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米6月フィリーは年初来で最高、景気先行指数も好調を維持

by • June 18, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1974

June Philly Posts The Highest In The Year.

米6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は15.2となり、市場予想の8.0を大きく上回った。西海岸の港湾労働者ストライキやドル高一服を背景に前月の6.7も軽々と超え、2014年12月以来の高水準を遂げている。

主要な項目の内訳は、以下の通り。新規受注や出荷が大幅に改善したほか、仕入れ価格は急伸し分岐点を回復している。半面、雇用が鈍化した。

・新規受注 15.2、2014年11月以来の高水準>前月は4.0
・出荷 14.3、2014年12月以来の高水準>前月は1.0

・仕入れ価格 17.2、5ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス14.2、2009年5月以来の低水準
・販売価格 4.8、6ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス5.4、5ヵ月連続で分岐点割れ
・週当たり平均労働時間 4.7、分岐点を回復>前月はマイナス5.6

・雇用 3.8、3ヵ月ぶり低水準<前月は6.7
・受注残 3.7、4ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス1.1
・在庫 3.1、分岐点を回復>前月はマイナス1.8

・入荷時間 マイナス4.6、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス3.6

6ヵ月先見通し指数は、39.7。前月の33.9および6ヵ月平均の38.9を上回った。項目別では新規受注(44.9>前月は31.7)、出荷(55.8>前月は32.0)、仕入れ価格(46.3>前月は20.9)と2桁の伸びを記録。在庫も急伸し、分岐点を回復した。雇用も小幅に上昇し、4ヵ月ぶりの高水準。一方で設備投資(8.1<前月は16.8)のみ、減速した。

現況(オレンジ)、見通し(グレー)そろって、ようやく上向きに転じる。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

今回の特別質問項目は、需要動向について。回答のうち「緩やかに増加した」が最も多く48.2%となり、次いで「緩やかに減少した」が21.6%。「大いに増加した」、「大いに減少した」はそれぞれ8.1%となっている。「増加」VS「減少」では前者が51.3%と、後者の29.7%を上回った。

生産を変化する場合で最も多い回答は「5%以上増加させる」で、31.5%に及んだ。「増加」から「減少」を引いたディフュージョン・インデックスでも49.3%となり、明るい兆候を示す。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

上半期の生産動向につき「加速した」との回答も56.9%に達し、「減少した」の25.0%大きく引き離した。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

向こう6ヵ月以内に生産を増加させる場合、必要な対応として「新規採用せず従業員の労働生産性の引き上げる」が35.2%とトップに立った。次いで「新規に採用する」が33.3%、「新規採用せず労働時間を延長させる」は29.6%。新規採用を控えるとの回答は合わせて62.9%に達し、雇用にやや消極的な姿勢が伺える。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「米6月NY連銀製造業景況指数に反し回復を遂げており、当方としては製造業が多岐にわたるフィリーこそ実態に近いと考える」と指摘。その上で、「エネルギー以外の設備投資が改善する兆しが現れた」と結んだ。

▽米5月景気先行指数、2ヵ月連続で約1年ぶりの高い伸び

米5月景気先行指数は前月比0.7%上昇の123.1となり、市場予想の0.4%を上回った。4月に続き、2014年7月以来の高い伸びを達成。3ヵ月連続でプラスを示す。一致指数は0.1%上昇の112.1となり、2ヵ月連続で上昇。遅行指数は0.2%上昇野117.0だった。

景気先行指数で最も寄与した項目は、米5月住宅着工件数で明らかになったように建設許可で0.34%に達した。長短金利差も0.23%と、寄与。その他、米新規失業保険申請件数、消費財受注、株価指数、信用の伸びが支えた。一方でISM新規受注が押し下げ、平均労働時間は±0%にとどまる。

発表元であるカンファレンス・ボードのエコノミスト、アタマン・オジルディリム氏は、結果を受け「経済活動は下半期に強い伸びを達成する見通し」と評価した。特に「住宅建設活動や消費者マインドが寄与した」とコメントしている。半面、米5月鉱工業生産米5月ISM製造業景況指数が示すように「製造業活動はまちまちな様相を呈している」と付け加えた。

▽米1−3月期経常収支、貿易赤字拡大を一因に前期から赤字拡大

米1−3月期経常収支は1133億ドルの赤字となり、市場予想の1165億ドルを下回った。2014年10−12月期の1031億ドル(1135億ドルから下方修正)からは拡大している。貿易赤字が1303億ドルと、前期の1283億ドルから増加していたことが背景。基礎的財政収支の黒字も508億ドルと、前期の600億ドルから減少していた。移転収支の赤字は338億ドルと、前期の348億ドルから縮小しつつ、他項目を相殺できず。バークレイズによると、1−3月期の経常赤字は国内総生産(GDP)比2.6%となり、前期の2.3%を上回った。

——米4月フィリーは4ヵ月ぶりに分岐点割れを迎えた米4月NY連銀製造業景況指数と逆に改善を示しました。悪天候や西海岸の港湾労働者ストライキといった一時的要因がはく落し、回復の兆しをみせています。そうは言いながらドル高や原油安の影響が製造業センチメントを引き続き冷やしており、春の芽吹きは遠いようです。

(カバー写真:Jetstar Airways/Flickr)

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