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米10月ISM製造業景況指数、13年ぶりの高水準だった前月の上昇分を巻き戻し

by • November 2, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2080

ISM Manufacturing Index Eases Back From 13-Year High.

米10月ISM製造業景況指数、米10月マークイット製造業PMI確報値、米9月建設支出、をおさらいしていきます。

米10月ISM製造業景況指数は58.7 となり、市場予想の59.5を下回った。2004年5月以来の高水準を達成した前月の60.8に届かず、ハリケーンの復興需要期待で上振れした分を巻き戻した。もっとも米株高に支えられ、14ヵ月連続で分岐点に乗せている。内訳をみると生産や新規受注、雇用、仕入れ価格と全体的に上放れした前月から上げ幅をばめた。詳細は、以下の通り。

・生産 61.0、14ヵ月連続の分岐点乗せ<前月は62.2と3ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は60.7
・新規受注 63.4、14ヵ月連続の分岐点乗せ<前月は64.0と7ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は62.0
・雇用 59.8、13ヵ月連続にて分岐点乗せ<前月は60.3と2011年5月以来の高水準前月は59.9、6ヵ月平均は57.7

・在庫 48.0、4ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は52.5と3ヵ月連続で分岐点乗せ、6ヵ月平均は51.1
・新規輸出受注 56.5<前月は57.0、6ヵ月平均は57.3
・仕入れ価格 68.5<前月は71.5と2011年5月以来の高水準、6ヵ月平均は63.3

・受注残 55.0<前月は58.0、2011年2月以来の高水準、6ヵ月平均は56.3
・入荷時間 61.4<前月は64.4と2004年7月以来の高水準、6ヵ月平均は58.1

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果に対し「18業種のうち16業種で拡大した」と説明した。ただし縮小したわけではなく、2業種が前月と横ばいだった。なお9月は17業種で拡大、8月の14業種、7月まで3ヵ月連続での15業種から増えていた。

▽米10月IHSマークイット製造業PMI・確報値、前月から小幅低下も雇用は堅調

米10月IHマークイット製造業PMI確報値は54.6と、市場予想並びに速報値の54.5から上方修正された。前月の53.1を上回り、1月以来の高水準。内訳をみると、新規受注と生産が共に上振れしたほか、雇用も2年4ヵ月ぶりのレベルへ上昇した。

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「製造業活動は幸先の良い10~12月期の幕開けを飾り、生産活動は2017年の締め括りに活発な経済活動を支援していく」と予想した。企業センチメントの改善は中小企業の裾野へ及び、「製造業の労働市場は金融危機後の景気回復サイクルで最高に近い」と強気なコメントを寄せる。

ISM製造業景況指数とマークイット製造業PMIなど、非農業部門就労者数(NFP)の改善を先取りか。

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(作成:My Big Apple NY)

――ハリケーン復興需要が見込まれ、税制改革成立への期待も重なり、ISM製造業景況指数やHISマークイット製造業PMIは高水準を保ちます。遅行指数の雇用指標も、10月は悪天候要因で減少した分の反動が出てくる見通し。製造業の雇用を支えるのでしょうが、米10月ADP全国雇用者数で明らかになった通り、サービス部門の雇用鈍化の兆しが見えている点は留意しておきたいところです。

▽米9月建設支出、公共が支え前月比で増加

米9月建設支出は前月比0.3%増の年率1兆2,195億ドルとなり、市場予想の0.2%減を上回った。前月の0.1%増(0.5%増から下方修正)を含め、2ヵ月連続で増加している。内訳をみると、非住宅が0.5%増と4ヵ月ぶりに増加し全体を牽引、住宅は±0%と前月の0.3%増から転じ、増加基調を4ヵ月で止めた。

民間は前月比0.4%減と、3ヵ月連続で減少た。非住宅が0.8%減と弱く民間の足を引っ張り、住宅も±0%増とさえない。公共は2.6%増と、前月の0.7%増を上回った。住宅が5.1%増と前月の1.4%減から転じたほか、非住宅は2.5%増と2ヵ月連続で増加した。

建設支出の前年比は2.0%増と、前月の2.3%増(修正値)に届かず。ただし、2011年9月以来の増加トレンドを保った。住宅が9.5%増と2桁増を11ヵ月で止めたものの、増加トレンドを維持。非住宅は2.9%減と4ヵ月連続で減少した。

――米9月建設支出は、民間の鈍さを公共が相殺しました。結果を受け、アトランタ地区連銀の米10~12月期GDP予測値は、従来の2.9%増から4.5%増へ大幅に上方修正。構築物投資は下方修正したものの、米10月新車販売台数が示すように個人消費のほか民間投資を見通し引き上げに寄与しています。ハリケーンという攪乱要因が成長率見通しを押し上げているものの、税制改革成立で好況を維持できるのか見極めが必要でしょう。

(カバー写真:Department for Business, Innovation and Skills/Flickr)

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