ISM And Markit Show Different Directions In Manufacturing Activity.
米6月ISM製造業景況指数、米6月マークイット製造業PMI確報値、米5月建設支出をおさらいしていきます。
米6月ISM製造業景況指数は57.8となり、市場予想の55.3や前月の54.9を上回った。2014年8月以来の高水準を達成、10ヵ月連続で分岐点に乗せた。足元で税制改革や医療保険制度改革（オバマケア）代替案移行など成立の目途が立たず、原油先物も一時は弱気相場入った。それでも、金利低下や信用スプレッドの縮小など緩和的な金融環境を反映したためか、製造業センチメントは力強さを取り戻した格好だ。内訳をみると新規受注をはじめ生産、雇用、新規受注が上昇した。一方で在庫が3ヵ月ぶりに分岐点を割り込んだほか、仕入れ価格が6ヵ月ぶりの低水準へ落ち込んだ。詳細は、以下の通り。
・生産 62.4、4ヵ月ぶりの高水準で10ヵ月連続で分岐点乗せ＞前月は57.1、6ヵ月平均は60.0
・新規受注 63.5、3ヵ月ぶりの高水準で10ヵ月連続にて分岐点乗せ＞前月は59.5、6ヵ月平均は61.8
・雇用 57.2、3ヵ月ぶりの高水準で10ヵ月連続にて分岐点乗せ＞前月は53.5、6ヵ月平均は55.3
・在庫 49.0、3ヵ月ぶりに分岐点割れ＜前月は51.5、6ヵ月平均は50.1
・新規輸出受注 59.5と2013年11月以来の高水準＞前月は57.5、6ヵ月平均は57.5
・仕入れ価格 55.0、2016年11月以来で最低＜前月は60.5、6ヵ月平均は65.3
・受注残 57.0、5ヵ月連続で分岐点乗せ＞前月は55.0、6ヵ月平均は55.5
・入荷時間 57.0＞前月は53.1、6ヵ月平均は54.9
ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し前月に続き「18業種のうち15業種で拡大した」と説明した。低下した項目は「服飾、革製品関連、繊維」で変わらず。在庫の低下は生産が新規受注に追いついていない様子を示し、製造業活動の改善を確認した。
▽米6月マークイット製造業PMI・確報値、米大統領選前の水準を維持
米6月マークイット製造業PMI確報値は52.0と、市場予想並びに速報値の52.1を下回った。前月の52.7に届かず、2016年9月以来の低水準。米大統領選前の水準へ戻したままだ。楽観見通しは。内訳をみると新規受注や雇用が前月を下回ったほか、仕入れ価格も15ヵ月ぶりの低水準だった。
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「製造業は4～6月期末に失望的な内容に終わり、早期に回復兆しはほとんど見られない」と慎重な見方を寄せる。米大統領選後の1月で「センチメントは頭打ちしており、製造業の雇用が米6月雇用統計・非農業部門就労者数（NFP）に寄与する可能性は低い」とも指摘。向こう数ヵ月間の成長リスクは「下方向にある」と結んだ。
ISMとマークイット、直近だけで見れば整合性でマークイットに軍配が上がる状況。果たして6月はいかに？
（作成：My Big Apple NY）
▽米5月建設支出、民間・公共ともに非住宅が弱く予想外の減少
米5月建設支出は前月比±0％の年率1兆2,301億ドルとなり、市場予想の0.3％増を下回った。前月の0.7％減（1.1％減から上方修正）に続く減少を回避している。過去6ヵ月間では、3かいプラスを示した。内訳をみると住宅が0.5％減と8ヵ月ぶりに減少し、非住宅は逆に0.3％増と4ヵ月ぶりに減少した前月の1.5％減から改善した。建設支出の前年比は4.5％増と、前月の6.7％増（速報値ベース）を含め増加トレンドを保った。
民間は前月比0.6％減と、前月の0.2％減に続き減少した。住宅が0.6％減と8ヵ月ぶりに減少したほか、非住宅も0.7％減と5ヵ月連続で減少している。公共は2.1％増と、前月の2.7％減から反発。過去6月間で3回目の増加となった。住宅が9.2％増、非住宅も1.9％増とそれぞれ改善した。
――米5月建設支出は民間が足を引っ張り、バークレイズは米4～6月期GDP伸び率見通しを従来の2.5％増から2.4％増へ下方修正させました。しかしながら、アトランタ地区連銀は従来の2.7％増から3.0％増へ上方修正。少なくとも、米4～6月期GDP伸び率は2％半ば付近を回復する見通しで、成長拡大が続く状況に変わりありません。
（カバー写真：Department for Business, Innovation and Skills/Flickr）
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