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米9月雇用統計、雇用が鈍化も失業率が1959年以来で最低

by • October 4, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off3055

Job Growth Less Than Expected, Yet Unemployment Rate Hits Lowesst Since 1959.

※GMのストライキの影響につき、修正致しました。

米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比13.6万人増となり、市場予想の14.5万人増を下回った。前月の16.8万人増(13.0万人増から下方修正)には届かず、4ヵ月ぶりの低水準となる。7月分の0.9万人の上方修正(15.9万人増→16.6万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で4.5万人の下方修正となった。7~9月の3ヵ月平均は15.7万人増と、2018年平均の22.3万人増を下回った。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が前月比11.4万人増と、市場予想の13.0万人増を下回った。前月の12.2万人増(9.6万人増から下方修正)にも届かず、4ヵ月ぶりの低い伸びとなる。民間サービス業も10.9万人増と、前月の12.1万人増(8.4万人増から上方修正)を下回った

NFP、伸びは鈍化したものの堅調なペースを維持。

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(作成:My Big Apple NY)

サービス部門のセクター別動向で、1位は教育・健康が前月の3位から浮上、2位は前月1位だった専門・サービス、3位は国勢調査向けの臨時雇用に支えられ前月2位だった政府が並んだ。減少したセクターは3業種で、前月と変わらず。8ヵ月連続で小売が入ったほか、公益は3ヵ月連続で落ち込んだ。その他サービスも減少している。8月に減少した輸送・倉庫はUPSなどが年末商戦の臨時雇用を発表するなか増加に転じ、娯楽も改善した。詳細は、以下の通り。

(サービスの主な内訳)

・教育・健康 4.0万人増<前月は5.6万人増、6ヵ月平均は5.4万人増
(そのうち、ヘルスケア・社会福祉は4.1万人増<前月は5.1万人増、6ヵ月平均は4.4万人増)
・専門サービス 3.4万人増<前月は4.3万人増、6ヵ月平均は3.9万人増
(そのうち、派遣は1.0万人増<前月は1.5万人増、6ヵ月平均は0.2万人増)
・政府 2.2万人増<前月は4.6万人増、6ヵ月平均は2.2万人増

・娯楽・宿泊 1.6万人増<前月は0.4万人減、6ヵ月平均は0.7万人増
(そのうち食品サービスは0.2万人増<前月は0.6万人増、平均0.6万人増)
・輸送・倉庫 1.6万人増>前月は0.4万人減、6ヵ月平均は0.7万人増
・情報 0.9万人増>前月は0.2、6ヵ月平均は0.4万人増

・金融 0.3万人増<前月は1.5万人増、6ヵ月平均は1.0万人増
・卸売 0.2万人増>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.3万人増

・公益 0.2万人減<前月は0.1万人減、6ヵ月平均は0.1万人減
・その他サービス 0.3万人減<前月は0.7万人増、6ヵ月平均は0.7万人増
・小売 1.1万人減<前月は0.6万人減、6ヵ月平均は1.0万人減

財生産業は前月比0.5万人増と、前月の0.1万人増(修正値)を上回った。建設が支え、2ヵ月連続で増加した。一方で、鉱業は横ばい。製造業は米中間の貿易摩擦や世界経済減速が響くなか、設備投資を反映し6ヵ月ぶりに減少した。なお、ストライキが長期化するGMは今回のレポートに含まれていない。詳細は、以下の通り。

(財生産業の内訳)

・建設 0.7万人増>前月は0.4万人増、6ヵ月平均は1.2万人増
・鉱業・伐採 横ばい>前月は0.5万人減(石油・ガス採掘は300人増)、6ヵ月平均は0.2万人減
・製造業 0.2万人減<前月は0.2万人増、6ヵ月平均は0.3万人増

平均時給は前月比横ばいの28.09ドル(約3,000円)と、市場予想の0.2%を下回った。前月の0.4%にも届かず、2017年11月以来の増加トレンドに終止符を打った。前年比は2.9%上昇、市場予想と前月の3.2%を下回った。2月につけた2009年4月以来の力強い伸び(3.4%)を含め3%乗せ記録を13ヵ月で止めた

週当たりの平均労働時間は34.4時間と市場予想と前月と一致し、7月の34.3時間を上回った。なお7月は、ハリケーン・ハービー直撃の影響を受けた2017年9月以来の水準へ短期化していた。財部門(製造業、鉱業、建設)の平均労働時間は40.5時間と、前月の40.4時間を上回り全体を支えた。なお、財部門は1月の40.7時間を下回った水準が続く。全体の約7割を占める民間サービスは、6〜8月に続き33.2時間だった。

