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米7月CPI、自動車保険や航空運賃などが支え2ヵ月連続で上昇

by • August 16, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1535

U.S. CPI Rises 2-Month In A Row As Economy Reopens.

米7月消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。前月の0.6%に続き、2ヵ月連続でプラスとなる。

エネルギー(全体の6.1%を占める)が2.5%上昇ガソリンも5.3%上昇し、それぞれ2ヵ月連続で上昇しつつ前月(5.1%、12.3%)からは鈍化した。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は7月に一時2.195ドルをつけ、経済活動の再開と共に4月の1.773ドル(2016年2月以来の低水準)から切り返し続けた。その他のエネルギーでは、電力など公益が前月まで2ヵ月連続での低下を経て横ばい、そのうち電力が0.3%の上昇し3ヵ月ぶりにプラスに転じた半面、ガスは1.0%上昇した。エネルギー以外では食品・飲料が0.4%下落、2019年4月以来の下落に転じた。

CPIコアは0.6%上昇し、前月の0.2%に続き2ヵ月連続でプラスを示した。サービスが0.6%上昇し、2ヵ月連続で上昇するなど、コロナ禍で打撃を受けた自動車保険を始め航空運賃や服飾、宿泊が前月に続き改善した。一方、これまで物価を下支えしてきた食費は食品・飲料の下落に合わせ、マイナスに転じた。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。

(上昇項目)
・自動車保険 9.3%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は5.1%の上昇
・航空運賃 5.4%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は2.6%の上昇
・中古車 2.3%の上昇、4ヵ月ぶりにプラス>前月は1.2%の低下
・輸送サービス 2.1%の上昇、4ヵ月ぶりにプラス>前月は3.6%の低下
・宿泊 1.2%の上昇、2ヵ月連続でプラス=前月は1.2%の上昇
・服飾 1.1%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は1.7%の上昇
・教育 1.1%の上昇>前月は0.1%の低下
・新車 0.8%の上昇>前月は横ばい
・外食 0.5%の上昇、2017年6月以降の上昇トレンドを維持>前月は0.4%の上昇
・医療サービス 0.5%の上昇=前月は0.5%の上昇
・帰属家賃 0.2%の上昇>前月は0.1%の上昇

(低下項目)
・食費 1.1%の低下、11ヵ月ぶりにマイナス<前月は0.7%の上昇
・娯楽 0.6%の低下、2ヵ月連続でマイナス=前月は0.6%の低下

CPIは前年比で0.6%上昇し、2015年10月以来の水準へ鈍化した前月の0.1%を上回った。CPIコアは同1.6%上昇し、2011年3月以来の低水準った前月の1.2%から改善した。

チャート:CPIの前年比、経済活動の再開を追い風に改善

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(作成:My Big Apple NY)

――全米で約半分の州で経済活動再開が一時停止するとはいえ、レストランやジムなど対面でのサービスや三密が懸念される環境にとどまり、物価は2ヵ月連続で改善しました。特に、自動車保険や航空運賃などは伸びが加速。コロナ禍後のマイナス幅を縮小しつつあります。

チャート:コロナ禍で打撃を受けた品目、引き続きコロナ直撃後の下落を巻き戻す状況

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(作成:My Big Apple NY)

一方で今回、食品・飲料が2019年4月以降で初めて下落した結果、食費も2019年8月以来のマイナスに転じました。ニューヨーク州やニュージャージー州など一部の学校はリモート授業を継続する方針で在宅勤務も一部で浸透するなか、漸く上昇に歯止めが掛かっています。特に牛肉の上振れが落ち着いており、コロナ禍による供給問題価格操作などの問題が解消されつつあるようです。

チャート:食費の前年比は肉類の物価が落ち着き、外食以外は加速にブレーキ

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(作成:My Big Apple NY)

ちなみに、米7月生産者物価指数(PPI)も前年比で0.4%低下ながらコロナ禍でマイナスに陥った中で最も小幅にとどまり、コアPPIは6ヵ月ぶりに前月を上回る伸びとなりました。

チャート:コアPPIの上昇、経済活動再開を受けた需要回復を示唆か
(作成:My Big Apple NY)

米経済はゆるやかながら回復の一途をたどっており、さらなる改善には米議会の追加経済対策とワクチン・治療薬の開発が待たれます。

(カバー写真:Chris Yarzab/Flickr)

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