Cheerios Effect : Can Empathy Lead Profit?
米連邦最高裁判所は6日、ユタ州、オクラホマ州、バージニア州、ウィスコンシン州、インディアナ州の5州に対し、同性婚を容認した第1、2審の判決を不服とする州側の上告を受理しない判断を下しました。事実上、5州に対し「同性婚禁止は違憲」と無言で宣告したかたちです。
そんな絶妙なタイミングで、こんなニュースを見かけました。
ゼネラル・ミルズのシリアル・ブランド「チリオーズ」。はい、異人種間カップルを取り上げた広告で全米に殴り込みを掛けたあの商品です。大反響を巻き起こした成功に倣うかのように、カナダで新たに5つのストーリーから成る「チリオーズ・エフェクト」キャンペーンを展開しているんですよね。
「チリオーズ・エフェクト」は期待通り、保守派の眉をひそめさせると同時にリベラル派には拍手喝采で迎えられる出来映えとなっています。
5つのストーリーにはフランス系カナダ人同性婚カップルのジョンとアンドレ、2人の養女で黒人系ラファエルちゃん家族をはじめ、インド系と中国系の夫婦、障害をもつミュージシャンとその奥様、耳の不自由なアジア系女性とその従姉妹、女性と彼女を救助した犬——それぞれの愛がふんだんに散りばめられハートウォーミングなんですよね〜。
気になるCMの詳細は、アドウィークの記事をご覧下さい。
しかも、戦略が素晴らしい。同性婚カップルといえば、世帯所得が平均を上回ることで知られていますよね。人間の親友といえる犬=ペットといえば、ハロウィーンの仮装まで出回るほど飼い主が糸目をつけないことが確認されています。
さらにインド系と中国系といえば、2010年の国勢調査で明らかになったアメリカだけでなくカナダでも移民として台頭中。アメリカに限っていえばインドのサハラ・グループが2012年11月にプラザ・ホテルを5億7500万ドルで買収し(現在は会長の保釈金集めのため売却相手を模索中)、中国といえば本日6日に安邦保険がヒルトン傘下で1893年創業のNY老舗高級ホテル、ウォルドー フ・アストリアを19億5000万ドルで買い取る計画を発表していましたっけ。母国の成長とともに富を蓄え移住した中国系とインド系は、子供が食べるシリアルを売る相手にもってこいと言えるでしょう。
折しも、ゼネラル・ミルズは業績低迷中。6−8月(第1四半期)決算では、純利益が前年同月比25%減の 3億4520万ドルでした。リストラ費用や臨時経費を除く調整済み1株当たり利益は61セ ントと、市場予想の69セントより弱い。売上高は2.4%減の42億7000万ドルと減益だっただけでなく、市場予想の44億2000万ドルも下回っています。特に売上の半分を 占める米国部門が5%減と、全体を押し下げていました。同社は、健康志向の強まりや競争激化を受け 2017年度にかけ1億ドル相 当のコスト節減計画の発表を余儀なくされており、ピンポイントで潜在購買層に訴求するしかなかった。カナダで「チリオーズ・エフェクト」が当たれば、アメリカにも上陸するのは時間の問題と推察します。
(ビデオ、カバー写真:Adweek)
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