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米1月雇用統計、就労者数はグッドニュースも平均時給は失望的

by • February 3, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2764

President Trump Welcomes Stronger Jobs Number, But Pay Growth Slows.

米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比22.7万人増と、市場予想の17.5万人増を大幅に超えた。前月の15.7万人増(15.6万人増から上方修正)も上回り、6ヵ月ぶりの高水準。人材派遣会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社が発表した1月の採用予定数で明らかになった通り、力強い伸びを達成している。トランプ新政権の発足前から同氏のツイッターなどを通じた要請に応え、自動車メーカーなどが雇用計画を発表。即座に効果が現れたような勢いを示した。過去2ヵ月分は、3.9万人の下方修正(11月分が20.4万人増→16.4万人増)となる。11〜1月期平均は18.3万人増で2016年の平均17.6万人増をを超えつつ、2015年平均の22.9万人増を下回った。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が前月比23.7万人増と、市場予想の18.0万人増を上回った。前月分は14.4万人増から15.6万人増へ上方修正されている。民間サービス業も19.2人増と、前月の15.0万人増(13.2万人増から上方修正)を超えた。セクター別動向では前月トップだった教育/健康が上位3位から転落、代わりに小売が首位を奪った。専門サービスや娯楽/宿泊は、それぞれ上位を維持している。詳細は以下の通り。

(サービスの主な内訳)
・小売 4.6万人増>前月は3.4万人増、6ヵ月平均は1.2万人増
・専門サービス 3.9万人増>前月は3.2万人増、6ヵ月平均は5.4万人増
(そのうち、派遣は1.5万人増>前月は1.3万人減、6ヵ月平均は1.1万人増)
・娯楽/宿泊 3.4万人増>前月は1.7万人増、6ヵ月平均は2.4万人増
(そのうち食品サービスは3.0万人増、過去12ヵ月間では28.6万人増)

・金融 3.2万人増<前月は4.4万人増、6ヵ月平均は3.9万人増
・教育/健康 2.4万人増<前月は4.5万人増、6ヵ月平均は4.4万人増
(そのうち、ヘルスケア/社会福祉は3.2万人増<前月は4.4万人増、6ヵ月平均は3.9万人増)
・その他サービス 1.6万人増>前月は1.7万人減、6ヵ月平均は0.3万人増

・卸売 0.3万人増>前月は0.1万人増、6ヵ月平均は0.5万人増
・情報 0.3万人増>前月は0.4万人減、6ヵ月平均は0.4万人減
・公益 0.3万人増>前月は±0万人、6ヵ月平均は±0万人

・輸送/倉庫 0.4万人減<前月は1.9万人増、6ヵ月平均は1.4万人増
・政府 1.0万人減<前月は0.8万人減、6ヵ月平均は0.4万人増

財生産業は4.5万人増と、前月の1.5万人増と合わせ5ヵ月連続で増加した。製造業が2ヵ月連続で増加し、米1月ISM製造業景況指数と整合的だ。一方で建設は5ヵ月連続で増加、鉱業は3ヵ月連続で増加した。

(財生産業の内訳)
・建設 4.5万人増>前月は1.5万人増、6ヵ月平均は1.1万人増
・製造業 0.5万人増<前月は1.1万人増、6ヵ月平均は0.2万人減
・鉱業/伐採 0.4万人増(石油・ガス採掘は100人の増加)>前月は0.3万人増、6ヵ月平均は±0万人

NFP、前月が上方修正されたものの鈍化は否めず。

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(作成:My Big Apple NY)

平均時給は前月比0.1%上昇の26.00ドル(約2,940円)と、市場予想の0.3%だけでなく前月の0.2%(0.4%から下方修正)にも届かず。前年比では2.5%上昇し、2009年4月以来の力強さを遂げた前月の2.9%から減速した。

週当たりの平均労働時間は34.4時間と、市場予想と一致し前月の34.3時間から延びた。財部門(製造業、鉱業、建設)の平均労働時間は40.2時間と前月の40.1時間を上回りつつ、約7年ぶりの高水準を遂げた2014年11月の41.1時間が遠い。

失業率は4.8%と、市場予想並びに前月の4.7%から上昇し4ヵ月ぶりの高水準。景気後退入りする以前の2007年8月以来の水準まで改善が進んだ11月の4.6%でいったん下げ渋りをみせ、12月米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる2017年末見通しから距離を開けた。マーケットが注目する労働参加率は62.9%と前月の62.7%を超え4ヵ月ぶりの高水準、失業率の上昇につながった。なお、2015年9〜10月は62.4%と1977年9月以来の低水準だった。

