Pandemic New Normal:More Millennials Move To Suburbs.
NY市とサンフランシスコ市で、賃貸市場が値崩れを始めているとこちらで報告致しました。その陰で、米8月NAHB住宅市場指数が過去最高を更新しましたよね。実際、4~6月期の決算で、住宅建設メーカー最大手のD.R.ホートンは増収増益を達成しただけでなく、受注件数も4月のマイナスから5~6月に挽回し前年比38%増を果たしました。
チャート:コロナ禍でも、力強いV字回復を果たすNAHB住宅市場指数
在宅勤務の浸透を受け、地方や郊外の住宅需要が高まったためと説明されていますが、実際にどうなのでしょうか?数字を振り返ってみましょう。
そもそも、コロナ禍真っただ中で住宅保有率は4~6月期に67.9%と2007年以来高水準を遂げました。世代別でみると、ミレニアル世代を含む35歳未満は2008年以来の40%を突破し、35~44歳も64.3%と同じく2008年以来の水準へ上昇していたのです。
チャート:4~6月期の住宅保有率、ミレニアル世代で特に上昇
新規のローン住宅申請件数の比率をみても、5月以降に新規住宅ローン申請件数指数は前年比プラスを維持し、ローン申請に占める新規の比率も高止まりしています。特に結婚や出産など、ライフステージの過渡期にあるミレニアル世代の間で住宅需要が高まっている点は、注目に値しますよね。
チャート:新規住宅ローン申請指数、コロナ禍でも需要はしっかり
チャート:特に足元で住宅購入に意欲的なのは、全米で約4分の1を占め最多のミレニアル世代
また、中古住宅の在庫が6月に過去最低水準の155万件だった一方、新築は過去平均を上回る状況にあります。価格差も縮小しており、在庫ひっ迫が問題視される中古より、新築に目を向ける買い手が増えていることを示唆する状況。前述の通り、NAHB住宅市場指数が上振れするはずです。住宅需要の高まりに加え人出不足も重なり、材木先物市場が大フィーバーを迎えるのも納得ですよね。
(作成:My Big Apple NY)
実際に、地域別の住宅需要はというと、こちらをご覧下さい。
不動産情報会社リアルター・ドットコムによれば、「物件検索数が増加し、販売期間が短縮した」場所を郵便番号別でみると、5月時点の中央値で地方が846件に対し、郊外は404件、都市部は87件となり、地方と郊外が都市部を大きくリードしていました。さらに、検索件数も地方が最も多く前年比16%増、次いで郊外が13%増となり、都市部の7%を大きく引き離します。
チャート:住宅需要、地方と郊外が都市部を大きく上回る状況
以前から郊外へ移り住むヒップスタービア(おしゃれな若者)が増加中であり、北東部の都市圏から西を目指す傾向が高いGo West現象など指摘してきましたが、コロナ禍でこの流れが一段と加速しているもよう。かつてミレニアル世代は「保有より共有」と捉え、マイホーム志向が低いと見方が優勢でしたが、間違いであると証明されました。家庭を持てば志向がシフトするものでミレニアル世代もベビーブーマー世代も、時代を経ても根本が変わらないのでしょう。コロナ禍の在宅勤務がその流れを後押ししたのは、言うまでもありません。
(カバー写真:otakuchick/Flickr)
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