NAHB Housing Index Edges Down But Holds Firm.
米1月NAHB住宅市場指数、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらしていきます。
米1月NAHB住宅市場指数は67となり、市場予想の69並びに前月値(70から下方修正)を下回った。トランプ政権発足前の米株高一服と共に米金利が低下したものの、2005年6月以来の高水準から小幅に低下した
内訳をみると、一戸建て現況指数が72と前月の75から低下した。一戸建て見通し指数も前月の78から76へ低下。見込み客指数も前月の52から51へ低下し、そろって景気回復サイクルで最高を遂げた前月から小幅な調整を迎えている
足元のレンジから上放れした水準は維持。
4大地域別での住宅市場指数は3地域で低下し、前月のゼロから増えた。今回はIT企業がひしめく西部が10ポイント以上も低下、12月の急伸を全て打ち消した。最大の市場規模を誇る南部は67と前月の70を下回り、6ヵ月平均に並ぶ。北東部は前月から3ポイント低下し52だったが、50台を維持し高水準を保った。中西部のみ66で変わらず、6ヵ月平均の60超えを堅持した。
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「建築業者は新政権と議会が中小企業にとって、特に規制緩和の面でより良いビジネス環境を提供するとの期待を寄せる」との考えを寄せた。ロバート・ディエス主席エコノミストは2017年の新築一戸建て件数につき、「前年比10%増と堅調な水準」を予想。もっとも年内の懸念材料として「住宅ローン金利の上昇、並びに人材と土地の確保」と付け加えた。
――米1月NAHB住宅市場指数が西部で大幅な落ち込みを示した背景は、トランプノミクスが基幹産業であるIT産業の追い風となるか見定めた事情が推察できます。IT企業との面談が行われた後、戦略政策フォーラムに参加できた企業はテクノロジー関連ではテスラとウバーのみでした。ただし、2016年8月から9月に14ポイント急伸してから同年10月に8ポイント低下に転じるケースもあり、ボラティリティが比較的高く2月に持ち直す可能性は否定できません。
▽MBA住宅ローン申請件数指数、連休前は新規が低下し伸び鈍化
全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、1月13日週に前週比0.8%上昇し382.2となった。3週連続で上向き、過去5週間で4回目のプラスを示す。借換が6.8%上昇の1263.2と、前週の4.4%と合わせ3週続伸し全体に寄与。一方でキング牧師の3連休を控え、逆に新規は5.2%低下の229.4と過去4週間で3回目の低下を示す。住宅ローン申請件数指数は前年比で13.9%低下(前週は25.3%低下)、借換は22.9%の低下(前週は31.5%のマイナス)で新規は1.1%の低下(前週は17.5%低下)だった。
30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の4.32%から低下し4.27%し、借換の需要を喚起した。ただし、前年同期の4.06%を上回ったままだ。15年固定金利型(平均)は3.51%と、前週の3.56%から上昇。FHAのローン金利は、前週の4.08%を上回り4.10%だった。
キング牧師の連休を控え、新規が借換の伸びを抑制。
(作成:My Big Apple NY)
申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は53.0%と、前週の51.2から低下した。2009年6月以来の低水準である2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。
――金利低下に反応し借り換えが大幅上昇したものの、新規は低下に転じました。キング牧師の連休前が足枷となったと考えられつつ、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値の住宅購入見通しに反する内容でした。もしかすると潜在的な買い手はトランプノミクスの実現まで購入を手控え始めているのかもしれません。
(カバー写真:Gregory Chittim/Flickr)
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