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米9月新築住宅販売は大幅減、住宅ローン金利上昇で購入意欲が低下か

by • October 25, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1946

New Home Sales Drop To 2-Year Low As Rates Rise.

米9月新築住宅販売件数は年率55.3万件と、市場予想の62.5万件を下回った。前月の58.5万件(62.9万件から下方修正)を5.5%下回り、4ヵ月連続で減少2016年12月以来の低水準となる。在庫件数は回復しつつあるものの価格高止まりを受け、中古住宅販売と歩調を合わせ減少傾向が強まりつつある。前年比では13.2%減と、2017年11月以来で最大の減少率を示した。

鉄鋼・アルミ関税発動を受けた建設資材の価格上昇ペースが鈍化しつつあるものの、建築業者の利鞘が圧迫されかねず、価格の下落余地が限定的で、新築需要を押し下げた可能性がある。さらに米30年物固定住宅ローン金利が10月に5%へ上昇する過程も、潜在顧客の向かい風となったようだ。

30年物住宅ローン金利は10月19日週に5.11%と、約6年ぶりの水準へ上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、1地域のみ増加し前月の2地域から減少した。今回は北東部が40.6%減(前月の増加分を打ち消し)の1.9万件と足を引っ張ったほか、IT企業が集まる西部が12.0%減(2ヵ月連続で減少)の13.9万件、住宅規模が最大の南部は1.5%減(4ヵ月連続で減少)の7.7万件となる。一方で、中西部のみ6.9%増(2ヵ月連続で増加)の7.8万件となった。

新築住宅販売件数、トランプ大統領就任前の水準へ逆戻り。

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(作成:MyBigAppleNY)

在庫総数は、前月比2.8%増の32.7万件。販売件数が減少し在庫が増加したため、在庫相当は7.1ヵ月と、前月の6.5ヵ月から延び2011年3月以来で最長となった。

中央価格は32.00万ドルと、前月の31.92万ドルから0.3%上昇した。過去最高を更新した3月の33.54万ドルに程近い水準を維持している。前年比で3.5%下落、3ヵ月ぶりのマイナスとなる。

▽米8月住宅価格指数は上昇基調を維持も、前月比でペース鈍化

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米8月宅価格指数は前月比0.3%上昇し、市場予想と一致した。前月の0.4%(0.2%から上方修正)には届かず。前年比は6.1%上昇、直近では最低の伸びにとどまる。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて7地域で上昇、7月の6地域を上回った。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

――新築住宅の価格は前年同月比で3.5%下落したとはいえ、過去最高値からそれほど乖離していません。在庫相当が7.1ヵ月と、2011年3月以来の水準まで延びたにも関わらず、建設資材価格の上昇を反映したのか、値下できないのでしょう。米8月住宅価格指数も直近のピークからの減速は明白ながら、引き続き9月の平均時給の前年比の2倍を上回る伸びを維持。住宅市場が改善するには、一段の価格下落が必要とみられます。

価格水準に加え、住宅ローン金利上昇による支払い負担の増加も潜在顧客を遠ざける敗因です。

住宅市場調査会社ジローによれば、足元の金利上昇と住宅価格の値上がりは、買い手の住宅ローン支払い負担を増大させているためです。30年物固定金利が前年比で約1%ポイント上昇し5%の大台を突破する一方、住宅価格はジロー調べで8月に前年比6.5%上昇しました。結果、ジローは30年物固定金利での支払い負担につき、前年比で15.4%上昇したと試算します。8月の住宅価格・中央値21.6万ドルの場合、1%の金利上昇により、住宅ローン負担が年間1,200ドル増えるというわけです。月々にして120ドルですから、大した金額ではないと考えるのか否か。所得税減税の効果が剥落するなかでは、軽視できる潜在顧客は限られそうです。

(カバー写真:TSalon/Flickr)

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