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4日の決算レビュー:コーチ、スプリント、BMW

by • August 4, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1849

Earnings Roundup : Coach, Sprint, BMW.

あらためて、決算を振り返ります。今回は昨日、米7月新車販売台数をお届けしたのでBMWを加えてみました。

▽コーチ、スチュワート・ワイツマン買収効果で売上改善に期待

革製品ブランドが発表した4−6月(第4四半期)決算では、純利益が前年同期比は84.4%減の1170万ドルだった。希薄化後の1株当たり利益は、0.04ドル。高級靴ブランドのスチュワート・ワイツマン買収費用や再編費用など一時的項目を除く1株当たり利益は0.31ドルと、市場予想の0.29ドルより強い。調整済み営業利益は1億2600万ドルで、前年同期の2億3100万ドルからほぼ半減した。販売・一般管理費が7.7%増の6億4890万ドルへ拡大。また営業利益率も12.6%と、前年同期の20.4%を下回った。粗利益率は値引きを抑えたため68.5%と、前年同期の62.2%から改善した。

売上高は11.6%減の10億410万ドルとなり、市場予想の9億7300万ドルを上回った。スチュワート・ワイツマン買収により、4300万ドル押し上げられたという。為替変動を除くベースでは、8%減へ下げ幅を縮める。売上の約56%を占める北米で既存店売上高は引き続き2桁の減少をたどりつつ、1−3月期の24%減からは下げ幅をせばめた。

地域別の売上動向は、以下の通り。

>北米 20%減の5億5600万ドル(為替変動を除くベースで19%減)
・既存店売上高は20%減、為替変動を除くベースでは19%減と市場予想の20.8%減より下げ幅縮小
・電子商取引での値引きとプロモーション活動の鈍化が背景

>海外 5%減の3億9200万ドル(為替変動を除く場合は3%増)
・中国は5%増(為替変動を除く場合は4%増)、本土は好調も香港とマカオが不振
・日本は15%減(為替変動を除く場合は2%増)
・その他アジアは横ばい
・欧州は2桁増

2016年度(2016年6月末終了)は、売上につき1−4%増を見込みレンジ上限は市場予想の1%増を上回った。業績回復の兆しを好感し、株価は一時1.9%上昇した。

スチュワート・ワイツマン、2015年春向けポスターでジゼルを起用。
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(出所:Fashion Gone Rogue

▽スプリント、利用件数は下げ止まり通期見通しを引き上げ

通信大手が発表した4−6月(第1四半期)決算では、純損失が2000万ドルとなり前年同期の2300万ドルの黒字から赤字に転換した。希薄後の1株当たり損失は0.01ドルで、市場予想の0.09ドルより赤字幅を縮小している。調整済み金利・税金・償却前利益(EBITDA)は、前年同期比14%増の21億ドル。収入は8.7%減の80億3000万ドルと、市場予想の83億1000万ドルを下回った。

料金後納利用件数は31万件増となり、前年同期の18.1万件減から増加に反転。電話利用者は1.2万件減少したものの、前年同期の62万件減から大幅に改善した。タブレットの売上や業者での加入などを背景に、全体の加入者は67.5万件増に。ただし利用総数は5770万件となり、Tモバイルの5890万件を下回った。通信業界の3番手から4番手に順位を落としている。料金後納システムでの解約率は1.56%と、過去最低を更新した。

2015年度(2016年3月末終了)の調整済みEBITDAは72億—76億ドルとし、従来の65億—69億ドルから引き上げた。利用総数こそTモバイルに抜かれ4位に沈んだものの料金後納利用件数の増加や見通し引き上げを背景に、株価は一時5.7%上昇した。

▽BMW、アウディに続き中国業績見通しにブレーキ

高級自動車メーカーが発表した4−6(第2四半期)決算では、純利益は前年同期比1.1%減の17億4000万ユーロだった。税引き前の利益は18%減の18億4000万ユーロ。金利・税引き前利益(EBIT)は3%減の25億2000万ユーロとなり、市場予想と一致した。もっとも、自動車部門での収益に対するEBITの割合は8.4%と前年同期の11.7%を下回る。競合メルセデス・ベンツの10.7%、フォルクスワーゲン傘下のアウディの9.9%にも届いていない。人件費の拡大や新型モデルの開発費が利益を圧迫した格好だ。また、利益率の低い小型車の売上が伸びたことも一因だという。売上高は20.2%増の239億4000万ユーロ。BMW、ロールスロイスなど過去最高を記録したためMINIも含めた出荷台数は7.5%増の57万3079台だった。

注目の中国は、販売台数の鈍化を背景に中国合弁事業での利益は22.8%減の1億5600万ユーロとなる。中国自動車工業協会(CAAM)が発表した中国6月新車販売台数は、前年同月比2.3%減の180万3100台。中国株安に火が点くなか5月の0.4%減、4月の0.5%減から下げ幅を拡大させながら、3ヵ月連続でマイナスに落ち込んでいた。BMWは決算発表で、中国市場が「標準化してきている」とコメント、過熱感の後退を示唆し競争が激化しつつあるとの考えを明らかにした。

同社は2015年通期について、税引き前利益および売上高で過去最高を達成するとの強気予想を維持。ただし「中国市場の環境が厳しさを増せば、見通しへの影響は免れない」とも付け加えた。フリードリッヒ・アイヒナー最高財務責任者(CFO)は、決算発表で「市場がどのように進展するか、予想は難しい」と述べつつ、「間違いなく2桁増は達成し得ない」との見通しを示した。なおアウディも先日、中国の市場環境悪化を理由に見通しを引き下げた。

(カバー写真:bargainmoose/Flickr)

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