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アメリカ人、行楽シーズンにBBQを楽しむ頻度が低下へ?

by • May 25, 2021 • Latest News, NY TipsComments Off2581

Americans Could Enjoy BBQ Less Often Because Of The Inflation Spike.

クラリダFRB副議長ブレイナードFRB理事を始め、米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者は「インフレ加速は一時的」との論陣を張っております。

当局者の発言の陰で、アメリカ人はというと、食品やガソリンなどを含めた消費者物価指数(CPI)に振らされる毎日を過ごしており、FOMC当局者より格段にインフレ警戒を強める状況。ブルームバーグがモーニング・コンサルトを通じ5月17~18日に実施した世論調査によれば、牛肉の価格が年初から上昇したとの回答が65%を占め、鶏肉も59%に及びます。行楽シーズンだというのに、食品インフレに喘ぐアメリカ人の間でBBQを楽しむ頻度が低下しまってもおかしくありません。

その他、アメリカ人の50%が果物やトイレットペーパー、牛乳、インスタント食品など値上がりを指摘していました。食料品や必需品の価格高騰を受け、約4分の1のアメリカ人が支出を削減しているといいます。

では、実際に足元の食品関連の物価はどうなんでしょうか?4月のCPIの食料品価格を前月比でみると、食費は0.4%上昇し3ヵ月連続でプラス肉類・魚・卵は0.5%上昇し4ヵ月連続で上昇外食は0.3%と2010年8月以降続くプラス圏を維持。経済活動停止時点のような急伸はみられませんが、堅調に推移しており消費者が痛みを感じるはずです。

チャート:食品関連の物価、足元は上向き傾向

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(作成:My Big Apple NY)

バイデン政権は追加経済対策で盛り込んだ通り、6歳未満の子供1人当たり最大3,600ドル(月300ドル)、6~17歳で1人当たり3,000ドル(月250ドル)の税額控除を通じ、7月から事実上の“児童手当”を毎月給付する予定。本来であれば確定申告後に反映されるところ、今回は最大半分が年内支給されるんですよね。。個人消費を支える期待がある一方、食品や日用品の物価動向次第では消費の伸びを抑えかねません。

前年比をみると、違う景色が見えてきます。ご覧の通り、外食以外は全て鈍化していました。経済活動の停止によるサプライチェーンの途絶を受けた前年は前述したように物価が上振れしたため、反動が現れたかたちです。食費は1.2%上昇と20年3月以来、肉類・卵・魚なども同2.0%の上昇と20年2月以来の低い伸びにとどまります。

チャート:食品関連のCPI、前年比は外食以外鈍化

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(作成:My Big Apple NY)

ただし、外食だけは20年6月以降続く3%台で高止まりしていました。これは、やはりレストランなど飲食店での人手不足とそれに伴う賃上げが影響しているのでしょう。

こちらをご覧下さい。求人数と採用者数は20年末の統計開始以来で最大の211.4万人に広がっています。

チャート:求人数と採用者数の乖離は過去最大

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(作成:My Big Apple NY)

特に、米4月雇用統計で判明した通り賃上げペース加速が著しい娯楽・宿泊の求人数は、コロナ禍でも求人数の急増が著しいのですよ。

チャート:娯楽・宿泊の求人数は経済活動の再開に伴い急増

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(作成:My Big Apple NY)

以前、こちらで失業保険給付の給付額の平均が娯楽・宿泊の生産労働者・非管理職の平均時給を上回るとお伝えしましたが、やはり手厚い支援策が仇となっているもよう。共和党が知事を務める27州のうち、失業保険給付上乗せなどを廃止を決定した州が5月23日までにニューハンプシャー州とオクラホマ州が加わり22に増えたのも、こうした事態を打開する狙いがあったのでしょう。とはいえ、米国で格差が広がっていることも事実。バイデン政権は政策実現に向け中間点を探る戦略を駆使する傾向にありますが、インフラ計画ではどのように成立させるのか。「偏差値の高い」政権のチャレンジは続きます。

(カバー写真:Self_za/Flickr)

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