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米10月住宅着工件数は増加に反転、建設許可は07年以来の高水準近くを維持

by • November 21, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2031

Housing Starts Rebound, Construction Permits At Highest Level Since 2007.

米10月中古住宅販売件数と、米11月NAHB住宅市場指数をおさらいしてきます。

米10月住宅着工件数は年率131.4万件と、市場予想の132.0万件を下回った。ただ前月の126.6万件(125.6万件から上方修正)を3.8%上回り、2007年6月以降の高水準だった8月(137.5万件)に続き、130万件台を回復している。米10年債利回りが8月に一時2016年10月以来の低水準をつけた後、10月に一時1.9%台に乗せたとはいえ、米11月NAHB住宅市場指数が高止まり続けるように、10月時点で需要が冷え込んだようには見えない。前年比では8.5%増と、5ヵ月連続で増加した。

内訳をみると、一戸建てが前月比2.0%増の93.6万件と5ヵ月連続で増加し、8ヵ月ぶりの高水準となる。複合住宅は8.6%増の37.8万件と、前月の2桁減から回復した。前年比は一戸建てが8.2%増と、5ヵ月連続で増加した。複合住宅は9.2%増と、6ヵ月ぶりに減少した前月からプラスに戻した。4大地域別では3地域で増加、前月の1地域から増加した。複合住宅の比率が大きい北東部のみ2ヵ月連続で減少したが、西部と南部は2桁増に反転、中西部も増加に転じた。

住宅着工件数、リセッション前の水準を回復した後に複合住宅が重しとなって失速。

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(作成:My Big Apple NY)

米10月建設許可件数は146.1万件となり、市場予想の138.5万件を超えた。前月の139.1万件(138.7万件から上方修正)を5.0%上回り、2007年5月以来の高水準となった。一戸建てが3.2%増の90.9万件と6ヵ月連続で増加したほか、複合住宅は8.2%増の55.2万件と増加に転じた。前年比では14.1%増と、4ヵ月連続でプラスとなる。

米10月建設中件数は116.1万件と、前月の116.0万件(修正値)を0.1%上回った。3ヵ月連続で増加し、1月以来の高水準となる。一戸建てが0.6%増の52.7万件と2ヵ月連続で増加したほか、複合住宅も0.3%減の63.4万件と6ヵ月ぶりに減少した。

建設許可件数は2007年以降で最高付近にて推移、建設中件数は堅調。

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(作成:My Big Apple NY)

―住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、70.2万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数と、ほぼ変わらず。一戸建て着工件数が5ヵ月連続で増加した上、建設許可件数も2007年以来の高水準近くを保ち、少なくとも新築に関しては在庫ひっ迫懸念が後退しそうなムードです。足元で設備投資と純輸出の押し下げが著しいなか、ミレニアル世代を中心に住宅需要を押し上げ個人消費と共に成長につなげたいところですが、そのカギは労働市場と金利が握っていることでしょう。

▽米11月NAHB住宅市場指数、金利低下を支えに2018年2月以来の高水準

米11月NAHB住宅市場指数は70となり、市場予想と前月の71を下回った。2018年2月以来の高水準から、わずかに低下している。米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内3回の利下げを行なったものの、直近で長期金利が上昇したため、建設業界のセンチメントから小幅ながら楽観度が後退したようだ。トランプ政権が9月1日から追加関税第4弾を発動(スマートフォンや衣類など555品目は12月15日)したものの、10月に開催された米中閣僚通商協議では、対中追加関税第1~3弾、合計2,500億ドル相当の税率は25%で据え置かれた。仮に部分合意の目途が立てば、センチメントが一段と改善する余地を残す。

内訳をみると、一戸建て現況指数は76と、2018年1月以来の水準へ上昇した前月の78から低下一戸建て見通し指数は逆に、前月の76から77と2018年5月以来の水準へ上昇。見込み客指数は2018年2月以来の高水準だった前月の54を下回り53だったが、4ヵ月連続で50の分岐点を超えた。

NAHBは、結果を受け引き続き人材と土地の不足、さらに原材料の高止まりといった問題に直面しているとの見方を寄せた。

NAHB住宅市場指数、金利上昇が仇となり見通し指数以外は小幅低下。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

――対中追加関税措置が発動された2018年7月から1年以上が経過し、建設コストは前年比で5ヵ月連続にて下落しました。

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(作成:My Big Apple NY)

リフォーム小売大手のホーム・デポは、8~10月(Q3)決算にて2期連続で見通しを下方修正した背景に、木材価格の下落を挙げていました。建設資材の一部の価格は落ち着きがみられるようですが土地と人材が不足している以上、住宅建設は加速しづらい。そこにきて、長期金利が上昇に転じており、住宅市場の回復ペースに鈍化リスクをはらみます。せっかく、hipsturbiaの出現で住宅保有率も改善してたんですけどね。

(カバー写真:astrid westvang/Flickr)

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