失業者数は前月比10.6万人減となり、前月の12.0万人減と合わせ労働参加率の上昇と共に失業率を押し上げた。雇用者数は3.0万人減と前月の6.3万人増より弱く、3ヵ月ぶりに減少した。 就業率は7〜8月、並びに10〜12月まで59.7%だったが、今回は59.9%と2016年3月以来の高水準だった。

経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全失業率は9.4%と、金融危機前にあたる2008年4月以来の最低を更新した前月の9.2%を上回った。ムニューチン米財務長官候補が指名公聴会後に書簡で重視すると明らかにしたU-5すなわち縁辺労働者を含む失業率は5.8%と、2007年11月以来の水準へ再び改善した前月の5.7%から上昇。縁辺労働者は175.2万人で、直近で最低だった前月から4.0%増加した。

失業期間の中央値は10.2週と前月の10.3週以下となり、再び2008年9月以来の低水準を。平均失業期間は前週の26.0週間から短縮し25.1週と、2009年7月の数値に並んだ。27週以上にわたる失業者の割合は24.4%と、2009年3月以来の低水準となった前月の24.2%を上回った。

フルタイムとパートタイム動向を季節調整済みでみると、フルタイムは前月比0.4%増の1億2,425万人と3ヵ月連続で増加した。パートタイムは2.8%減の2,741万人と、5ヵ月ぶりに減少。増減数ではフルタイムが45.7万人増、パートタイムは7.6万人減となる。

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間雇用者数が前月から増加し平均労働時間も34.4時間へ上昇したため、前月比で0.4%上昇し5ヵ月連続で伸びた。平均賃金の伸びが上昇に転じたため、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比0.6%上昇し、前月の0.5%を超える伸びを示した。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-×
今回は9.4%と、2008年4月以来の低水準だった前月の9.2%から上昇。不完全失業者数は前月比4.3%増の584.0万人と5ヵ月ぶりに増加した。

2)長期失業者 採点-△
失業期間の中央値は10.2週と前月の10.3週以下となり、再び2008年9月以来の低水準に並んだ。平均失業期間は前週の26.0週間から短縮し25.1週と、2009年7月の数値に並んだ。27週以上にわたる失業者の割合は24.4%と、2009年3月以来の低水準となった前月の24.2%を上回った。6ヵ月以上の失業者数は2008年7月以来での最低を更新した前月から1.0%増の185.0万人と、3ヵ月ぶりに増加した。

3)賃金 採点-×
今回は前月比0.1%の上昇、前年比は2.5%上昇した。後者は2009年4月以来の高水準だった前月の2.9%から鈍化した。週当たりの平均賃金は、前年同月比1.9%上昇の894.40ドルと、12月の2.3%を下回った。生産労働者・非管理職の平均時給は前月比0.2%上昇の21.84ドルで、前年比は2.4%の上昇と12月の2.5%以下だった、管理職を含めたヘッドラインにも届いていない。週当たりの平均賃金は前年同月比2.1%上昇の732.82ドルだった。非管理職・生産労働者の賃金は、10月からの流れを引き継ぎ管理職を含めた全体を下回り格差縮小につながっていない

平均時給、再び生産・非管理職の労働者が管理職を含めた全体を下回る。

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(作成:My Big Apple NY)

4)労働参加率 採点-○
今回は62.9%となり、12月の62.7%から上昇。4ヵ月ぶりの高水準ながら、金融危機以前の水準である66%台は遠い。 軍人を除く労働人口は微増の1億5,208万人と、小幅ながら3ヵ月連続で増加した。非労働人口は0.8%減の9,437万人と、4ヵ月ぶりに減少した。

——米1月雇用統計・非農業部門就労者数は、米1月ADP全国雇用者数と共に20万人の大台を突破していきました。トランプ政権が発足する以前からツイッターで雇用増加や米国内での投資を迫った成果なのでしょうか。質的にみると 1)平均時給の伸びが鈍化、2)失業率が上昇、3)不完全失業率が上昇——など課題を残すものの、Fedの早期利上げ観測を抑えたと言えるでしょう。CMEのFedウォッチでは3月利上げ織り込み度が前日の17.7%から8.9%へ低下し、ゴルディロックス・シナリオ再燃を表します。労働参加率の改善は間違いなく好材料で、米株相場は好感してスタート。ミサイル実験への報復としてイランに追加制裁を発動したためエネルギー関連が支えた事情も重なり、ダウは現地時間午後1時前に160ドルを超える上げ幅を遂げ2万ドル台も回復しました。本日はドッド・フランク法撤廃へ向けた米大統領令を署名するとの報道も出回り、じょs

(カバー写真:John Fraissinent/Flickr)

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