12月鉱工業生産指数は前月比0.8%上昇し、市場予想の0.6%を上回った。8ヵ月ぶりの低水準だった前月の0.7%の低下(0.4%の低下から下方修正)を超え、過去6ヵ月間で3回目の上昇を示す。伸び率自体は2014年11月以来の力強さをみせた。稼働率は75.5%と市場予想の75.4%並びに前月の74.9%を超え、4ヵ月ぶりの水準を回復。しかし2015年10月以来の力強さを示した8月の75.9%、リセッション前の80%に距離を残した。

内訳をみると、製造業(全体の78.47%)が上昇に転じ、米12月新車販売台数が2005年7月以来の水準へ加速したたように自動車が牽引している。自動車を除いた製造業は±0%にとどまった。コンピューター・電子機器がそろって堅調だったものの、繊維や塗料、プラスチックや木材がそれぞれ低下した。一方で公益(全体の10.76%)は寒波の到来に支えられ4ヵ月ぶりに反発した。鉱業(全体の10.76%)は原油価格が2015年7月以来の53ドル台に乗せる過程だったため、マイナスから横ばいに転じた。

・製造業 0.2%の上昇>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は±0%
自動車 1.8%の上昇>前月は1.9%の低下、6ヵ月平均は0.5%の上昇
機械 0.9%の上昇>前月は1.2%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下
コンピューター/電気製品 0.9%の上昇>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は0.5%の上昇
繊維 3.0%の低下<前月は3.0%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下

・公益 6.6%の上昇>前月は4.6%の低下、6ヵ月平均は±0%
電力 6.1%の上昇>前月は4.6%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
天然ガス 12.0%の上昇>前月は1.4%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇

・鉱業 ±0%>前月は0.7%の低下、6ヵ月平均は0.6%の上昇

鉱工業生産、前年比は原油価格の回復に合わせ2015年7月以来のプラス圏を回復

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(出所:FRBより作成、My Big Apple NY)

――米12月鉱工業生産は前月の低迷を払しょくしたものの、寒波直撃で暖房需要が拡大した程度で、製造業は自動車を除くとさえません。トランプ新政権が発足しインフラ投資拡大や税制改革、規制緩和の方向性を確認するまで、見切り発車はできませんよね。稼働率の上昇も11月の落ち込みを取り戻した程度で、2015年平均の76.7%並びに2014年平均の78.2%と比較すればその低水準ぶりは明らか。トランプ政権発足を前に自動車メーカーを軸に次々と発表した米国への設備投資・採用計画がどこまで数字に反映されるかも、注目です。

(カバー写真:keroism/Flickr)

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