House under construction in Houston

米5月住宅着工件数、予想外に減少も住宅購入の逆風は緩和

by • June 19, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2421

Housing Starts Decline More Than Expected, But Affordability Improves.

米5月住宅着工件数と米6月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

5月住宅着工件数は年率126.9万件と、市場予想の123.9万件を超えた。前月の128.1万件(123.5万件から上方修正)を0.9%下回る。前年比では4.7%減と、4月を除く減少トレンドを維持した。

内訳をみると、一戸建てが前月比6.4%減の82.0万件と3ヵ月ぶりに減少した。一方で、複合住宅は10.9%増と4ヵ月連続で増加した結果、44.9万件と2018年1月以来の高水準を遂げている。前年比は一戸建てが12.5%減と、4ヵ月連続で減少。複合住宅は13.7%増と、2ヵ月連続で増加した。4大地域別では、1地域で増加し前月の3地域を下回った。北東部が前月の反動で2桁減だったほか、中西部も前月から減少。西部は3ヵ月ぶりに減少した。最も住宅市場規模の大きく、前月減少した南部のみ、増加に転じた。

米5月建設許可件数は129.4万件となり、市場予想の129.2万件を超えた。前月の129.0万件(129.6万件から下方修正)を0.1%上回り、2007年8月以来で最高の水準だった2018年10月の131.6万件に近い水準を保つ。内訳をみると、一戸建てが3.7%増の81.5万件と6ヵ月ぶりに増加した半面、複合住宅は5.0%減の47.9万件と過去5ヵ月間で4回目の減少となった。

米5月建設中件数は2ヵ月連続で113.1万件だった。2007年12月以来の高水準となった116.3万件以下が続く。一戸建てが1.1%減の52.3万件と4ヵ月連続で減少した一方で、複合住宅が1.0%増の60.8万件と2ヵ月連続で増加し一戸建ての減少を相殺した。

住宅着工と建設中件数、リセッション前の水準には遠い。

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(作成:My Big Apple NY)

――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、61.5万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を下回るため、在庫逼迫の解消に時間が掛かるように見えます。建設許可件数は着工件数を上回り一戸建ても増加したため短期的に需給が改善する余地を残すものの、建設中件数も低迷気味。住宅の在庫状況が改善するには、まだ時間が掛かりそうです。

▽米6月NAHB住宅市場指数、金利低下局面でも貿易摩擦が重し

米6月NAHB住宅市場指数は64となり、市場予想と前月の67を下回った。金利低下にも関わらず、前月の66にも届いていない。内訳をみると、一戸建て現況指数は71と前月の72を下回ったほか、一戸建て見通し指数は70と4ヵ月ぶりの水準へ低下している。客足の動向を表す見込み客指数は48と、8ヵ月連続で分岐点の50以下となった。

NAHB住宅市場指数、金利低下局面でも伸び悩み。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

地域別では、1地域のみ上昇し前月の3地域を下回った。特に下振れした地域は北東部で前月から5ポイント低下の60。西部も前月の4ポイント低下し69と、3ヵ月ぶりに70を割り込んだ。住宅市場の規模が最大の南部は、前月と変わらず68だった。中西部は逆に59と、米金利上昇に反応し米株安が開始した2018年10月以来の水準を回復した。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグレッグ・ウガルデ会長は、結果を受け「一戸建ての需要は健全な水準にある一方で、建設業者は引き続き開発コストと資材価格の上昇に直面する上、貿易摩擦の問題が懸念材料として加わった」と振り返った。米中通商協議をめぐる不確実性が、建設業者のセンチメントを抑えたとの見解を寄せる。ロバート・ディエス首席エコノミストは「金利が低下したものの、住宅価格は所得水準と比較し高止まりしており、新規住宅購入者にとって困難な状況が続いている」と指摘。また「新築住宅販売件数は持ち直しつつあるとはいえ、建設業界は労働者不足や過剰な規制により値ごろ感と住宅在庫の問題に取り組まざるを得ない」と結んだ。

――NAHB住宅市場指数は小幅鈍化した陰で、金利低下はやはり好材料。NAHBのチーフエコノミストの見解は別として、値ごろ住宅販売比率(住宅販売全体に占める中央値価格以下の販売件数)は1~3月期に61.4%と、2016年7~9月期以来の水準まで上昇していました。

nahb_affordability
(作成:My Big Apple NY)

また、住宅購入意欲の高い消費者が直面する主要な問題も若干改善の兆しが。

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(作成:My Big Apple NY)

建設資材コストはというと、直近は前年比で落ち着きを示しつつあります。

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(作成:My Big Apple NY)

問題は、米中間とはじめ通商協議中の日本や欧州などを含め貿易摩擦が悪化するか否か。トランプ大統領は機動的にツイート砲を放つだけに、2020年の米大統領選を控え引き続き安穏としていられません。

(カバー写真:sandrafdzh/Flickr)

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