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米3月求人数は過去最高、自発的離職者数も増加

by • May 9, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off3202

Job Openings And Hires, And Layoffs Decrease In February.

米3月雇用動態調査、米4月NFIB中小企業楽観度指数をおさらいしていきます。

米労働省が発表した米3月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は655.0万人と、市場予想の610万人を超えた。前月の607.8万人(605.2万人から上方修正)を7.8%上回り、過去最高を更新している。

新規採用者数は前月比1.6%減の542.5万人と、2月連続で減少した。過去3番目の高水準だった前月の551.1万人(修正値)に届かず。6ヵ月ぶりの低水準だった米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)と反対の結果となる。

離職者数は前月比2.3%増の529.1万人と、過去4ヵ月間で3回目の増加を示した。定年や自己都合による退職者は4.2%増の334.4万人と、過去最高を更新。解雇者数は3.5%減の156.4万人となり、2016年9月以来の低水準だった。

求人率は4.2%と前月の3.9%を超え、過去最高を塗り替えた。民間が4.5%と前月の4.2%を超えたほか、政府も2.7%と前月の2.6%を上回った。

就業者に対する新規採用率は、前月と変わらず3.7%。民間が4.1%と前月と一致したほか、政府は3ヵ月連続で1.5%だった。

求人数が過去最高でも新規採用は減少し、両者の乖離は続く。

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(作成:My Big Apple NY)

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.6%と、7ヵ月ぶりの高水準に並んだ。民間が前月と変わらず3.9%、政府も3ヵ月連続で1.5%となる。自発的離職率は2.3%となり、過去最高の水準に並んだ。解雇率は前月に続き、2000年12月に統計が開始してからの最低となる1.1%と統計開始以来で最低と一致した。

自発的離職者数が、解雇者数は減少と労働市場の逼迫表す。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中7項目で、長期失業者の割合と労働参加率が改善できずにいる。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.2%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.3%

4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.9%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 20.8万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.9%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.8%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 20.0%

9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.8%

有効求人倍率は3月に1.89倍と、前月の1.73倍を大きく上回りました。少なくとも、2000年以降で最高を記録しています。

求人数と合わせ、有効求人倍率は過去最高。

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(作成:My Big Apple NY)

有効求人倍率が統計開始以来で最高だったものの、平均時給は当時の4%超え水準から遠くかけ離れています。4月分のベージュブックで新規採用者から特殊技能職まで幅広く賃上げ動向の報告を確認しましたが、労働参加率の上げ渋りが賃上げを抑えているのでしょうか。人種別の失業率でも黒人が過去最低を更新し、白人でもITバブル期以来の低水準にあるだけに、賃金伸び悩みの謎は深まるばかりです。

▽米4月NFIB中小企業楽観は前月から改善も、経済見通しは大統領選後の上昇を相殺

米4 月NFIB中小企業楽観度指数は104.8となり、市場予想の104.5を上回った。前月の104.7から小幅改善しつつ、過去最高の1983年9月に次ぐ水準を遂げた2月の107.6以下を保つ。税制改革法案成立と歳出増を追い風とした成長加速期待がセンチメントをレンジ上限に保つ一方で、トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税発動や301条をめぐる報復合戦を通じた米中貿易摩擦を嫌気したようだ。米株安や金利上昇も、少なからず指数押し下げにつながったとみられる。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。

NFIB、1983年以降で最高だった2月でピークアウトか。

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4月のISMの製造業は非製造業景況指数と歩調を合わせ、NFIBも伸び悩み。

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(作成:My Big Apple NY)

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「未だかつて利益トレンドがここまで上昇したことはない」と指摘した。その上で「中小企業の楽観度の高まりは、雇用創出をはじめ賃金の上昇、福利厚生の充実、投資の拡大をもたらしつつある」とまとめている。

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は4ヵ月連続で10項目だった。内訳をみると、プラスの10項目中で前月を上回ったのは「設備投資を拡大した」と「売上の拡大を予想」、「賃金引き上げ」の3つで、その他は横ばいが優勢で、低下は3項目に。ただし「経済がより良くなる」は、2016年11月の米大統領選後の上昇をほぼ打ち消した。マイナス項目は、「信用状況が緩和する」以外の2つが下げ幅を縮小した。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」35%=前月は35%、6ヵ月平均は33%
「賃金引き上げ」33%=前月は33%、6ヵ月平均は30%
「経済がより良くなる」30%、2016年11月以来の低水準<前月は32%、6ヵ月平均は39%
「設備投資を拡大した」29%>前月は26%、6ヵ月平均は28%
「事業拡大に良いタイミング」27%<前月は28%、6ヵ月平均は28%

「賃上げ見通し」21%=前月は21%、6ヵ月平均は21%「売上の拡大を予想」21%>前月は20%、6ヵ月平均は26%
「採用見通し」16%>前月は20%、6ヵ月平均は20%
「販売価格の引き上げ」14%<前月は16%、6ヵ月平均は12%
「在庫を増加させる」1%=前月は1%、6ヵ月平均は3%

「黒字トレンドにある」−1%>前月は−4%、6ヵ月平均は−7%
「信用状況が緩和する」−4%>前月は−6%、6ヵ月平均は−4%
「在庫満足度」−6%=前月は−6%、6ヵ月平均は−5%

(カバー写真:The Open University/Flickr)

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