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米4月ISM製造業指数は09年以来で最低、雇用は1945年以来の低水準

by • May 7, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1621

ISM Manufacturing Index Hits Lowest Since 2009, Employment Sinks To 55-Year Low.

4月のISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数、マークイット製造業PMI確報値とサービス業PMI確報値をおさらいしていきます。

米4月ISM製造業景況指数はと41.5と、市場予想の36.0を上回った。前月の49.1に届かず、2ヵ月連続で分岐点を割れ。新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止措置や工場閉鎖など経済活動停止の余波を受け、2009年4月以来の水準へ急低下した。項目別をみると、生産、新規受注、雇用が30割れへ急低下した一方で、入荷遅延はサプライチェーン途絶を背景に急上昇した。詳細は、以下の通り。

・生産 27.5、2ヵ月連続で分岐点割れ、過去最低<前月は47.7、6ヵ月平均は45.4
・新規受注 27.1、3ヵ月連続で分岐点割れ、落ち込み幅は1951年以来で最大<前月は42.2、6ヵ月平均は44.3
・雇用 27.5、9ヵ月連続で分岐点割れ、1949年以来で最低<前月は43.8、6ヵ月平均は42.8

・在庫 49.7、分岐点割れを維持>前月は46.9、6ヵ月平均は44.0
・新規輸出受注 35.3、2ヵ月連続で分岐点割れ<46.6、6ヵ月平均は46.9
・仕入れ価格 35.3、3ヵ月連続で分岐点割れ<前月は37.4、6ヵ月平均は45.1

・入荷遅延 76.0>前月は65.0、6ヵ月平均は59.2
・受注残 37.8<前月は45.9、6ヵ月平均は44.3

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「短期見通しをめぐる回答はポジティブ1件に対してネガティブ3件とかなりネガティブが多く、センチメントが急低下したようにコロナ禍とエネルギー産業の景気後退が影響した」との見解を寄せた。その上で、弱さが著しかった業種は輸送機器と組立金属を挙げ、逆に好調だったセクターは引き続き巣ごもり需要を受けて食品・飲料・タバコだった。

今回、18業種別でビジネス拡大を報告したのは2業種(紙製品、食品・飲料・タバコ)のみで、前月の10業種から大幅に減少した。一方で、15業種(印刷関連、家具、輸送機器、繊維、組立金属、非金属鉱物品、機械、プラスチック・ゴム、電気機器、石油・石炭、木材、雑貨、コンピュータ・電子部品、一次金属、化学)が縮小、1業種のみ横ばいだった。

ISM製造業景況指数、マークイットPMIともに2009年以来の低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

▽米4月ISM非製造業景況指数、ビジネス活動と雇用と冷え込み11年ぶり低水準

米4月ISM非製造業景況指数は41.8となり、市場予想の38.0を上回った。コロナ禍の外出禁止措置が響き、前月の52.5から急低下し2009年11月以来の分岐点割れに。また、水準としては2009年3月以来、11年ぶりのレベルへ落ち込んだ。項目別をみると、ビジネス活動が30割れへ急低下し過去最低だったほか、新規受注や雇用は40を割り込んだ。もっとも、製造業景況指数同様、入荷遅延はサプライチェーンの途絶を背景に過去最高を更新した。詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 26.0、2ヵ月連続で分岐点割れ、過去最低<前月は48.0、6ヵ月平均は50.3
・新規受注 32.9<前月は52.9、6ヵ月平均は52.9
・雇用 30.0<前月は47.0、6ヵ月平均は49.2
・新規輸出受注 36.3<前月は45.9、6ヵ月平均は48.5
・在庫変化 46.9>前月は41.5、6ヵ月平均は48.4
・入荷遅延 78.3、過去最高>前月は62.1、6ヵ月平均は58.1
・仕入れ価格 55.1、3ヵ月ぶりの高水準>前月は50.0、6ヵ月平均は54.9

ISMのアンソニー・ニーブス会長は、結果を受け「回答者は引き続き、新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンや稼働率、人的資源、資金繰り、さらに正常化への道筋不透明感に懸念を抱いていた」と振り返った。

今回、18業種中で拡大した業種は公共サービスと金融・保険の2つのみ。一方で、16業種(芸術・娯楽、農業・林業・漁業、小売、その他サービス、卸売、建設、輸送・倉庫、鉱業、専門サービス、情報、宿泊・食品サービス、管理・サポート、教育、不動産・賃貸・リース、公益(電力・ガス)、ヘルスケア・社会福祉)は縮小を報告した。

ISM非製造業景況指数は11年ぶり低水準、マークイット・サービスPMIは過去最低

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(作成:My Big Apple NY)

▽米4月IHSマークイット製造業は11年ぶり低水準、サービス業PMI・確報値は過去最低

米4月IHSマークイット製造業PMI確報値は36.1と、速報値の36.9から下方修正された。前月の48.5にも届かず、2009年3月以来の落ち込みをみせた。内訳をみると、新規受注が過去最低だったほか、雇用も11年ぶりの水準へ沈んだ。

米4月IHSマークイット・サービス業PMI確報値は26.7と、速報値の27.0から下方修正された。前月の39.8を下回り、統計開始以来の最低をつけた。総合PMIも20.7と、前月の40.9を下回り過去最低を更新した。

結果を受け、クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「米1~3月期実質GDP成長率が前期比年率4.8%減だったが、コロナ禍が4~6月期も米経済を大きく下押しするかを予見させる」と指摘。製造業PMIは生産活動などで一部改善がみられたものの「観光を始め接客業、人々が集まる映画かなや娯楽施設などはコロナ禍前の稼働率での営業再開が困難となり、景気回復には長い時間が掛かる」と予想した。

――今回、ISM製造業景況指数を始めISM非製造業景況指数、マークイット製造業PMIは2009年以来の水準へ沈み、マークイット・サービス業PMIは過去最低を更新しました。そのうち生産や新規受注、雇用の冷え込みが目立った半面、サプライチェーンの途絶を背景に入荷遅延が急伸したほか、ISM非製造業景況指数で需要の落ち込みの割に仕入れ価格が3ヵ月ぶりの水準を回復していました。

ISM非製造業景況指数のうち、価格が上昇した製品は以下の通り。

空輸、清掃品、消毒剤、手袋、除菌ローション、消毒用アルコール(イソプロピル・アルコール)、清掃用品、医療サービス・医療用品、マスク、医療用ガウンなど個人用防護品(PPE)、人口呼吸器

逆に下落した製品は、以下の通り。

チーズ、ディーゼル燃料、燃料、ガソリン、豚肉、鉄鋼製品

新型コロナウイルス感染拡大を受け需要が高まったPPEなど医療用品、消毒剤などが値上がりの大半を占めた一方で、工場閉鎖で不足が指摘されつつ給食や外食産業での需要が蒸発した豚肉のほか、日本と同様にこちらも需要が消失した乳製品が弱い。また、工場停止を受け鉄鋼、原油安と外出禁止を受けガソリンなど燃料が落ち込みました。4月20日以降、外出禁止措置が徐々に緩和されていますが、これらの製品への価格の影響が後退するには、まだまだ時間が掛かりそうです。

(カバー写真:astrid westvang/Flickr)

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