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ゼロ・ダーク・サーティ、アカデミー惨敗だったのも致し方なし

by • April 7, 2013 • GossipComments (0)2570

Zero Dark Thirty, Too Cursory For The Academy.

キャスリン・ビグロー監督、意欲的で野心的で個人的には好きなんです。

ただし、これはやり過ぎました。今さらながら拝見した映画「ゼロ・ダーク・サーティ」。冒頭からして、2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件での肉声テープ(WTCから携帯をかけた男性、アメリカン航空11便のキャビン・アテンダント)を使うなんて、あまりに被害者および遺族の方への配慮に欠け、無礼極まりなく不快感で胃袋に違和感を覚えてしまいました。

ところが。

ニューヨークとロサンジェルスで2012年12月19日に先行公開(全米公開は1月11日)された当時は、批評家から大絶賛を浴びNY映画批評家団体は2012年の上映された映画ベスト1に選んだほど。アカデミー賞でも作品賞、主演女優賞、脚本賞を含む5部門にノミネートされ、拍手喝采で迎えられていました。

公開直後は注目の的となり、アカデミー本命との声も高かった。左は脚本家で彼氏のマーク・ボウル。
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アカデミー、蓋を開けてみると音響編集賞の1つのみでした。映画「007/スカイフォール」とのタイという期待ハズレな結果に終わりましたよね。なぜか。

1)前述した同時多発テロ事件での肉声テープ
→肉声テープを受け、遺族が猛抗議しニュースに。映画配給会社ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントは声明でテープ使用につき遺族とコンタクト済みと発表しており、双方噛み合わず。

2)米上院議員からの厳しい批判
→ジョン・マケイン米上院議員(2008年大統領候補、共和党、アリゾナ州)、カール・レビン議員(民主党、ミシガン州)、そしてダイアン・ファインシュタイン議員(民主党、カリフォルニア州)と、重鎮の3議員が拷問が多いなど実際のCIAによる調査の進め方など事実に反する映画描写に物申す。米上院情報委員会では、米中央情報局(CIA)に対し映画製作者への情報提供につき公聴会が開始。なぜか、オスカーが開催された翌日の2月25日に終了していた。

3)CIA長官代行、異例の声明を発表
NYとLAでの先行公開されてから2日後の12年12月21日、モレルCIA長官代行(当時)は声明で「ハリウッド映画に通常はコメントしないのだが」と断りつつ、同作品が事実に基づいて製作されたわけではなく、「脚色化」されていると強調。映画前半で次々に繰り広げられる拷問シーンに加え、CIAの制作関与を否定。

4)主人公マヤという存在
主人公マヤは院卒でCIA入りし、パキスタンはイスラマバードでビン・ラデイン追跡の調査を開始--彼女の成長は拷問に目を背けるナイーブな新入りから、数年後には水攻めも厭わない迫力溢れるアナリストに変貌するほど目覚しい。しかし同僚を失って怒りに震える女性の一人の尽力で、複雑なテロ組織の最重要人物の居所を特定できるものか。

主演のジェシカ・チャスティン、実は911当時ジュリアードの学生でNY在住。
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▽中東情勢に詳しくビン・ラデインの取材に成功したジャーナリスト、ピーター・バーゲン氏は、マヤのモデルを「男性」と断定。NPRでの取材に対し、「The guy who was on the account from 2003 to May 1, 2011, when bin Laden was killed, and the guy who was always saying … that bin Laden is living in the mysterious compound in Abbottabad — that guy is a guy, he’s not a female」という言葉がある。

ワシントン・ポスト紙はマヤなる人物の存在を認め、CIAの職員が授与されるなかで最高の栄誉「功労賞」を受賞した一握りの職員だったと報道。半面、同氏が出世に関する嘆願eメールを数十人に配信したにも関わらず、彼女の望みは果たされずなかったとも伝える。

何より政治的な色合いが強いので、今作品に脚光が当たるのは「不適切」と判断されたことでしょう。ドキュメンタリー映画ならまだしも、「アカデミー受賞作品」として世界に売り出すには、あまりに刺激が強過ぎますもんね。

個人的な敗因としては、こういう映画の割りに大雑把さを挙げたい。アフガニスタンのCIA拠点に入ってきた車を検問なしで通過させたり、主人公マヤの人物像の組立てがイマイチだったり、パキスタン人がターバンを巻いていたりという手抜きが目立った点がガッカリしました。CIAアナリストが緻密な調査と分析を素にビン・ラディンを追い詰めたというストーリーの半面、映画の情報が紐解かれるや否や作品自体のぞんざいな仕上がり感は否めず批評家が去っていったのは皮肉としか言いようがありません。

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