失業率は3.5%と、市場予想と6〜8月3.7%を下回り、1969年12月以来の最低を更新した。9月に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる2019年見通しより、力強い労働市場を示した。労働参加率は63.2%と、前月と変わらず1〜2月の高水準に並んだ。事業調査であるNFPと異なり就業者が39.1万人増と2桁増を続けたほか、失業者も127.5万人減と減少し、労働参加率が横ばいでも失業率の低下につながった。就業率は61.0%と、2008年12月の水準に並んだ

フルタイムとパートタイム動向を季節調整済みでみると、フルタイムは前月比0.2%増の1億3,109万人と、4ヵ月連続で増加した。パートタイムは0.5%増の2,710万人と、2ヵ月連続で増加した。増減数ではフルタイムが30.5万人増と前、パートタイムは12.1万人増だった。

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は、民間雇用者数の伸びが前月から鈍化し、平均労働時間が横ばいだったため前月比で0.1%の小幅な上昇にとどまった。平均時給が上昇し続けた結果、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比で0.3%上昇、20ヵ月連続でプラスだった。

かつてイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)前議長のダッシュボードに含まれ、「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々、縁辺労働者、職探しを諦めた者など)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-〇
経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている者や働く意思を持つ者などを含む不完全失業率は6.9%と、前月の7.2%を下回り2000年12月以来の7%割れを果たした。経済的理由でパートタイムを余儀なくされている労働者は435万人と、4ヵ月ぶりに増加した前月から減少に転じた。2006年4月以来の低水準だった7月の398.4万人を上回った水準を保つ。

2)長期失業者 採点-×
失業期間の中央値は9.4週と、2017年12月以来の低水準だった1月並びに7~8月の8.9週から延びた。平均失業期間は22.0週と、前月の22.1週から延び2008年7月以来で最短を記録した前月の19.6週超えを維持。27週以上にわたる失業者の割合は22.7%と、前月の20.6%から上昇し2008年8月以来の低水準だった7月の19.2%を上回った水準を保つ。

3)賃金 採点-×
今回は前月比横ばい、前年比は2.9%と共に市場予想以下に終わった。前年比は2009年3月以来の高水準だった2月の3.4%が一段と遠のいただけでなく、3%乗せの記録を13ヵ月で止めた。生産労働者・非管理職の平均時給は前月比0.2%上昇の23.65ドルと、2017年11月から続く増加トレンドを維持前年比では3.5%上昇し、2009年2月以来の高い伸びだった前月(3.6%)に次ぐ水準となる。全体は3%割れを迎えたが、生産労働者・非管理職は14ヵ月連続で3%台の伸びを遂げた。なお、民間における生産・非管理職の割合は約8割を占める。

平均時給、全体の前年比は鈍化も生産労働者・非管理職は好調を維持。

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(作成:My Big Apple NY)

4)労働参加率 採点-〇
労働参加率は前月と同じく63.2%と、1〜2月の高水準に並ぶ。なお、金融危機以前の水準は66%オーバーだった。軍人を除く労働人口は前月比0.1%増の1億6,404万人となり、5ヵ月連続で増加した。非労働人口は0.1%増の9,560万人と小幅ながら増加に転じた。

――9月の雇用統計は、ハリケーン“ドリアン”などの向かい風を受けてNFPが鈍化しました。しかし、①失業率が1959年以来の低水準、②労働参加率が高水準を維持、③労働参加率が横ばいでも失業率が低下、④就業率が2008年12月以来の高水準、⑤労働市場の8割を占める生産労働者・非管理職の平均時給・前年比が高い伸びを維持――など、明るい材料が光ります。

失業率は、もう一つ記録を打ち立てています。中卒以下の失業率は4.8%と、統計を開始した1992年以降で最低を更新しました。

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(作成:My Big Apple NY)

労働参加率は7~8月に続き25~54歳の働き盛りの男性で堅調でした。(以下、全米の男性は季節調整済み、白人は季節調整前の数字)。

・25~54歳 89.0%、4ヵ月ぶりの高水準>前月は88.9%、6ヵ月平均は89.0%
・25~54歳(白人) 90.2%>前月は90.0%、2018年7月以来の低水準、6ヵ月平均は90.2%
・25~34歳 88.9%、4ヵ月ぶりの高水準>前月は88.5%、6ヵ月平均は88.7%
・25~34歳(白人) 90.4%=前月は90.4%、6ヵ月平均は90.2%

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(作成:My Big Apple NY)

全体的に底堅さをみせる内容で、9月のISM製造業並びに非製造業景況指数の雇用ほど悪化しませんでした。さらに、9月の採用予定数は年末商戦の臨時雇用が順調に増加していることを確認しています。突発的な雇用悪化要因が発生しない限り、こちらで指摘したように年末まではサンフランシスコ地区連銀やバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの雇用増加見通し程度は確保できそうです。

(カバー写真:Andre Charland/Flickr)

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