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米9月ISM製造業景況指数、ハリケーン直後に約13年ぶり高水準

by • October 3, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2102

Hurricane Effect Lifts ISM Manufacturing Index To 13-Year High.

米9月ISM製造業景況指数、米9月マークイット製造業PMI確報値、米8月建設支出、をおさらいしていきます。

米9月ISM製造業景況指数は60.8 となり、市場予想の58.1を上回った。前月の58.8を超え、2004年5月以来の高水準を達成。13ヵ月連続で分岐点に乗せた。トランプ米大統領と北朝鮮との間で警告し合う一方、ハリケーン“ハービー”や“イルマ”の復興需要を見込んでセンチメントが高まったようだ。税制改革が発表されたことも、成立に向けた一歩として歓迎された可能性もある。内訳をみると、仕入れ価格が東日本大震災後にサプライチェーンでの混乱が発生した2011年以来の水準へ急伸したほか、新規受注は7ヵ月ぶりの高水準。雇用も2011年6月以来の水準へ上振れした。詳細は、以下の通り。

・生産 62.2、3ヵ月ぶりの高水準で13ヵ月連続の分岐点乗せ>前月は61.0、6ヵ月平均は60.3
・新規受注 64.0、7ヵ月ぶりの高水準で13ヵ月連続の分岐点乗せ>前月は60.3、6ヵ月平均は61.0
・雇用 60.3、2011年5月以来の高水準で12ヵ月連続にて分岐点乗せ>前月は59.9、6ヵ月平均は56.4

・在庫 52.5、3ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は55.5と2011年8月以来の高水準、6ヵ月平均は51.6
・新規輸出受注 57.0>前月は55.5、6ヵ月平均は57.8
・仕入れ価格 71.5、2011年5月以来の高水準>前月は62.0、6ヵ月平均は63.3

・受注残 58.0、2011年2月以来の高水準で8ヵ月連続の分岐点乗せ>前月は57.5、6ヵ月平均は56.5
・入荷時間 64.4、2004年7月以来の高水準>前月は57.1、6ヵ月平均は57.0

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果に対し「18業種のうち17業種で拡大した」と説明した。8月の14業種、7月まで3ヵ月連続での15業種から増えている。今回は「家具・関連製品」のみ低下。8月は1項目が横ばいで、その他「服飾、革製品関連」、「一次金属」、「家具・関連製品」で縮小を報告していた。

▽米9月マークイット製造業PMI・確報値、前月から小幅低下も雇用は堅調

米9月マークイット製造業PMI確報値は53.1と、市場予想並びに速報値の53.0から上方修正された。前月の52.8を上回りつつ、4ヵ月ぶりの高水準に並んだ7月の53.3にあと一歩及んでいない。内訳をみると、雇用が9ヵ月ぶりの高水準だったほか仕入れ価格が2012年12月以来の高水準に。ただし生産はほぼ変わらず、新規受注は鈍化した。

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「PMIは高止まりしハリケーン“ハービー”などの影響が及んだと考えられるものの、詳細には懸念材料が残る」との考えを寄せた。特に「生産は14ヵ月ぶりの低水準だった8月の水準から横ばいで、製造業の見通しの生産見通しは4ヵ月ぶりの低水準である」と指摘。雇用が9ヵ月ぶりのレベルへ上振れしたものの「生産が伸びていない以上、生産性の低下につながる」ともコメントし、ハリケーン後の価格上昇を踏まえると慎重にならざるを得ないようだ。

――ISM製造業景況指数が約13年ぶりの水準へ跳ね上がった半面、マークイット製造業PMIは高止まりを示す程度で明暗を分けました。では、どちらがより米国経済の実態を現わしているのでしょうか?

ISM製造業景況指数とマークイット製造業PMI、非農業部門就労者数(NFP)との比較では、ISM製造業景況指数が優勢。

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(作成:My Big Apple NY)

ISM製造業景況指数とマークイット製造業PMI、非農業部門就労者数(NFP)との比較では、マークイットの立ち遅れがみられる。

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(作成:My Big Apple NY)

以上を踏まえると、直近の動向ではISM製造業景況指数に分があるように解釈できます。ハリケーン“ハービー”と“イルマ”が雇用統計・NFPをはじめ耐久財受注、鉱工業生産を一時的に下押しても、復興需要や反動で勢いづく可能性を残します。

▽米8月建設支出、民間・公共ともに非住宅が弱く予想外の減少

米8月建設支出は前月比0.5%増の年率1兆2,183億ドルとなり、市場予想の0.4%増を上回った。前月の1.2%減(0.6%減から下方修正)より強く、3ヵ月ぶりに増加している。内訳をみると、非住宅が0.5%増と3ヵ月ぶりに増加し全体の足を引っ張った。住宅は0.5%増と前月の0.1%増と合わせ、4ヵ月連続でプラスを示す。

建設支出の前年比は2.5%増と前月の1.9%増(修正値)を含め、2011年9月以来の増加トレンドを保った。住宅は11.3%増と11ヵ月連続で2桁増を維持したが、非住宅は3.4%減と3ヵ月連続で減少した。

民間は前月比0.4%増と、前月の0.5%減から転じ3ヵ月ぶりに増加した。住宅が0.4%増と4ヵ月連続で増加したほか、非住宅は0.5%増と3ヵ月ぶりに増加に転じている。公共は0.7%増と、3ヵ月ぶりに増加した。住宅が1.1%増と前月の4.9%減から転じ、非住宅の0.7%増と合わせそれぞれ3ヵ月ぶりに増加した。

――米8月建設支出はハリケーン“ハービー”の影響は限定的で、住宅と非住宅そろって増加しました。結果を受け、アトランタ地区連銀の米7~9月期GDP予測値は従来の2.3%増から2.7%増へ上方修正。ハリケーンの復興需要が重なれば、一段と強含むか注目です。

(カバー写真:World Meteorological Organization/Flickr)

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