Industrial Production Likely To Plummet In March Because Of Coronavirus Outbreak.
米2月鉱工業生産指数は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.5%の低下(0.3%の低下から下方修正)を超え、3ヵ月ぶりに上昇した。製造業は0.1%上昇、市場予想の0.2%には届かず。前月の0.2%の低下(0.1%の低下から下方修正)からプラスに転じた。1月に続き、ボーイング737MAXの生産停止が響き民間航空機が足を引っ張ったが、自動車・部品やコンピュータ・部品などの上昇が打ち消した。鉱工業生産指数の前年比は横ばい、低下基調を5ヵ月で止めた。製造業は0.4%低下、8ヵ月連続のマイナスながら最も減少率を縮小させた。もっとも、新型コロナウイルス感染拡大を背景に、今後は厳しい局面を迎えること必至だ。
稼働率は77.0%と、市場予想の77.1%に及ばなかった。もっとも、ハリケーン”ハービー“などの直撃を受け落ち込んだ2017年9月以来の弱さだった前月の76.6%(76.8%から下方修正)からは、改善した。
チャート:鉱工業生産の前年比はマイナス基調を5ヵ月でストップ、製造業は8ヵ月連続で低下。稼働率は、2017年9月以来の77%割れから改善。
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(出所:My Big Apple NY)
内訳をみると、製造業(全体の75.1%)が、3ヵ月ぶりに低下した。1月15日の米中貿易協議・第1段階の合意署名で不確実性が後退した結果、ボーイング“737MAX”生産停止2ヵ月目を受けた反動減が軽減し耐久財が0.3%上昇、前月の0.8%の低下から改善した。非耐久財は0.3%上昇、3ヵ月ぶりにプラスに転じた。鉱業(全体の14.2%)は、原油安が響き3ヵ月ぶりに低下、公益(全体の10.4%)は3ヵ月ぶりに上昇、寒気の戻りを受け改善した。
■製造業 0.1%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
▽耐久財 0.3%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は0.8%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下
・自動車関連 3.5%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・電気製品 1.6%の上昇>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.1%の低下
・コンピュータ/電子部品 1.1%の上昇、4ヵ月連続で上昇>前月は0.8%の上昇、6ヵ月平均 0.8%の上昇
・組立金属 1.1%の上昇>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・家具関連 0.8%の上昇>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.4%の上昇
・木材 0.5%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・機械 1.0%の低下、3ヵ月連続で低下>前月は1.9%の低下、6ヵ月平均は0.5%の低下
・一次金属 1.6%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
・航空機/輸送機 2.2%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は8.8%の低下、6ヵ月平均は1.5%の低下
▽非耐久財 0.1%の低下<前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・服飾 2.3%の上昇>前月は1.2%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下
・食品/飲料/タバコ 1.1%の上昇<前月は0.6%の低下、6ヵ月平均は0.5%の上昇
・プラスチック/ゴム 0.8%の上昇>前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.2s%の上昇
・繊維 1.1%の低下>前月は1.7%の上昇、6ヵ月平均は横ばい
・化学品 1.2%の低下<前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の低下
・石油製品 1.6%の低下、3ヵ月ぶりに低下>前月は2.8%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
■公益 7.1%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇<前月は4.9%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・電力 6.1%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は4.4%の低下、6ヵ月平均は横ばい
・天然ガス 12.5%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は12.5%の低下、6ヵ月平均は1.6%の上昇
■鉱業 1.5%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は1.0%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
――米2月鉱工業生産は予想外に堅調でした。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月のNY連銀製造業景況指数が前月比で21.5ポイントと過去最大の落ち込みを記録しており、3月ベージュブックでも既に様々な報告が届けられていました。
チャート:NY連銀製造業景況指数は急降下。
(作成:My Big Apple NY)
製造業を中心に新鉱工業生産が落ち込むこと必至です。金融危機が襲った2008年当時、鉱工業生産は前月比で同年1月から09年6月まで18ヵ月連続で低下していました。原油安局面の2014年半ばから16年末の間は、14年12月から16年3月まで、2回を除きマイナスを迎えたものです。今回は経済危機ではなく、ウイルス感染拡大に伴う工場閉鎖など供給側のショックが影響するため予測は困難ながら、少なくとも上半期は大幅低下を余儀なくされるのでしょう。希望の光は自動車を含め反動増と5G導入、省力化投資ですが、部品調達並びに生産活動の正常化が待たれます。
(カバー写真:Tim Engle/Flickr)
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