Amazon Prime Day Pushes Up Retail Sales In July.
米7月小売売上高と米4~6月期労働生産性・速報値をおさらいしていきます。
米7月小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の0.3%増(0.4%増から下方修正)も超え、7ヵ月連続で増加している。自動車を除いた場合は1.0%増と、市場予想の0.4%増だけでなく前月の0.3%増(0.4%増から下方修正)も上回った。これで、8ヵ月連続で増加している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は1.0%増と前月の0.7%増(修正値)を上回り、2016年3月からの増加の流れを受け継いだ。
内訳をみると、主要13カテゴリー中10カテゴリーで増加し、前月の8項目から増加した。今回はアマゾンのプライムデーを受けて無店舗飾が年初来で最高だったほか、引き続き外食が力強い伸びとなった。その他、堅調なガソリン価格を支えにガソリン・スタンド、電気製品、服飾など幅広く増加した。一方で、スポーツ用品、自動車・部品、ヘルスケアが減少した。項目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・無店舗(オンライン含む)→2.8%増、年初来で最高>前月は1.9%増、6ヵ月平均は1.6%増
・ガソリン・スタンド→1.8%増>前月は2.3%減、6ヵ月平均は1.3%増
・外食→1.1%増>前月は0.7%増、6ヵ月平均は0.8%増
・電気製品→0.9%増>前月0.7%減、6ヵ月平均は0.2%減
・服飾→0.8%増>前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.2%増
・一般小売→0.6%増<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.3%増
(*百貨店は1.2%増<前月は1.1%減、6ヵ月平均は0.1%減)
・食品/飲料→0.6%増>前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.3%増
・家具→0.3%増>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.4%増
・雑貨→0.3%増>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.7%増
・建築材/園芸→0.2%増=前月は0.2%増、6ヵ月平均は1.3%減
(マイナス項目)
・スポーツ用品/書籍/趣味→1.7%減、4ヵ月連続で減少>前月は2.1%減、6ヵ月平均は0.1%減
・自動車/部品→0.6%減<前月は0.3%増、6ヵ月平均は0.5%増
・ヘルスケア→0.2%減<前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.4%増
――7月15~16日に開催されたアマゾンのプライムデーでは、全世界で1億7,500万件が取引され、年末商戦に含まれる11月のブラックフライデーとサイバーマンデー両日合計の注文件数を上回りました。これにはカラクリがございます。今回のプライムデーですが、2018年の36時間、2017年の30時間を上回る48時間だったのですよ。肝心の米国での売上はといいますと、1日目の売上高は前年比64%増、2日目は72%増と、驚異的な増加を遂げていました。
今回はプライムデーの影響で、他の小売店も値引きを行なったため上振れしましたが、反動が気掛かりです。プライムデーは2016年から開始したところ、7月と8月の動向を比較すると、こうなりました。
やっぱり、年を重ねるごとに8月の変動幅の大きさが目立ちます。今年も、留意しておいた方が良さそうです。
▽米4~6月期労働生産性・速報値、約3年ぶりの高い伸びを達成
米4~6月期労働生産性・速報値は前期比年率2.3%上昇し、市場予想の1.4%を上回った。前期の3.5%(3.4%を下方修正)を含め3期連続で上昇している。単位労働コストは2.4%上昇し、前期の5.5%(1.6%の低下から上方修正)を含め、2期連続でプラスとなった。労働時間が低下した一方で賃金がプラスを維持し生産性と単位労働コストともに上昇した。詳細は、以下の通り。
・労働生産性 2.3%の上昇、上昇トレンドを維持<前期は3.5%の上昇
・生産 1.9%の上昇、11期連続で上昇<前期は3.9%の上昇
・労働時間 0.4%の低下、11期ぶりに低下<前期は0.4%の上昇
・時間当たり賃金 4.8%の上昇、12期連続で上昇<前期は9.2%の上昇
・実質賃金 1.8%の上昇、2期連続で上昇<前期は8.3%の上昇・単位労働コスト(一定量を生産するために必要な労働経費を示す) 2.4%の上昇、4期連続で上昇<前期は5.5%の上昇
前年比での労働生産性は1.8%上昇、2016年末以降の上昇トレンドで最も力強い伸びとなった。前期の1.7%と合わせ、11期連続のプラスを示す。単位労働コストは2.8%上昇、前期の2.9%を下回ったが、高水準を保つ。
――アトランタ地区連銀は8月15日までの経済指標を受け、米7~9月期実質GDP成長率見通しを従来の1.9%増から2.2%増へ上方修正しました。4~6月期を含め、2%成長を維持する見通し。トランプ政権の目標値である3%以下ながら、潜在成長率を上回るだけに米中貿易戦争での米経済への影響は現時点でトランプ氏が指摘する通り限定的にとどまっていると言えそうです。
(カバー写真:Elaine Smith/Flickr)
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