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米6月貿易赤字は市場予想より拡大、ドル高で輸出減少

by • August 5, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1841

June Trade Deficit Widens, Due To Export Weakness.

米6月貿易収支は438.39億ドルの赤字となり、市場予想の430億ドルより赤字幅を拡大させた。5月の409.40億ドル(418.71億ドルルから修正)を7.1%上回る赤字に。3ヵ月ぶりの高水準となる。

ドル高に加え世界景気の鈍化が重しとなり輸出が減少した半面、輸入が増加し赤字を膨らませた。内訳をみると、輸出が前月比0.1%減の1885.76億ドルと2ヵ月連続で減少。輸入は1.2%増の2304.66億ドルと2ヵ月連続で減少した。

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、593.39億ドルだった。5月の575.79億ドルから増加。3ヵ月ぶり高水準を示す。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。

米6月貿易収支、再び拡大の兆し。
trade balance
(出所:Census)

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受けて「6月分はほぼ当方の予想と一致したほか5月分の赤字が下方修正されたため、米4−6月期国内総生産(GDP)の純輸出寄与度を高める」と指摘。従って米4−6月期GDP改定値の予想を「従来の2.9%増から3.0%増」ヘ引き上げた。

以下は、米6月貿易収支の輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。

輸出の内訳をみると、モノは前月比0.2%減と前月の0.7%減と合わせ2ヵ月連続で減少した。食品・飲料をはじめ産業材、資本財が弱い。一方で消費財のほか、自動車が増加した。

(増加項目)
・消費財 5.0%増、前月の0.5%減を上回り4ヵ月ぶりに増加
・自動車 1.0%増、前月の1.2%増と合わせ4ヵ月連続で増加
・サービス 0.1%増、前月の0.3%増と合わせ2ヵ月連続で増加

(減少項目)
・食品/飲料 4.2%減、前月の1.6%増から減少に反転
・資本財 1.7%減、前月の5.2%減に続き2ヵ月連続で減少
・産業材 1.6%減、前月の2.3%増を下回り3ヵ月ぶりに減少

輸入の内訳をみると、モノが1.2%増となり前月の0.7%減を超え3ヵ月ぶりに増加した。ドル高局面ながら、西海岸の港湾労働者ストライキの影響を被った事情もあり過去5ヵ月間で2回目の増加にとどまる。原油を除いた場合は0.7%増と前月の0.7%減を上回り3ヵ月ぶりに増加した。

(増加項目)
・食品/飲料 6.3%増、前月の3.7%減を上回り3ヵ月ぶりに増加
・消費財 3.5%増、前月の0.1%減を上回り、3ヵ月ぶりに増加
・産業財 2.9%増、前月の1.9%減を上回り6ヵ月ぶりに増加
・自動車 1.1%増、前月の2.8%増に続き2ヵ月連続で増加

(減少項目)
・資本財 2.6%減、前月の2.3%減と合わせ3ヵ月連続で減少

国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が大きくドル・ペッグ制を採用する中国への赤字が前月比3.3%増の314.57億ドルと2ヵ月連続で拡大した。日本は反対に、1.7%減の52.28億ドル。それぞれ、西海岸の港湾ストの影響が減退した様子を示す。ユーロ安を追い風に、欧州への赤字額は19.6%増の162.59億ドルと大幅増加に反転した。主な原油輸出国への赤字は、原油輸入の増加もあって拡大。カナダは前月に統計を開始した1900年以来初めて6.44億ドルの黒字を達成したものの、今回は24.61億ドルの赤字に逆戻りした。メキシコへの赤字額は37%増の61.07億ドルとなり、3ヵ月連続で拡大。石油輸出国(OPEC)は、3倍増の3億6100万ドルだった。

——米6月貿易赤字は米4−6月期GDP改定値を上方修正させる内容だったとはいえ、輸出の減少は気掛かりです。中国株安の影響でBMWやアウディが業績下方リスクに言及し、アップルも頼みの綱である中国がコケれば打撃は必至。ディズニーも香港での客足不足を指摘するなど不穏な兆しが見えています。本日ダウ平均が一時100ドル高を遂げてから前日終値を割り込む場面をみせたのも、こうした不安の裏返しかもしれません。

(カバー写真:Louis Vest/Reuters)

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