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【追記】アップル下落の背景は、ファブレットの台頭にあり?

by • January 10, 2013 • Latest NewsComments (0)3031

Apple Is Turning Sour Because They Refuse To Make A Phablet.

アップル、年始から下落を再開してしまいましたね・・・。500ドル割れはかろうじて回避していますが、23日の決算を控え強気だったアナリストの予想も慎重な色を帯び始め、エバーコアは投資判断こそ「オーバーウエイト」ながら目標株価を775ドルから750ドルへ引き下げました。iPhoneの売上減速を、根拠としています。

勝ち組だったアップル株動向に、不透明感が漂ってきました。

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投資家にとって甘い果実だったアップルが下落している背景として、このサイトが上手に説明してくれています。ざっくりポイントを挙げると

1)iPhoneの恐竜化
→恐竜のごとく、iPhoneがスマートフォン業界で主役を張った時代は終了。サムスン「ギャラクシーIII」は米国でも着実に根を広げ、主戦場のアジアでは揺るぎない地位を誇っています。

2)自社製品内で加速するカンニバリゼーション
→iPodがiPhoneに、MacがiPadにシェアを奪われたように、新商品が旧商品を食ってしまう「カンニバリゼーション=共食い」状態が発生。発売が噂されている廉価版のiPhoneがiPhone5などの売上の足を引っ張り、売上鈍化サイクルは止まらない?

3)飽和したマーケット状態
→米国ではAT&Tやスプリント、ベライゾンだけでなく、TモバイルまでiPhoneの販売に乗り出す見通し。iPhoneを新たに買う人がどれだけいるんでしょうか。

4)歴史は繰り返す
→かつてリサーチ・イン・モーションは、同社株を保有していないファンドマネージャーはもぐりと言われたほどの人気を謳歌。ただしアップルをはじめライバル商品が相次いで登場し、てんやわんやの上昇期から一転して株価は急落。ネットフリックスなんかも、これに当たります。

米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、年内の資産買取終了の可能性を挙げるメンバーが複数確認され、マーケットにじゃぶじゃぶ注がれたマネーが引いてしまう事実に今さらながら気づいたことも、ひとつの理由と言えるでしょうね。

もうひとつは、ファブレットの台頭が挙げられるでしょう。

ファブレット(phablet)とは、電話(phone)とタブレット(tablet)を掛け合わせた造語。5インチ以上の迫力の大画面が印象的ですよね。サムスンが2012年に発売した「ギャラクシー・ノート」で人気に火が点いたこのファブレットこそが、2013年のメガヒットになると、マーケットで俄然注目が集まっているんです。

マッシャブルがバークレイズ・キャピタルのレポートをもとに伝えたところ、ファブレットは向こう3年で毎年売上を70%増ずつ伸ばし、2015年には1350億ドルを計上する見通し。メーカーの出荷台数は2013年に1億4200万台へ、2015年には4億200万台と3倍近くもの急増を見込んでいます。アップルのiPhoneの2012年度売上台数が1億2504台ですから、その成長の目覚しさがご想像できるでしょう。

女性の手のひらが隠れるサイズで、やっぱり大きい! phab1

子供にとって大きさはかなりポイントが高いようで、3歳の姪もパパのiPhoneを放ってママのサムスン「ギャラクシー・ノート」で遊んでました。聞くと「because it’s beautiful!」と素直な受け答えが返ってきましたっけ。実際の解像度もさることながら、視界に飛び込む面積に魅了されているのが分かります。

ファブレットは、先進国とエマージング国ともに需要が見込まれることも強み。先進国の場合、電話機能に飽き足らない人々が通勤時間などでダウンロードした映画やドラマを視聴するのに大画面が必要になってきますよね。反対にエマージング国ではiPadだiPhoneだなど、高価なガジェットをいくつも購入できない層が比較的多い。必然的に、1台で複数の機能をこなす商品が選好されやすくなります。

CESでも、ファブレット時代への移行が如実に表れていますよ。ソニーは「Xperia」中国が誇る通信メーカーである中興通訊(ZTE)は5インチの「グランドS(Grand S)」、華為技術(ファーウェイ)はサムスン「ギャラクシー・ノート」の上を行く6.1インチの「アセンド・メイト(Ascend Mate)」を発表しています。

対するアップルはというと、各社がファブレットを次々に披露するなかで逆行するようにiPhone Miniの販売の噂が出るのみ。ティム・クック最高経営責任者(CEO)が中国詣でに出掛けましたが、ファブレット熱が波及すれば風と共に効果は消えてしまいそうです。

【追記】

クック船長、やっぱり中国の売上での起爆剤として新兵器を用意していたんですね。中国で1月後半に、英語で言う「cellular version of iPad Mini」を発売すると発表しました。2012年12月に投入したiPad Miniの通信機能はwi-fiのみでしたが、新たに販売されるiPad Miniのセルラー版、つまり4Gをはじめとした他データでの利用を可能とさせます。

この報道を受け、時間外取引でアップルは約2%高。ただしITオタクは、「賢い決断じゃないね(not a smart move)」だなんて、鼻で笑ってました。なぜなら「持ち歩くには大き過ぎる(too big to walk around)」。しかも電話機能が備わっているわけでもありません。中国を訪問中に中国移動の奚国華・会長と「提携問題」について協議したという報道もあり、クック船長の努力は理解できますけど、どうもガジェット・マニアからすると方向性を間違えているようです。

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