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マーケットに浸透する強気モードは、本物か

by • January 18, 2013 • Latest NewsComments (0)1091

Bulls Are Back With ’Crexit’ Hope, Still Doubts Remain.

英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に14日、こんな記事が掲載されたんです。
Grexit’ fears give way to ‘Crexit’ optimism

Grexitとは「Geece+Exit=ギリシャのユーロ離脱」を表す相場かく乱要因という言葉として扱われてきましたよね。ではCrexitとは何か。提唱者であるアリアンツのミヒャエル・ハイゼ主席エコノミストの説明によると、「Crisis+Exit=危機からの脱出」、を意味するんです。2008年1月以来の7000pを回復した独DAX株式指数、ユーロ圏周縁国の国債利回りと独債利回りのスプレッド縮小など今の金融市場が買いに沸いているのは単なる新年のオメデタ相場ではなく、「長く険しい道筋ながら明るい未来へ歩み出した」ことの表れとしています。

欧州から波及する前向きムードの決定打は、これでした。10日開催の欧州中央銀行(ECB)定例理事会後、恒例の記者会見でドラギ総裁が据え置きを「全会一致」と表明しましたよね。主要国を除く「過半数のメンバー」が利下げを提案したとの報道が飛び出しだ当時から一転、ハト派色を巻き戻しました。今年中に「緩やかな景気回復」を見込めると述べたほか、経済指標は「幅広く安定化(broad stabilization)」したと評価しただけでなく、「良好な伝播(positive contagion)」が広がっていると明言したんです。金融市場の悪化を指す「伝染(contagion)」の対極として、あえて「contagion」と使用したと言えるでしょう。

スーパーマリオ、ピーチ姫ならぬユーロ圏経済を救うという使命を背負います!
draghi

ECBのトップから明るいコメントが聞かれるなかで、ドイツ銀行も2013年を「ポスト危機時代の終焉(the dawn of the post-crisis era)」と位置づけていました。欧州からとめどなく明るい見解が湧き出て、ドラギ総裁のいう「良好な伝播」を確認できています。

モルガン・スタンレー(MS)も負けてはいません。チーフ・グローバル・エコノミストのホアキム・フェルス氏によると、ロンドンで開催した最高投資責任者(CIO)晩餐会では、出席者が「株式相場への弱気な見方にウンザリして」いたことが見て取れたそうです。同時にMSが投資家200人を対象に実施した調査では、2013年で最高のパフォーマンスを遂げる期待がある資産クラスとして81%が株式相場を挙げたんですって。

楽観ムードが市場に波及するなか、米株にも「良好な伝播」が訪れダウ平均は18日に約5年ぶりの高値で引けを迎えました。今回、高値を達成する以前にも、明るい兆候を確認していたんです。米投資信託協会(ICI)が公表する投信フローは、1月9日週に米株の売り越しが約4ヵ月ぶりにストップして買い越しに転じました。

アベノミクスに持ち上げられ、日本株もてんやわんやの上昇モード突入。円安が加速し、ドル円はついに2010年6月以来の90円を突破しましたね。2010年5月の高値95円を目指すかのような鼻息の荒さです。

ブル相場のお膳立てが出来上がったところで、気になるのが以下の5点

・米国の政治不透明性(共和党指導部は来週3ヵ月間の債務上限引き上げ案を採決すると主張してますが・・)
・FRBによる資産買取の終了観測
・ユーロ高に伴うユーロ圏景気の腰折れ
・円安という近隣窮乏策への米欧の批判
・中国の景気回復ペースの失速

個人的にはダウ平均からドル円まで2月中をメドにいったん天井をつけると予想してます。ダウ平均は13800ドル付近、ドル円は92円がキモかと。そうです私はクマちゃん。あらゆるリスクを見込んだ上で楽観視したい、cautiously optimisticなんで、楽観に向かう入口はベアなんですよ。

ベアの入口でマーケットを見つめる私としては、ノースウェスタン大学のロバート・ゴードン教授(経済学)による「米経済成長は終わったのか」と題した論文が市場で取り沙汰されている点が気掛かり。ゴードン教授いわく生活を根本から変える技術革新が出尽くしており、「1人当たりの実質国内総生産(GDP)は将来、19世 紀後半以降、最も低い伸びになる」と指摘し、アメリカ成長ストーリーの「終焉」を宣言してるんです。

技術革新と1人当たりのGDP。20世紀は伸びしろがどんどん減ってます。(出所:エコノミスト誌
growth

ゴードン教授の論文に呼応し、JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは「Is I.T. Over?」と題したレポートでIT分野の成長頭打ちリスクを点灯させていました。もっとも、そんなに暗いシナリオを描いてはいません。テクノロジー進化の遅れが教育と技能を磨く準備運動期間が経て新たなステージに入る可能性に言及しているんです。景気の踊り場の向こうには、未来の発展へつながる階段が控えているのかもしれません。

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