Forget About Job Cuts, Hiring Plans Surge In March.
※追記:米3月チャレンジャー人員削減予定数に加え、米新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。
米3月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比17.2%増の43,310人となった。前年比での増加は、3ヵ月ぶりとなる。前月からは2.0%減少した。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、小売の動向に着目。年初来で前年同期比19%増の38,464人を数え、そのうち「3月分は4,084人だった」と振り返る。もっとも「採用予定数は人員削減予定数を上回るペースで増加中であり、年初来で12,100人に及んだ」と指摘。そのため、チャレンジャーCEOは、小売について「人員削減の数だけ採用も増えている」と楽観的な見解を寄せた。
小売に次いで弱かったセクターは通信で「自動化に伴う人員削減が増え、新たな事業計画にシフトしている」こともあり、1〜3月期は前年同期比184%増の9,782人を示した。一方で「2014年半ばから2016年1〜3月期まで続いたエネルギー関連での人員削減が止まり、全体の数字が改善した」と説明する。同氏の指摘通り、年初来のエネルギー関連の人員削減予定数は前年比84%減の7,880人にとどまった。
人員削減予定数、3月は小売と通信が牽引して増加。
2017年の年初来3ヵ月間での人員削減予定数は、前期比38%増の126,301人だった。前年比では、30%減となる。
2017年の年初来3ヵ月での州別動向は、ラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州が3ヵ月連続1位だった。2位と3位は変わらず、テキサス州とカリフォルニア州に。4位と5位は圏外からニュージャージー州とニューヨーク州が入った。逆にペンシルベニア州やミシガン州など、製造業州が圏外ヘ押し出されている。
1位 オハイオ州 17,943人(3ヵ月連続で2位)
2位 テキサス州 17,798人(3ヵ月連続で1位)
3位 カリフォルニア州 15,279人(2ヵ月連続で3位)
4位 ニュージャージー州 9,031人(圏外から浮上)
5位 ニューヨーク州 6,655人(圏外から浮上)
年間で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1〜2月と変わらず1位は小売で、前月2位だったエネルギーは4位に転落した。なお前月は1位が小売、2位が通信、3位がヘルスケア、4位がコンピューター、5位が自動車となる。
1位 小売 38,464人(全体の30.5%)
2位 エネルギー 9,782人(全体の7.7%)
3位 ヘルスケア 8,116人(全体の6.4%)
4位 コンピューター 7,880人(全体の6.2%)
5位 自動車 5,498人(全体の4.4%)
3月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。前月は1月が小売、2位がエネルギー、3位が金融、4位が食品、5位が通信だった。
1位 通信 7,768人(全体の17.9%)
2位 教育 4,375人(全体の10.1%)
3位 小売 4,034人(全体の9.4%)
4位 産業財 3,947人(全体の9.1%)
5位 電化製品 1,600人(全体の9.1%)
リストラ実施の理由、3月のランキングは以下の通り。前月は1位がコスト削減、2位がリストラ、3位が閉鎖、4位が自主退職、5位がM&Aだった。
1位 コスト削減 26,561人(全体61.3%)
2位 閉鎖 7,927人(全体の18.3%)
3位 再編 4,393人(全体の10.1%)
4位 契約打ち切り 2,338人(全体の5.4%)
5位 M&A 1,591人(全体の3.7%)
採用予定数は前年同月比で5倍超の127,006人となり、3月単月では景気回復サイクルで最高を記録した。1〜3月期では前年同期比で10倍超の289,272人となる。リフォーム関連小売ホームデポが3月に8万人もの新規採用を発表していたため、小売が88,100人と牽引している。前月は1位が小売、2位が航空、3位がコンピューター、4位が食品、5位が通信だった。
1位 小売 13,070人
2位 航空 3,500人
3位 コンピューター 2,361人
4位 食品 3,000人
5位 通信 675人
――米3月チャレンジャー人員削減予定数が前月比、前年比ともに増加したとはいえ、採用予定数のグッドニュースが吹き飛ばした感があります。小売がまさに格好の例で、服飾関連がダメでも住宅市場が底堅いだけにリフォーム関連が補いました。米3月ADP全国雇用者数は約3年ぶりの高水準を叩き出したこともあり、米3月雇用統計にも期待が集まります。気掛かりな点は、米3月ISM非製造業景況指数で確認した雇用の低下です。米3月ADP全国雇用者数でもサービスは鈍化の兆しがみえるだけに、番狂わせもあり得る?
▽米新規失業保険申請件数、1973年以来の低水準近くへ回帰
米新規失業保険申請件数は4月1日週に23.4万件と、市場予想の25.0万件を下回った。前週の25.9万件(25.8万件から下方修正)より大幅改善し、2月24日週に続き1973年以来の水準近くまで減少している。米労働省によると、特殊要因を確認していない。4週平均は25万件ちょうどと、年初来で最大だった前週の24万4,500件(修正値)から減少した。
季節調整前の州別動向では、ニューヨーク州をはじめカリフォルニア州、テキサス州など人口が多く都市部を抱える州での減少が目立つ。さらに、過去2週間で増加を牽引した前週ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州など製造業が盛んな州で減少。オハイオ州は前週減少した反動か、増加に転じた。
3月25日週までの継続受給者数は202.8万人と、前週の205.2万人(修正値)から減少。ただ2000年以来の200万人割れを示した前週の198.7万を上回る。被保険者に占める失業者の割合は1.5%と、年初来初めて過去最低に並んだ2週前の1.4%を上回った水準を保つ。
米新規失業保険申請件数は減少も、4週平均は年初来で最大。
(作成:My Big Apple NY)
――米新規失業保険申請件数が減少し、再び米3月雇用統計への期待が強まります。ニューヨーク州やペンシルベニア州などでの改善は、これまでの増加が北東部の積雪の影響だた可能性も残し、労働市場への楽観度を高めました。
(カバー写真:perzon seo/Flickr)
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