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11月は求人数と離職者数は大幅減も、解雇者数が増加

by • January 9, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1960

Job Openings, Separations Decrease, But Lay-offs Increase 2-Month In A Row.

米労働省が発表した米11月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は688.8万人と、市場予想の705万人を下回った。前月の713.1万人(707.9万人から上方修正)を3.4%下回り、過去最高だった8月の729.3万人から後退した。求人数自体は8ヵ月連続で失業者数を超え失業者数を9ヵ月連続で上回ったが、スプレッドはITバブル期以来で最大2番目だった前月以下にとどまった。

求人数VS失業者数、雇用動態調査の9ヵ月連続で求人数に軍配。

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(作成:My Big Apple NY)

新規採用者数は、前月比3.7%減の571.0万人だった。過去最高を更新した10月(592.8万人)を下回る。なお、米11月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の増加幅は20万人を割り込み、鈍化した。

離職者数は前月比2.0%減の550.7万人と、3ヵ月連続で減少した。3ヵ月連続での減少は、2013年9~11月以来となる。定年や自己都合による自発的離職者が足を引っ張り、3.2%減の340.7万と、過去最高をつけた8月の364.8万人を3ヵ月連続で下回った。逆に、解雇者数は0.5%増の176.9万人と、2ヵ月連続で増加した。

求人率は4.4%と、過去最高を更新した8月の4.7%以下の水準を保つ。民間が前月の4.9%から4.7%へ低下した半面、政府は2.7%で変わらなかった。

採用率は3.8%と、2001年5月以来の4%乗せを果たした8月に並んだ前月の4.0%以下となる。民間が過去最高となる前月の4.4%と前月の4.2%へ低下しつつ、政府は前月通りら1.6%だった。

求人数、採用数、離職者数とそろって過去最高から鈍化続く。

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(作成:My Big Apple NY)

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、9~10月の3.8%から3.7%へ低下し6月の水準に並んだ。民間が前月の4.1%から4.0%へ低下したためで、政府は前月の1.6%と変わらず。自発的離職率は前月通り2.3%、2001年4月以来の高水準だった9月の2.4%以下が続く。解雇率は前月に続き1.2%へ低下、2000年12月に統計が開始してから最低となる3月の1.0%から遠のいた。

自発的離職者数の減少が響き離職者数は3ヵ月連続で減少、解雇者数は2ヵ月連続で増加。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中6項目となり、7~10月と変わらず。未達項目は引き続き長期失業者の割合、労働参加率、非農業部門就労者数でした。ただ非農業部門就労者数は労働市場逼迫に伴い、鈍化する傾向が強まります。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字となります。

1)求人率—○

2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.4%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.3%

4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.8%

5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 25.4万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.9%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.6%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 20.5%

9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 63.1%

有効求人倍率は新規採用者数が減少したため2.09倍と、2000年以降で最高を記録した前月以下に。

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(作成:My Big Apple NY)

――米11月雇用動態調査では求人数と新規採用者数が減少しただけでなく、自発的離職者数が押し下げ離職者数が3ヵ月連続で減少しました。さらに、解雇者数が2ヵ月連続で増加しており、労働市場の逼迫がやや後退した感が漂います。ただ、米12月雇用統計が絶好調な結果だっただけに、求人数と新規採用者数は改善の余地が大きい。問題は解雇者数で、2018年後半に相次いだGMなどの大型再編、バイエルによるモンサントなどM&Aによる人員削減の波が今年も続くのか、要注意です。

(カバー写真:Pennsylvania National Guard/Flickr)

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