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米10月個人消費は一時的要因で伸び拡大、貯蓄率は過去2番目の低水準

by • December 7, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off3299

Americans Keep Spending Amid Inflation, Personal Saving Rate Hits A 17-Year Low.

米10月個人消費支出は前月比0.8%増と、市場予想と一致しつつ前月の0.6%超え5カ月ぶりの高い伸びとなった。米10月小売売上高と同様に今年2回目のアマゾン・プライムデーと年末商戦の先取り、カリフォルニア州の1回限りの現金給付が押し上げた。3ヵ月連続での増加となる。

個人所得は前月比0.7%増と市場予想と前月の0.4%を上回り、2021年9月以来の高い伸びとなった。9ヵ月連続での増加となる。

個人所得の伸びが消費支出を小幅ながら上回った結果、貯蓄率は2.3%と前月の2.4%を下回った。1959年のデータ公表以降、2005年7月の2.1%に次ぎ過去2番目の低水準となる。

詳細は以下の通り。

〇個人消費支出

個人消費の結果は以下の通り。名目ベースとインフレを除く実質ベースともに増加した。

・前月比0.8%増、市場予想と一致し3ヵ月連続で増加、前月は0.6%増
・前年比7.9%増と22ヵ月連続で増加、前月は8.4%増
・実質ベース前月比0.5%増、3ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・前年比では1.8%増と20ヵ月連続で増加も期間中で最も小幅な伸び、前月は2.0%増

耐久財が3ヵ月連続で増加した。非耐久財はガソリン価格が下落しつつも2カ月連続で増加。サービスは外食などが押し上げ20ヵ月連続で増加した。

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 1.4%増と2ヵ月連続で増加、前月は0.4%増
・耐久財 2.1%増と3ヵ月連続で増加し1月以来の高い伸び、前月は0.3%増
・非耐久財 1.1%増と2ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・サービス 0.5%増と20ヵ月連続で増加、前月は0.8%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

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(作成;My Big Apple NY)

チャート:個人消費、前月比ベースでの名目と実質の違い

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人所得

個人所得の結果は以下の通り。

・前月比前月比0.4%増と、市場予想と前月と一致し9ヵ月連続で増加
・前年比では4.6%増と4ヵ月連続で増加、前月は5.7%増
・実質ベース前月比0.3%増、年初来で3回目の増加、前月は0.3%減
・前年比では1.6%減と過去7ヵ月間で6回目の減少、前月は1.0%減

個人所得のうち、名目ベースで賃金・給与は20ヵ月連続で増加し、社会福祉も失業保険やメディケイド、その他が押し上げ増加を促した。家賃収入も引き続き力強い伸びに。なお、米疾病対策センター(CDC)は21年8月、新型コロナウイルス感染予防策対策として、感染率が高い地域を対象に新たに21年10月3日まで住宅立ち退き猶予期間を設定。しかし、家主や不動産団体が撤回を求め提訴し、米連邦最高裁判所が21年8月26日に無効の判断を下したため、販売用物件の減少も重なって家賃の上昇が進行した。足元、新規契約分の家賃は前月比で下落が指摘されているが、家賃は基本1~2年契約のため、下落が反映されるまでラグを伴う傾向がある。

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.5%増と20ヵ月連続で増加(民間は0.5%増、政府部門は0.3%増)、前月は0.6%増
・経営者収入 横ばい(農業は2.7%減、非農業は0.1%増)、前月は0.3%増と4カ月連続で増加
・家賃収入 0.4%増と9ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・資産収入 1.0%増と9ヵ月連続で増加(金利収入が0.6%増、配当が1.5%増)、前月は横ばい
・社会補助 1.6%像、前月は横ばい
・社会福祉 1.6%増、前月は横ばい(メディケア=高所得者向け医療保険は0.8%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.4%減、失業保険は5.0%増、退役軍人向けは0.4%増と増加基調を維持、その他は6.3%増)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

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(作成:My Big Apple NY)

〇可処分所得
・前月比0.7%増と9ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・前年比は2.8%増と6ヵ月連続で増加、前月は2.7%増
・実質ベースの可処分所得は0.4%増と年初来で3回目の増加、前月は横ばい
・前年比は3.0%減と11ヵ月連続で減少しつつ下げ幅は期間中で最小、前月は3.4%減

〇貯蓄率
・2.3%、前月の2.4%を下回り2005年7月の2.1%に次ぎ1959年のデータ取得以降で2番目の低水準

チャート:個人消費は、再び貯蓄を取り崩して拡大

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人消費支出(PCE)デフレーター
→ガソリン価格が10月に一時3.742ドルとロシアによるウクライナ侵攻が開始した2月28日週以降の上げ幅をほぼ打ち消し、Fedの積極的な利上げにより需要が落ち着くなか前月比と前年比そろって9月の伸び以下となった。

・PCEデフレーターは前月比0.3%上昇、市場予想の0.5%以下、前月は0.3%
・前年比は6.0%上昇、市場予想と一致、前月は6.3%
・コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇、市場予想の0.3%以下、前月は0.5%
・コアPCEの前年比は5.0%上昇し2021年10月以来の低い伸び、市場予想の5.0%と一致、前月の5.2%(5.1%から上方修正)以下

チャート:物価上昇ペースは鈍化、引き続き実質賃金に下方圧力

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(作成:My Big Apple NY)

――Fedは家計のバランスシートが健全であると繰り返しますが、その根拠のひとつは純資産における負債比率とされ、7~9月期は41.8%と2019年平均の43.4%を下回っています。

チャート:負債比率、未だ低水準も上昇の兆し

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(作成:My Big Apple NY)

また、クレジッドカードの債務残高は同じく7~9月期に9,250億ドルと、2020年1~3月期に記録した過去最大の水準まで、あと20億ドルに迫ります。何より増加率は2003年以降のデータ公表以来で初の2期連続で2桁増だっただけでなく、過去最大の15%増でした。クレジットカードの債務がうず高く積み上がるだけに、人員削減の波がIT分野から労働人口の多いサービス業に波及すれば、未払い件数が急増すること必至です。

チャート:クレジットカードの債務残高、あと20億ドルで過去最大に並ぶ

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(作成:My Big Apple NY)

貯蓄率もデータ公表以降で2番目の低水準とあって、11月ベージュブックで指摘されたように、中低所得者層の間で一段と裁量的支出が限られてくるでしょう。

(カバー写真:Robbert Noordzij/Flickr)

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