Retail Sales Surge In March, A Sign Of Economic Boom.
米3月小売売上高は前月比9.8%増と、市場予想の5.9%増を大幅に上回った。前月の2.7%減(3.0%減から上方修正)から急増した結果、経済活動の再開を手掛かりに過去最大の伸びを遂げた2020年5月以来の力強さを示した。3月は、20年12月末に続き21年3月に成立した追加経済対策を通じ現金給付が支払われ、小売売上高を押し上げた。さらに、大寒波を受け急減した前月の反動も追い風に。バイデン大統領がツイートしたように、ワクチン普及スピードの加速も支えとなった。
自動車とガソリンを除いた場合も前月比28.2%増と、前月の6.7%減(6.9%減から上方修正)から大幅増に反転した。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は6.9%増と、市場予想の6.3%増を超え、前月の3.4%減(3.5%減から上方修正)から回復した。
チャート:小売売上高、前月比は過去6ヵ月間で2回目の増加
チャート:小売売上高は前年比で27.7%増と10ヵ月連続で増加したほか、過去最大の伸びに
前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中全て増加し、前月の1種からほぼ180度好転した。今回、最も力強く増加したのはスポーツ用品で、続いて服飾、自動車・部品、外食など裁量消費が並んだ。逆に食品・飲料やヘルスケア、無店舗などコロナ禍で需要が高まったカテゴリーは他と比べ伸びは限定的だった。前月比の項目別詳細は以下の通り。
(プラス項目)
・スポーツ用品/書籍/趣味→23.5%増、20年6月以来の高い伸び>前月は6.9%減、6ヵ月平均は3.8%増
・服飾→18.3%増、20年6月以来の高い伸び>前月は5.5%減、6ヵ月平均は2.2%増
・自動車/部品→15.1%増、20年5月以来の高い伸び>前月は2.8%増、6ヵ月平均は2.8%増
・外食→13.4%増、20年6月以来の高い伸び>前月は1.8%減、6ヵ月平均は2.1%増
・建築材/園芸→12.1%増、20年5月以来の高い伸び>前月は2.8%減、6ヵ月平均は2.7%増
・ガソリンスタンド→10.9%増、4ヵ月連続で増加し20年6月以来の高い伸び>前月は3.8%増、6ヵ月平均は4.4%増
・電気製品→10.5%増、20年7月以来の高い伸び>前月は1.9%減、6ヵ月平均は2.2%増
・一般小売→9.0%増、2ヵ月ぶりの高い伸び>前月は5.5%減、6ヵ月平均は1.5%増(百貨店は13.0%増、2ヵ月ぶりの高い伸び>前月は7.6%増、6ヵ月平均は1.5%増)
・雑貨→9.0%増、、20年6月以来の高い伸び>前月は2.8%減、6ヵ月平均は2.2%増
・無店舗(主にネット)→6.0%増、2ヵ月ぶりの高い伸び>前月は4.4%減、6ヵ月平均は1.8%増
・家具→5.9%増、2ヵ月ぶりの高い伸び>前月は4.7%減、6ヵ月平均は2.0%増
・ヘルスケア→5.7%増、20年6月以来の高い伸び>前月は1.1%減、6ヵ月平均は1.0%減
・食料/飲料→0.7%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.3%増
(マイナス項目)
なし
チャート:3月の業種別動向、現金給付やワクチン給付、経済活動の再開を支えに全て増加
――3月の小売売上高はまさにサクラサクといった趣で全てのカテゴリーで増加したほか、2020年5月以来の高い伸びを達成しました。お陰で、20年2月以来の水準を戻していないカテゴリーは、外食のみとなっています。2月にマイナスだった電気製品と服飾は、3月でプラスに転じました。
チャート:20年2月時点との比較
3月FOMC参加者の2021年の実質GDP成長率見通し中央値を6.5%増へ上方修正されたように、コロナ禍での景気後退を完全に打ち消す公算が一段と大きくなりました。そこへきてインフラ計画が成立すれば、法人税増税でも高い成長が悪材料を吸収するとの期待が高まるためか、ダウとS&P500は小売売上高発表時の15日にそろって最高値を更新。米経済は文字通り、前年同期から一転し、この世の春を謳歌しているかのようです。結果を受け、米国在住のエコノミストからは1~3月期の実質GDP成長率は「前期比年率4%超えとなる見通し」との予想が聞かれました。
米株高に加え、米10年債利回りが低下しています。インフラ計画での増税提案のほか、2兆2,500億ドルからの規模縮小への観測が背景。現時点で米経済に死角なしにみえるところ、問題は7月末に予定する債務上限停止の期限切れに伴う交渉再開と、それに伴う混乱でしょう。
(カバー写真:筆者友人撮影)
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