Industrial Production Rises Modestly As Hurricane Effect Fades.
米11月鉱工業生産、米12月NY連銀製造業景況指数、米12月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米11月鉱工業生産指数は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.3%を下回った。前月の1.2%増(0.9%から上方修正)に届かず。ただ、3ヵ月連続でプラスとなった。ハリケーン後の急変動が一巡したものの、上昇を維持している。新車販売台数が2ヵ月連続で年率1,800万台に乗せたように、自動車が小幅ながら上昇基調を保った。自動車を除いた場合は0.2%上昇し、ヘッドラインと変わらず、前月の1.4%の上昇(修正値)を下回ったものの、3ヵ月連続でプラスとなった。
稼働率は77.1%となり、市場予想の77.2%にわずかながら届かなかった。とはいえ前月の77.0%は上回り、2015年4月以来の力強い伸びを達成。原油価格が約2年半ぶりの高値へ戻すに合わせ、稼働率も改善しつつある。ただ、リセッション前の80%乗せが引き続き遠い。
内訳をみると、製造業(全体の76.5%)は3ヵ月連続で上昇した。自動車を除いた製造業も、3ヵ月連続でプラスに。公益(全体の10.8%)は、上昇に反転している。鉱業(全体の10.8%)も原油価格の上昇過程を追い風に、上昇に転じた。
・製造業 0.2%の上昇<前月は1.4%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>自動車 0.1%の上昇<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>機械 0.7%の上昇<前月は1.7%の上昇、6ヵ月平均は0.4%
>コンピューター/電気製品 0.7%の上昇>前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・公益 1.9%の上昇>前月は2.0%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
>電力 2.5%の上昇>前月は2.8%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
>天然ガス 3.0%の上昇>前月は3.2%の低下、6ヵ月平均は0.7%の上昇
・鉱業 2.0%の上昇>前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の上昇
鉱工業生産、前年比は2015年1月以来の高水準。
▽12月のNY連銀製造業景況指数、ハリケーン後は下振れ続き5ヵ月ぶり低水準
米12月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は18.0と、市場予想の18.7を下回った。前月の19.4にも届かず、5ヵ月ぶりの低水準となる、2014年9月の高水準に並んだ10月の30.2で、ピークアウトした格好だ。項目別で前月を上回ったのは出荷、入荷時間、仕入れ価格、販売価格、平均労働時間となる。逆に前月を下回った項目は新規受注、雇用、在庫、受注残だった。
6ヵ月先見通し指数は46.6となり、2012年1月以来の高水準を遂げた前月の49.9を下回った。前月を上回った項目は仕入れ価格、販売価格、入荷時間、雇用見通し、設備投資が入った。逆に前月を下回った項目は新規受注、出荷、平均労働時間、在庫、受注残となった。
――米11月鉱工業生産は小幅上昇でNY連銀製造業景況指数も5ヵ月ぶりの低水準とはいえ、分岐点のゼロを上回る水準を保ちます。4~6月期、7~9月期の米国内総生産(GDP)に続き設備投資が成長に寄与する公算であり、税制改革が実現すれば一段の加速を遂げるのか。NY連銀製造業景況指数の見通し指数が小幅ながら低下した点は気掛かりながら、一時的なのか見極めが必要です。
設備投資だけでなく、インフレ動向に注目。今回、NY連銀製造業景況指数の仕入れ価格、販売価格は見通しを含め、全て上昇していました。11月ベージュブックの内容と整合的です。これまでコアPCEとNY連銀発表の1年先見通しは共に低水準で推移してきましたが、いよいよインフレの芽が出てきたのか、フィラデルフィア連銀製造業景況指数をはじめ他景況指数と比較していきたいところです。
▽米12月NAHB住宅市場指数、1999年7月以来の水準へ上振れ
米12月NAHB住宅市場指数は74となり、市場予想の70を上回った。前月の69(70から下方修正)も超え、1999年7月以来の高水準を達成。税制改革成立の期待が高まり、かつハリケーン後の復興需要にも支えられ、建設業者のセンチメントは勢いを増したようだ。
内訳をみると、一戸建て現況指数が81と前月の77を上回ったほか、一戸建て見通し指数も79と、少なくとも2005年6月以来で最高に。客足の動向を表す見込み客指数は58と、分岐点を回復した前月の50から急伸した。
指数は全体的に上向き、住宅市場は2018年に好転する兆し。
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「住宅市場動向はビジネスに規制上の軽減を与えた新たな政策を一助に、改善しつつある」と評価した。これまでのような資材不足や人材難についての言及は、控えている。ロバート・ディエス主席エコノミストは「客足動向は、住宅需要の強まりをみせた」との見解を表明。また「失業率が低く人口動態も増加し、中古住宅の在庫も逼迫しているなかでは、一戸建て市場は来年、上向き基調を維持する」と楽観的な見通しを寄せた。
(カバー写真:astrid westvang/Flickr)
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