Love Wins : Supreme Court Legalizes Same-Sex Marriage Nationwide.
1968年6月28日、ニューヨークのウェストビレッジにあるゲイバー「ストーンウォール・イン」で事件は起こりました。警察の押し掛け捜査に対し、現場に居合わせた同性愛者が警官に反撃。国家権力に対し同性愛者が立ち上がるきっかけを与え、権利獲得運動の楔が打たれたのです。
あれから47年を経て、遂にこの日を迎えました。
米連邦最高裁判所は26日に同性婚を禁じたオハイオ州とミシガン州の中西部2州、およびテネシー州とケンタッキー州の南部2州での州法をめぐり審理した結果、5対4で同性婚を「合憲」とする判断を下したのです。票決は以下の通りで、運命のカギを握ったのはやはりケネディ判事その人でした。
(賛成)
アンソニー・ケネディ(男)→1988年 ロナルド・レーガン やや保守派
ルース・ベイダーギンスバーグ(女)1993年 ビル・クリントン リベラル派
ステファン・ブライヤー(男)→1994年 ビル・クリントン リベラル派
ソニア・ソトマイヨール(女)→2009年 バラク・オバマ リベラル派
エレナ・ケイガン(女)→2010年 バラク・オバマ リベラル派
(反対)
ジョン・ロバーツ(最高判事)→2005年 ジョージ・W・ブッシュ 保守派
アントニン・スカリア(男)→1986年 ロナルド・レーガン 保守派
クラレンス・トーマス(男)→1991年 ジョージ・H・W・ブッシュ 保守派
ジョン・アリトー(男)→2006年 ジョージ・W・ブッシュ 保守派
2004年にマサチューセッツ州が全米で初めて同性婚への扉を開き、米連邦最高裁が男女間のみの婚姻関係しか承認しない結婚防衛法(DOMA)を「違憲」と判断してから2年。ようやく、全米50州どこにいても愛するパートナーと結婚できるようになったわけです。KANの名曲通り、最後に愛は勝つ!奇しくも、同性婚合憲に関するハッシュタグのキーワードも「#LoveWins」でした。
人道的な勝利を獲得しただけではありません。こちらでご紹介したように、財政・経済的効果も期待できる。同性婚の合法化により税関連の弁護士、結婚証明を発行する市役所、結婚式場およびレストラン、果てには住宅市場など恩恵を受ける期待が膨らみます。
45年連れ添った2人こそ、保守色の強いテキサス州ダラスでの同性婚第1号。
(出所:Fox 4 News Twitter Via NPR)
航空会社や西海岸を中心とした企業をはじめ、ビジネス業界もツイッターで諸手を上げて判決を歓迎しています。同性愛者であるアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)も「平等のための勝利」と喜びを噛みしめ、1997年にアップルが広告展開した言葉を引用し「世界を変えられると信じるクレージーな人間こそ行動に移すものだ(The people who are crazy enough to think they can change the world are the ones who do)」と続けていました。
アメリカン航空は、ご覧のようなお祝いモード。
(出所:American Airlines Twitter/Via CNBC)
ホワイトハウスも、負けていません。
(出所:The White House/Twitter)
保守派が優勢な南部では17日、サウスカロライナ州チャールストンで黒人を対象に教会銃乱射事件が発生。ディラン・ルーフ被告(21歳)が白人至上主義者で南北戦争で黒人解放に反対した南部軍の旗を掲げる写真を投稿していたこともあり、ウォルマートやシアーズ、アマゾン、eベイなど各小売大手は南部軍旗を扱った商品の販売中止を決定しました。アップルも南部軍旗が人種差別を煽る懸念に配慮し、アプストアから南北戦争関連のゲームのラインナップを撤収させています。
このタイミングで同性婚が合憲となり、南部軍旗に代わって全米でレインボー・カラーがはためく。アメリカの歴史がひとつの区切りを迎えた象徴のようですね。
(出所:Southern Poverty Law Center/Facebook)
(カバー写真:Ted Eytan/Flickr)
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