グラス・スティーガル法を葬ったあの男、復活を提唱

by • July 25, 2012 • Latest NewsComments (0)3389

Sandy Weill Lost His Wildness..Break Up Big Banks!!

仕事柄、朝起きてすぐCNBCにチャンネルを合わせるのが日課なんです。

元ニューヨーク・タイムズ紙記者で、リーマン・ショック顛末を描いた「大きくてつぶせない」の著者でもあるアンドリュー・ロス・ソーキンなどが司会者として顔を並べる朝の番組「スクォーク・ボックス(Squawk Box)」が、朝食の友。グリーンスパン前米邦準備制度理事会(FRB)議長など、大物がゲストとして登場して、興味深いんです。

この日のゲストは、シティグループ元会長のサンフォード・’サンディ’・ワイル氏。そうです、1998年にトラベラーズをシティコープに合併させ、シティグループを世界の金融コングロマリットに押し上げた立役者です。合併に合わせ、1933年に成立した「グラス・スティーガル法」をぶち壊したターミネーターとしての側面も。

ブルックリン生まれのポーランド系ユダヤ人。我が家の近くはポーランド人地域なので元ご近所?

世界大恐慌での反省から、「グラス・スティーガル法」は預金者の虎の子を抱える銀行に対し証券業務すなわち株式の売買などを禁じました。しかしサンディは、トラベラーズの合併を通じ、同法を骨抜きにしたんです。以後、サンディが「シティ帝国」の君主として、その名をとどろかせ、最終的に銀行が投資銀行業務を拡大させ、リーマン・ショックという未曾有の危機を招いたとされております。

その彼が、なんと

「銀行を解体せよ(Break up Big Banks)」

と大胆にもグラス・スティーガルの復活の口火を切ったのです。彼はインタビューで、「恐らく、我々がなすべきことは銀行から投資銀行部門を分離すること」と断言し、「市民の税金を危険にさらす必要もなく『大きくてつぶせない』という問題も生じない」と主張しました。

サンディは商業銀行と投資銀行を分割する利点として、利益性を高めマーケットを機能を改善させると説明します。カギは、「透明性」。透明性を高めバランスシートにある債務を明確にすれば、市場の信頼感を高めてこそ世界に冠たる金融市場の提供者として、不動の地位を維持するとも、断言しておりました。また透明性の向上により、資金調達コストも低下すると主張しました。

発言の陰で、こんな事実があることも見過ごせません。フォーブス誌の長者番付の常連だったサンディ。シティグループの株式が資産のうち8割を占めるなか、2008年の金融危機を背景に同行の株が一時1ドルを割り込むまで急落した背景から、2009年の13億ドルからランクインに必要な節目である9.5億ドルを確保できませんでした。あえなく、圏外へ転落していたんです。

399位が9.5億ドル=750億円って、ソニーのリストラ計上費用ですよ!!??

ウォールストリートは、「時代は変わった(略)、株式の売買や証券化商品は良い時代には素晴らしく利益性が高いが、悪いときは全くダメだ」とも語った彼の言葉を冷ややかに受け止めた印象を受けます。ある市場関係者は「『大きくてつぶせない』銀行の設計者が、何を言うか」と批判していました。一方で現在、JPモル ガン・チェースのCEOとしてデリバティブを通じた巨額損失問題に直面する元片腕、ジェイミー・ダイモンへのあてつけとの声も聞かれております。サンディはJPモルガンのダイモンCEOもシティのパンディットCEOも、彼のスタンスを認識していないと説明しておりましたけどね。

また、実際に自身の「失敗」を明確に認めなかったいさぎ悪さも、ぬぐえませんでした。79歳という年齢やサブプライム問題の元凶を作ったという意味では、FRB議長を退任して自由な発言を展開するグリーンスパン前議長とかぶる気がします。

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